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珍しく目覚めの悪い朝。おまけに寒く、出発がだいぶ遅れた。
しかし朝はもの静かでよい。波の音が、ホントに心地よい。
関西圏の方ならご存知、「パラダイス」発見!ナイトスクープに
出演したことを大々的に宣伝している。ちょっと行きたかった。
峠を越えて下った先は、テトラポットの並ぶ港道。琵琶湖の
道は、走るたびに風景が変わって、全然飽きが来ない。
こんな田舎の駐車場に、観光客?いやいや、暴走族の
お葬式だ。鳴門海峡より、こちらのほうが見モノだぞ。
地味なのに、お客が多い「明神キャンプ場」。家族連れが多く、
若者がたくさんいたが、午後9時には静かに。みんなマナーがいい。
チャルメラの音とともに、突如あらわれた屋台「太陽軒」。空腹の
ハラに、とんこつスープがしみわたる。めちゃくちゃうまい!
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おおかたの予想通り、昨夜はガキらがうるさかった。
割り切ったつもりながら、ふと夜中2時に目が覚めた。
こんな時間なのに、まだ騒いでいるのだ。
若いってのは、恐ろしい・・・
目覚めは午前6時・・・だったが、珍しく目覚めが悪く、2度寝してしまった。
結局午前7時起床となった。
目覚めが悪かったのは、ガキらのせいというよりは、昨夜一気に流し込んだビール2本のせいだろう。
しばらく外が寒かったので、テントでこもって朝食などを食べていた。
すると急に暑くなり、たまらず外へ出て、旅支度をした。
出発して、しばらくは断崖上のゆるやかな道が続き、急に坂の厳しい峠道があった。
峠を越えると、すぐ左手に浜辺の見える港町があり、やがて農村内の民家があった。
わずか2時間で、道はさまざまな顔を見せてくれた。
断崖上は何の問題はなかったんだが、峠はめちゃくちゃしんどかった!
上りはじめのころ、家族連れと思われる集団が前を走っていた。
峠を上るときに、前の人が邪魔になって自分のペースが守れないということは、何よりしんどいことなので、スピード出して抜いて行った。
が、坂がきびしくなるにつれて、どんどん差が縮まり、ついに家族連れのお父さんに追い抜かれた。
さらにしばらくすると、お母さんにも抜かれた。
「そらぁ、ええ自転車乗ったらこんな峠スイスイ行けるわい!」と思いながら、よくよく見てみると、お父さんもお母さんも、マウンテンとかチャラチャラした自転車ではなく、れっきとしたママチャリなのだ。
しかも荷物も結構積んでるし・・・
こりゃあ完敗だ、ちょっと落ち込んだ。
僕を追い抜くときや、途中他の家族を待って停車していたときも、「がんばれよぉ〜!」としきりに声をかけてくれる。
めちゃくちゃ紳士だ。
おかげで、孤独感は消えて、体力的に限界が来ても、「もうちょっと頑張れる!」と踏ん張れた。
結局家族連れは、後続の家族を待っていたため、僕が先に道を進むこととなった。
相変わらずきびしい上りが続くと、目の前にハチが!
スズメバチだ。
こいつら、やらしいことに、人の5メートルほど前から空中を停滞して、「おっとぶつかるがな!」という30センチ手前で、逃げて行く。
それが1度や2度ならともかく、延々とそれが続くのだ。
こっちはコワイから、そのたびに減速しないといけないし、減速したら峠なので余計に力入れてスピード入れなおさないといけないので、たまったもんじゃない。
はじめは恐怖心ばかりが先行していたが、しだいにハラがたってきた。
しかしハラがたったところで、ぶつかって刺されたりなんかしたら、本気で死ぬかも知れないんで、結局減速を繰り返して走らなければいけなかった。
まさしく、「泣きっ面にハチ」である。
峠ではさらにボーイスカウトの少年集団やら、マウンテンバイクで滑走するオトナの集団やらと、やたら自転車で走る人が多かった。
さきほどの家族連れもひっくるめ、すべての人にはげましをもらったおかげで、何とか峠を、足をつかずにノンストップで上ることができた!
峠を完走するなんて、久しぶりの快挙だ。
もちろん、峠を上り終えると待っているのが、長く続く下り坂だ。
この味を覚えてしまうから、自転車はやめられないのだ。
ホントに爽快で、ひとりで「気持ちい〜!」と何度も叫びながら進んだ。
峠が終わり、港町→農村を越えると、再び山道に入った。
わかれ道。
左へ行けば、あの有名な鳴門海峡が見える・・・が、遠回りになる。
右へ行けば、予定どおりの順路で走れる。
普段なら右へ行くところだが、今回はなるべく「ゆっくりした旅」を目指したかったことを思い出し、左へ曲がり、鳴門海峡を目指した。
そういえば、旅へ出るとき、オヤジが「今は鳴門海峡見ごろらしいぞ」と言ってたな。
峠とまでは行かないまでもやや大き目のアップダウンが続く道。
せっせこせっせこ走っていると、暴走族風の奴らがさっきからちょとちょろと後ろからやって来る。
特攻服を着てるでもなく、バイクも改造が中途半端で、特攻服すらない。
最近の暴走族って、まるくなったもんだ。
そう思いながらしばらく行くと、さびれた展望台にたどり着いた。
とりあえずトイレは清掃しているみたいだが、その他は無残にも手入れされていない、廃墟のようなところだ。
方向的には鳴門海峡が一望できるのだが・・・木が生い茂っていて、うまいこと風景を隠してくれている。
それでも何か見えないかなぁ〜、とあちこち見ていると・・・何じゃあれ?
展望台の下に広大な駐車場があるのだが、そこら一帯に、暴走族風の奴らが、うじゃうじゃとたまっているではないか!
まわりの人の話によると、暴走族の「葬式」があるそうだ。
よく見ると、その駐車場までの入り口あたりに、警察もうようよいる。
こいつは何が行われるのか、見届けたいところだったが、そんなヒマはない。
さびれた展望台をあとにしてすぐ、鳴門海峡の展望台へと着いた。
ここはきちんと鳴門海峡が見え、橋を少しだけ歩ける。
鳴門海峡といえば渦だが、渦が見える時間というのが、1日に2度ほどあるらしい。
時間を見てみると、まさに今が見どき!
休憩もせぬまま、急いで渦を見に行ったが・・・何もないがな。
確かに海の流れがケンカしているのははっきり見えるのだが、それが渦にはなってない。
拍子抜けを喰らい、目的の道へと戻った。
一瞬「田んぼ?」と勘違いしそうな、広大なねぎ畑が広がる農村を抜け、町中がちりめんじゃこの匂いのする漁港を経て、ただひたすら先を急いだ。
さきほど「ゆっくりした旅」といっておきながら、急ぐのは矛盾ではないか?
そうではない、実は目星をつけていた温泉があり、そこへ急いだのだ。
やっぱり温泉はゆっくりつかりたいからね。
かといって、ゆっくりしすぎて日が暮れてまうと、宿探しが出来なくなる。
そんなわけで温泉についたのは、午後3時を過ぎたところだ。
キャンプ場やらテニスコートやら多目的ドームやら、ファミリーや研修などの団体さん向けに作られた、レジャー施設「ウェルネスパーク五色」の一角にある温泉。
温泉は広く、5種類ほどのお湯があって、なかなかのものだ。
特に露天はお湯加減もちょうど良く、どっぷりと浸かれた。
そういえば昨日は風呂に入ってなかったなぁ。
どうりで、気持ちがいいわけだ。
2日分のアカを取り除いて、午後4時30分ごろに再出発。
施設内のキャンプ場は空いてなさげであることと、値段が3000円くらいで高価なため、他のところをあたることにした。
ママチャリを走らせて15分、海沿いにこぢんまりとしたキャンプ場「明神キャンプ場」を発見。
なんだ、こんなに近くにあるんだったら、まだまだ温泉にも浸かれたのに。
キャンプ場内は人が結構いて、ふと昨日断られたことが頭をよぎったが、管理人がいなく、かつテントを張る場所に余裕がある。
良かった、こいつはスンナリ泊まれそうだ。
キャンプ場は公園のような広場と、その下にやや狭い砂浜があるのだが、比較的人が少なくてさわがしくないだろう、砂浜にテントを張った。
テントの設営ができたころに、少しずつ日が暮れてきた。
日が暮れ出すと、あちこちから一斉に、いいにおいがただよって来る。
そういえば、今日は昼間、鳴門海峡でカロリーメイトを食べたっきりで、何も食べてないなぁ。
必然的におなかがすくんだが、近くはめちゃくちゃ田舎で、どこにも買い出しに行けそうにない。
仕方ない、今日は晩飯ヌキにして、早く寝よう。
そう思い、テントの外でせっせと日記を書き綴った。
時折隣のテントをちらちら見て、おこぼれにあやかれないかを伺いながら。
日が完全に暮れ、まわりの集団にもほどよくお酒が入ってにぎやかになりだしたころ、道路からここちよい音色が聞こえてきた。
チャルメラだ。
こんなハラ減ってるときに、さらに悪影響名もんが来たもんだ。
まさか誰もが焼き肉かカレー食べてるここには来るわけないだろうし・・・あれ、まさかまさか?えっえっ?
そう、屋台は迷うことなく、キャンプ場の敷地に入って来たのだ。
もちろん、飛びつくようにラーメンを注文した。
老夫婦が2人で、せっせとラーメンを作る後姿は、何ともいえない風情があった。
しばらく待って、「とんこつラーメン・大盛り」を手にした。
そういえば、屋台のラーメンなんて初めてだ。
でもこんなところで走ってる屋台ラーメンなんて、インスタントとそう変わらないだろう・・・
という予想は、いい具合に裏切られた。
めちゃくちゃうまい!
肉・もやし・なるとがちょこちょこと入ったベタなラーメンだが、メンにコシはあるし、スープが絶品だ。
思いもよらないご馳走に、ありつけたもんだ。
さて、いよいよ明日は最終日だ。
すっかり淡路島が大好きになっただけに、明日帰るということが辛い。
といって、ずっとここにいるわけにも行かないし。
やっぱりここは、学生のうちに来るべきだったなぁ。
今さら後悔したって、遅いけど。
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