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ママチャリしまなみ海道周遊    【3日目】
● 2006年5月5日(金) はれ 広島県福山市〜広島県因島市 97.31km



歩道なし、路肩狭しの尾道大橋。海上の橋でなくても、
こんな道は自転車では危険すぎ。しかも通行料10円て!


因島の、本島から真逆の道は、めちゃくちゃ静か。それにしても、
因島の方は通り過ぎる度に必ずあいさつしてくださる。



小さな離島、「岩子島」。密集した民家と田園風景
から、ただならぬ生活感が漂う。一度ここで生活したい。



ほんのすぐ向こう側に見える、尾道へ行けるフェリー。こんな
小規模なフェリー、見たことない。運賃は自転車込110円也。



千光寺から眺める瀬戸内海と因島。僕の肖像よりもヒロリンの
ほうが写真が映えるのだが、許可を得てないから許して。



尾道商店街に残る、レトロな「Qちゃん」。これでも現役で
稼動し、料金は据え置き10円。このテのものは大好き。



甘茶のお接待。子ども会なんかがよくお接待を受けに来るそうだ。
正直者だった子どものころなら、飲んで「まずい」と言ってたかも。



しまなみ海道の橋でも唯一“屋根”のある「因島大橋」。写真撮影
するにはもってこいだが、自転車停めると歩行者の邪魔になる。
しまなみ海道の橋

海上に橋があるのはわかったけど、橋ってどんなの?
どの橋も似た造り?
自転車道と一般車道って、並行してるの?
お金がかかるの?

そんな疑問を抱いてしまなみ海道を渡ったわけだが、実際のところ、想像していたものとはやや違っていた。
とりあえず僕が感じた範囲で、しまなみ海道の橋全体の特徴を書き連ねます。

・橋によって、形状が異なる。
・ほとんどの場合、車道と並行して自転車道がある。
・自転車道、歩道、原チャリ道は並行している。ほとんどの場合、道が色分けされている。
・料金は、1橋あたり50円〜100円で、料金箱に投入する。
・料金箱に事務所が併設されていたりもするが、ほとんど無人。
・料金を入れるかは良心に任されるが、ほとんどの人がちゃんと入れる。
・橋はかなり高所にある。
・橋へ行くために長い坂道がある。距離こそあれど、斜度はあまりない。
・橋の通行人は絶えず、心細くならない。



夕焼けに映える小船たち。離島の海岸には、小船と釣り人が
絶えない。が、しまなみ海道は漁港より農家のほうが多い気が。


海あり、ビーチあり、写真の後ろには芝生広場あり。トイレも
キレイで、これ以上いい野宿場所はない。と思いきや・・・
カプセルは前日よりもやや広く、換気が十分なされていて、快適だった。
途中マナーの悪い客がわめいていたこともあったが、まぁゆっくり眠れた。

朝の5時にロビーへ行くと、すでに多くの客が起きていた。
あんたら、カプセルホテルのこんな早朝に、何を求めてるの?


1時間後に出発し、国道を走った。
いろんな店の並ぶ街路が少し続いたが、やっぱり途中からはバイパスになっていた。
まだ脳も体も完全に起ききっていないのに、朝っぱらからムリヤリ神経を集中させて走った。

ちなみに、バイパスと並行して、一般道があった。
昨夜地図を見て「一般道を走るべし!」と何度もシミュレーションしたのに、気がついたらバイパスを走っていた。
頼むから、外からの人間でもわかりやすく標識を作ってくれ。


1時間ほど走り、バイパスを降りたころ、目の前に大きな橋が見える。
いよいよ来たか、しまなみ海道!
2日もかけて来ただけに、その橋が想像以上に魅力的に見えた。

この橋は、向島という島へかかる「尾道大橋」。
さっきからしきりに、「向島へはフェリーをご利用ください」という看板が目立つ。
が、バイパスさえ走りきるこの足が、フェリーなんぞにうつつを抜かすわけがない。


尾道大橋は、標高の高い場所にある。
そのためループ状になっている道を、えんえん上らないといけない。
ヒーヒー言いながら着いた橋を見て、びっくりした。

路肩が狭い。
歩道がない。
片道1車線で、車の通行が絶えない。
なるほど、こりゃあフェリーで行ったほうが賢いや。

などと思いながらも、ここまで来たなら渡るしかない。
後続の車に申し訳なさを感じつつ、ひたすら橋の上を走った。
ちなみに、渡りきったところで「10円」の通行料を支払わなければならない。
金額の中途半端さと、有料道路としての完成度の低さに大きな疑問を抱きつつ、料金箱にお金を投げ入れた。


しまなみ海道に来てはじめての離島「因島」。
目の前に広がるのは、整備されきった道路と、家が立ち並ぶ住宅地と、コンビニ。
・・・あれ?
どこでも見られるような、住宅街じゃないか。
離島といえばもっと、閑静で漁港があって素朴な家々があって釣り人ばっかり、というイメージがあるのに。

肩すかしを喰らいつつも、とりあえず島を一周することにした。
するとどうだ、本島の反対側にさしかかったあたりでは、まさにイメージどおりの離島の風景があった。
そう、これこれ!
海も、つい数十分前見ていたものより、比べ物にならないほど青く澄んでいる。


島を4分の3走ったところで、頭上に赤い橋を発見。
しまなみ海道のコースとは違うが、離島「岩子島」へかかる橋だ。
時間はあるので、行ってみることにした。

手元の地図では道路情報すらない小さな島であるが、民家がぎゅっと集まっていて、しっかりした集落を作っていた。
しかし集落から離れると、急坂の多い道に出る。
また地図では島を一周する道が載っていないが、小さな波止場沿いの道(アスファルトではなく、白いコンクリートの道)を強引に走ると、一周できた。
住民から不審げな目で見られたのは、言うまでもない。


再度向島へ戻り、島一周を終えたところで、再度尾道へ戻った。
尾道へは、フェリーを使った。

フェリー乗り場界隈が、やけに混んでいる。
聞くところによると、ここに「男達の大和」のロケセットがあるとのこと。
わざわざGWにこんな混んだところへ来ることを見ると、よっぽど面白い映画なんだろうな。
映画に興味なくてよかった。

フェリーは、ものの3分ほどで尾道へ着いた。
なるほど、あんな危険な尾道大橋をしんどい思いして渡るよりは、こちらのほうがはるかにいい。


なぜ次の島へ渡らず、尾道へ戻ったか。
それはこのサイトでもお馴染み「ヒロリン」が、尾道を案内してくれるからだ。
ヒロリンとは去年のGWに、愛媛は松山で一度会っている。
去年松山にいたヒロリンが、なぜ尾道にいるかというと・・・

「NOBさん、お待たせです〜」
待ち合わせの千光寺行きロープウェイ乗り場に、大きなお腹をかかえてヒロリンがやって来た。
そう、彼女は出産のため、実家のある尾道へ戻って来ているのだ。


早速ロープウェーへ登り、千光寺公園へ。
ここは街中にぽっこりと丘ができていて、尾道の街を見下ろせる。
お寺の多い街並と、視野の縦横に広がる瀬戸内海と、向島へ架かる橋。
思わず息をのむほど、豪快な景色である。

すぐ近くに、小さな観覧車があったので行ってみた。
ここは、小さな小さな遊園地となっており、やたらきしみ音がするジェットコースターや、ほとんど猿が顔を出さない猿山などがある。
こういう児童公園を少し拡大したようにしか見えない場所も、子どもからすればそれは楽しい遊園地に見えるんだろうな。

続いて、千光寺へ。
さすがに尾道観光のメインだけあり、人が多い。
多くの岩に囲まれながら、どかっとお寺が居座っている。

これだけ人が集まるのに、岩場はガードレールなどを敷かず、時折危険と思われるスペースもある。
今や児童公園の砂場にすら柵が敷かれる世の中で、やっぱ「危険は自分で回避する」という常識のもと、風情を最優先することは正しいと思う。
それにしても、高いところが苦手だと言ってるのに、押さないでくれヒロリン。


千光寺からロープウェイを下り、次は尾道駅前まで続く商店街へ。
極端にさびれているわけでもなく、派手なわけでもない、実に情緒のある商店街である。
通常、商店街といえばパチンコやらゲームセンターがあり、若者向けの服屋だの携帯屋だのが目に付くが、そのようなものがない。
無理やり客寄せするというよりは、地元の人が快適に過ごせる空間を守り続けている、といった雰囲気が漂う。
この感じ、決してキライではない。

途中、一角で「お接待」として、お茶を無料配布しているところがあった。
「甘茶」というお茶らしい。
飲むと、はじめはお茶のにおいがするが、その後何ともいえない甘さが、口の中をブワッと支配する。
甘味料を加えているのではなく、葉そのものがこんな味をするらしい。

ちなみにこれは、5月5日に甘茶をお接待するという、尾道の恒例行事らしい。
「なつかしい!」とひと口ごとに、ヒロリンがつぶやいていた。
子どものころは、よくお接待を受けていたそうだ。


商店街を歩いた理由の1つとして、「食べ物屋」を探すことがあった。
が、この商店街には食べ物屋が少ない。
ファーストフードやチェーン店がないのはわかるが、観光客寄せの「尾道ラーメン」屋がもっとあっていいと思うのだが。
時折見かけるラーメン屋は、昼の1時を過ぎているにもかかわらず、大行列となっている。

結局、立ち寄ったのは商店街から外れたお好み焼き屋。
当然、大阪では「広島焼き」と呼ばれる、お野菜が盛りだくさんのお好み焼きを食べた。

さらにその後は、老舗というレトロな喫茶店でひと休憩。
ここで、満腹感を感じたからだろう、とんでもない眠気に襲われた。
眠気もさながら、「なんかこのまま、走らずボーっと過ごしたい」とボケ始めた。
もちろんそんなことするつもりはないのだが、あまりに幸せすぎる現状に、いつまでも甘んじたくなった。

間もなくして、ヒロリンとお別れする時間となった。
お腹も大きく、体力的に歩きまわることが負担だったろうに、一生懸命案内してくれて、申し訳ないという感情であふれていた。
今度大阪来たら、大阪城をプレゼントすることを約束し、お別れした。


さて、旅再会。
フェリーで向島へ戻り、今度は向島から「因島」へ渡るべく、橋を目指した。
橋へは長い上り坂を登らないといけない。
が、坂が急にならないよう、十分な長さに蛇行しているため、大きな負担とはならない。

橋に近づくに連れ、何だか胸が高鳴る。
はじめの尾崎大橋は、しまなみ海道としておススメされていなかったので、実質のところこれがしまなみ海道はじめての橋となるからだ。

橋の前にさしかかり、記念撮影をするべく足を止めていると、後ろから自転車を押し歩いて来た女性に声をかけられた。
どうやら、チェーンが外れて走れないとのこと。
実はチェーンの外れなど治したことない僕だが、「任せたまえ」と得意げになり、何とか治した。

慣れていないのでやや手こずり、手が真っ黒だ。
女性は、そんな僕よりも、先に待たせていた彼氏に気を遣って、自転車が治るなりそそくさと去った。
普段なら露骨に機嫌を損ねるところだが、今は橋を目の前にしているテンションと、尾道での楽しさを引きずっているので、とても広い心でその光景を見流した。
日常でも、これだけ心が広かったらなぁ。


橋は二階建てになっており、上が自動車道、下が原チャリと自転車・歩行者道となっている。
下の道はさらに、「原チャリ」と「自転車・歩行者」とで道がわかれており、縁石で区切られている。
後者の道は狭く、これだと逆に自転車同士、または自転車と歩行者の追突の危険が考えられる。

それはさておき、海上に掛けられた橋は、期待通りに景色がきれいである。
言葉どおり「海を見下ろす」豪快な景色は、そこいらの展望台ではお目にかかることはできない。


因島に到着。
人気の少ない南東部をまわり、やがて栄えている北西部へ。
ここで日が徐々に落ちてきて、急激に寒くなってきた。
こうなると、いくらテンションが高ぶっていたとしても、必然的に下がってしまう。
特に今日は宿の目星をつけていないので、何とか気力だけは持続しなくては。


ちょうど因島を一周するちょっと手前、先ほどまわった橋のふもとあたりに、大きな公園を見つけた。
管理棟やトイレが完備されていて、キャンプ場ともとれる。
念のため管理棟へ行ったが、閉まっていた。
公園内の注意書きを確認すると、キャンプは禁止されていなかった。

よし、ここだ。
管理棟のあたりは何だか人が多かったので、比較的声が届かないであろう、トイレ側を陣取った。
とりあえず寒いながらも、今回の旅は毎回体を洗っていたので、水道水で髪を洗った。
わざわざシャンプーを使って水道水で髪洗うのは、はじめて。
あらためて、今の自分は「旅人」とかカッコいいものではなく、ただの「ホームレス」である、と確信した。


日も完全に落ちて、持って来たヘッドライトを照らしながら、何とかこれを書いている。
さっき管理棟でたむろっていた人々は帰ったが、入れ替わりのようにして、さっきから若者の団体がさわいでいる。
頼むから、夜中に騒がないでくれよ。
と心で祈っても、こんな時間からこんな場所に来た若者が、騒がないわけがないだろう。
完全に「黙れ」とはいわないが、少なくともこちらに被害のかかるような騒音だけは、くれぐれも出さないでいただきたい。


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