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キックボード新潟→秋田    【3日目】
● 2017年8月7日(月) はれ 新潟県村上市〜山形県鶴岡市



人通りの少ない道で「熊出没注意」看板は怖い。
追いかけられてもキックボードでは逃げ切れない。


青い海と奇岩が続く「笹川流れ」。きれいだが
休憩できるスポットが意外に少ない。


海水から生成した塩はたまに買うけれど、
実際作っている現場ははじめて。暑い!


沖縄から日本縦断中のフランス人アレックス。コンビニ前で
語り合う時間は、今まで感じたことない楽しさを覚える。


一見何げない住宅地だが、中央の石柱で県が別れる。
ご近所づきあいはどうなっているのだろう?


大きなこけしが印象的な「あつみ温泉」
入口。温泉地までは意外に距離がある。


創業380年の旅館は、やや現代風にリフォーム
されていながらもしっかり貫禄あり。


旅館内部はきれい。廊下にガラスが
並ぶ光景は昔の旅籠独特で明るい。
午前5時半に起きて朝風呂に入り、朝食バイキングをがっつりいただいた後、午前8時前には出発。
当初はもう少しゆっくり過ごそうと考えていたが、さすがに部屋がビジネスホテルでは、長居しようという気になれない。

朝から暑いのは昨日と同じだが、湿度が増している気がする。
北上してきている台風のせいか。


道はひたすら海を臨める国道で、ビーチが点在する。
日陰が少ないうえ、歩道が整備されておらず走りにくい。
たまに山側へ道が1本延びており、国道に並行して集落を抜ける道があるので、極力そちらを走るようにする。
集落は車の通りが少ないので、走っていて気持ちがラクである。

予定より早めに出発したぶん、今日はゆっくり走ろう。
と考えていたが、休憩できる場所がぜんぜん見当たらない。
結果として、昨日と同じくハイペースを余儀なくされてしまう。
バテながら走り続けるだけでは旅を楽しめないので、少しでも休めるチャンスがあれば休むぞ、と自分に言い聞かせる。


やがて「笹川流れ」と呼ばれるエリアを通る。
ここは11kmにわたり、青い海と数々の奇岩が臨める場所だという。
確かに先ほどまでよりも、風景に変化があって楽しめる。

途中に塩を売っているお店がある。
ただ販売しているだけでなく、その店で塩を作っている。
いくつかの釜があり、それぞれで海水を煮ているようだ。
こんな光景を見るとついつい買いたくなるが、小さなサイズのものがなく、荷物は増やしたくないのであきらめる。


お店のほとんどない道が続いているが、地図を確認すると、国道7号線と交わる場所にはコンビニがある。
ここでしか昼食はとれないだろうと目指していた矢先、後ろから声がかかる。
自転車で旅をしている彼の名は、アレックス。

キックボードで旅していることが、えらく気に入ったらしい。
言葉だけでなく、身ぶりで大絶賛を表現してくれる。

一度は別れたのだが、再度合流して、いっしょに昼食をとらないかと提案してくれる。
もちろん返事はOK。
旅の途中に、他の人と昼食をとるなんてはじめてだ。
暑いのでできればお店に入りたいところであるが、昼食をとれるお店が見つからず、結局当初の予定どおりコンビニで済ますこととなる。

改めて、お互いの自己紹介をする。
アレックスはフランス人で、28歳。
学生時代に日本語を勉強したことと、その後日本の農家で居候(宿と食事を提供してもらう代わりに無賃で働く)をしたこともあり、日本語は達者である。
現在は沖縄からずっと自転車で北上し、北海道まで日本縦断する旅をしている。

彼が言うには、日本の道路はきれいだという。
フランスでは、都心から離れた小さな道は舗装されていないという。
確かに日本では、ずっと山奥の「こんなところ人通る?」という場所ですら、しっかり舗装されていたりしている。

その他いろいろ言葉を交わし、楽しいひとときを過ごす。
最後はがっちり握手をして、互いの無事を祈る。


僕が先に出発したのだが、後からアレックスが再び追い越してくるだろうと期待しながら走る。
そんな楽しみがあると、暑さやしんどさも和らぐ。
しかし、いくら期待していてもアレックスはやって来ない。
もしかして、途中で国道を違うルートで走っているのかも知れない。

合流をあきらめ、地図で少し気になっていた「鼠ヶ関(ねずがぜき)」に寄り道をする。
ここは新潟と山形の県境で、かつて関所があった場所だ。
行きたかったのは関所跡ではなく、住宅地。

何と、ずらっと並ぶ家々の途中に県境があるのだ。
実にシュールな光景である。
生活していて、不都合などないのだろうか。


最後の休憩は「道の駅あつみ」で。
休憩室はクーラーが効いているうえ、人が少ないので座席で寝転べる。
おまけにウォータークーラーがありがっつりノドをうるおせるので、体を休めるにはこれ以上ない環境だ。

体のほてりが治まり上体を起こしたとき、仙台から来たというおばあちゃんに声をかけられる。
キックボード旅の話をすると、体をのけぞって大きく驚いてくれる。
その後たくさん質問を受け、楽しいひとときを過ごす。
女性で、ここまで旅の話に食いついてくれる人も珍しい。


午後4時、右折して山側に延びる県道を走る。
しばらく何もない道を進むと、突如として集落が広がる。
1,000年もの歴史がある「あつみ温泉」である。
本通りを進むと一見ただの町なのだが、道を1本入り込むと温泉宿が並び、ここが温泉地であることがわかる。

やがて集落内にあるお宿にチェックイン。
創業380年という旅館は、昔ながらの木造建築ながら、廊下はぴかぴかだし窓や壁もきれいに掃除されており、古さを感じない。
部屋もきれいな和室で、何と言っても12畳もある。
同じ温泉宿でも、昨日とは大違いで居心地がよい。

温泉はかけ流し。
8人も入れば満員という広さながら、お客さんもほとんど入ってこないので、ゆっくりできる。
食事は部屋で食べられ、品数も多く満足である。


食後は外を散策。
温泉地なので夜でも土産屋が並んだりしているのかと思いきや、そんなものはなく出歩く人もまばら。
空には満月が浮いており、静かに流れる時間が昼間の激しい旅を、すっかり忘れさせてくれる。


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