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淡路島一周歩きの旅!〜前編〜    【3日目】
● 2005年8月15日(月) はれのち雨 兵庫県西淡町〜兵庫県南淡町 19,083歩




鳴門海峡近くにあった、廃展望台。この先にある「道の駅」が
出来るまでは、栄えていたのだろう。景色より、“時代”が見える。


福良より少し手前の集落から、海に降りてみた。漁港でも
ビーチでもないこの風景が妙に気に入り、30分くらい居座った。

雨の気配

旅をすると、雨に敏感になる。
これは僕だけに限らず、今まであった旅人のほとんどはそうらしい。

雨が降る前は、まず風や気温が微妙に変わる。
続いて、海水のようなにおい(土のにおいらしい)がする。
そういう、雨が少しでも降りそうだと思ったときは、とりあえず雨宿りができる場所を探そう。
なかなか降らないこともあるので、ある程度通り過ぎる風景の中で目星をつけ、降ってきたと同時にすぐ戻れることが理想だ。

雨宿りができない場合は、すぐに雨具が着られるように支度する。
当然、着替える場所を探す必要がある。

特に夏に降る雨、雷を伴う雨は、ほとんどが夕立である。
理科の時間に習った「積乱雲」は、短時間に大量の雨が降る特徴がある。
雨が降ると気落ちしがちだが、「すぐにやむ」と言い聞かせておけば、意外に平然とやり過ごせる。



屋根と柱だけでできた小屋。あとでわかったが、どうやら玉ねぎを
吊るすための小屋らしい。不思議と、横なぐりの雨をしのげる。


福良行きのバス停「東町」駅。ベンチが1つあるだけで、
まわりは田園。ここまで何もないと、バスを待つのもツライ。


福良のバスターミナル。今回淡路島にいて、ここがいちばん栄えて
いた。ちなみにこのターミナルは、廃線跡を利用しているらしい。
人間、いくら疲れていても、寝つけないときは寝つけないものだな。
結局昨日は、寝ようとテントに入ってから、1時間以上も眠れなかった。

もちろん最大の原因は、花火。
テントはおろか、まわりは民宿がいっぱいあるというのに、なぜ夜遅くまで花火ができるのだろうか?

次いで、暑さ。
昨日よりも暑くて、テントの熱がまったく逃げてくれない。

そして、蚊。
いつの間に入って来たか知らないが、夜中かゆさで目が覚めた。
そのときは見つけられなかったが、朝目を覚ましたら、ブックブクに太った蚊がいた。


予定通り午前5時半に起き、ダラダラとしながらも荷物をたたみ、1時間後にはスタート。
帰るんだったら、もっとゆっくりしたらいいのに。
そう自分に言い聞かせながら、心の隅に「まだ日程はあるし、歩きたい」という気持ちがあることに気がついた。

やっぱり、歩いたほうがいいか。
「一周する!」と出かけたのに、半周しかできなかったようでは、ただの「口先番長」じゃないか。
連休はまだ、今日あわせて3日もあるし。
それに今までのペースを考えたら、あと3日で十分一周できる距離にいる。
体力的にも、まだ歩けるし。

さんざん迷いに迷った。
しかし、これだけ迷っているということは、気持ちが乗っていないということだ。
正直、今日も宿が見つかるかどうか、こわい。
その恐怖に打ち勝つ精神力は、思いっきり衰えている。

よし、帰ろう!
楽しめなくっちゃ、意味がない。
そう決断すると、気分が急にラクになった。
昨日はほぼ終日気分が乗らなかったが、それは先を急ごうと常にあせっていたからに違いない。


キャンプ場からしばらくは、ずっと山道。
午前10時、バス停のある町「福良」へ到着した。

ここでバスを待ってもいいが、せっかく気分がいいんだから、もうちょっと歩くことにした。


福良を抜けると、また山道。
昨夜を彷彿させるほどの、すごい山道だ。
昨夜と同じく、建物がないので休むことができない。

それにしても、さっきから雷鳴らしきものが聞こえるような・・・
と思ったときには、すでにあたりが真っ暗になった。

こいつはやばい!
急いでポンチョを用意すると、案の定大雨が降ったきた。
間一髪だ。
間一髪はいいが、ここはまさに山道の頂上付近。
何てついていないんだ。

少し歩いたところに、木が重なって雨が落ちていない路肩があったので、そこでしばらく雨宿り。
車で通る人が、まぁ珍しげに見るわ見るわ。
そらぁ、こんなところ歩いてるだけでもかなりおかしいもんなぁ。
「兄ちゃん、乗りいや!」と声がかかるのを期待していたが、当然そんなことはない。
そういうことを期待してしまうほど、雨は激しかった。


やがて葉っぱに溜まった水が雨のように落ちてきた。
こうなっては立ち止まろうが歩こうが、濡れる度合いは同じ。
そう判断して、再度路肩の狭い山道を歩いた。

10分ほどすると、屋根が見えた。
壁のない小屋と表現すればいいか、ちょっとした家屋のようなスペースに、屋根だけ取り付けられた不思議な建物があった。
人気はまったくなかったので、迷わずそこで、雨宿りすることにした。


それにしても、雨が全然やまない。
徐々に体が冷えてきたのだが、荷物を減らすために半そで、半パン以外は持っていない。
雨が屋根を叩く音が、空しく響く。

体温だけではなく、今度は命をも奪いかねない音が聞こえた。
雷鳴。
さきほどから鳴り響いてはいたのだが、だいぶ音が近くなってきた。
他の建造物のない中、鉄の屋根でできたこの小屋に落ちる可能性は、なくはない。
思わずポンチョを羽織り、小屋から離れて退避した。

今までいろんな旅をしたが、ここまで生命の危険を感じたのは、はじめてではないだろうか。
いつ止むともわからぬ雨を、ただじっと耐え忍んだ。


1時間ほどしても、雨も雷もいっこうにおさまらない。
ひょっとして、午後はずっとこんな調子なのかも・・・
そうだとすれば、こんなところで何時間もいても時間がもったいない。

意を決し、出発することにした。
するとどうだ、10分も歩くと町があった。
それならわざわざ、あんなあやしげな小屋にいなくて済んだのに。
雨も、やがて勢いを弱めた。


午後2時過ぎ、福良行きのバス停に到着。
しかし恐ろしいことに、バスは1時間半待ち。
とりあえず近くにあった商店で、昼食を食べた。

この商店に少し居座っていたのだが、やたらライダーが止まる。
きっとこの町の前後には、こういう商店がないんだろう。


1時間半もじっとしていられず、あとバス停1つ分、歩いた。
雨はすっかりあがり、田園とまわりの集落が、まぶしくも薄暗くもなく、ほどよい陽射しに照らされていた。
暑さはそれほどでもなく、皮肉にも歩くには最高のコンディション。

やっぱり、今日1日歩いてみるか?
目的のバス停に着いてからは、地図とにらめっこしながら、何度も葛藤(かっとう)した。
今のこの絶妙の気候と、回復しきった体力が、もったいなくて仕方がない。

バスが見えるギリギリまで悩み、やはり少しでも「行きたくない」という気持ちがある以上、やめておくことにした。


かくして、旅終了。
一周の旅の予定だったのが、結局半周止まり。
でもきっと今年中に、もう半周歩いてやる!

そう闘志を燃やしつつ、帰省ラッシュで混雑したバス・電車を乗り継いで帰宅した。
3日間、お風呂に入っていない体に恐縮しつつ・・・


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