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ママチャリ若狭湾周遊    【1日目】
● 2006年11月3日(金) はれときどきくもり 大阪府交野市〜福井県三方町 115.0km
旅の目的

京都北部・丹後半島〜福井県中腹までの日本海を、「若狭湾」と呼ぶ。
リアス式海岸であるこの湾にある複数の半島を、可能な限りまわる・・・という目的で、昨年7月に同名の旅をした。
そのときに、結局すべての半島をまわりきれなかった。

というわけで、かんたんに言うと去年の続き。
まだまわっていない半島は、次のとおり。

・常神半島
・敦賀半島



「途中トンネル」の料金所は、高速道路のそれと同じ形状。
この道を迂回すると道が入り組んでいるため、ぜひ通るべき。


峠付近のトンネルは路肩がなく、幅の細い歩道を走らなければ
ならない。が、歩道にある網に穴がある。めちゃくちゃ危ない!


右手に見えるのが、山肌・・・ではなく、山の崩落跡。この下に
道が埋まっていることが、信じられない。自然の力、おそるべし!


熊川宿に立ち並ぶ代官屋敷の数々。「アニキ、てぇへんでい!」と
岡っ引きが走って来ても違和感のない、江戸ちっくな雰囲気。


田烏海岸へのびる、県道22号線。やはり田園を走るのは、
格別に気持ちがいい!並行する1両電車もいいロケーション。


父親が昔、毎週のように通っていたという、田烏海岸。
本当に小さな海岸で、10人程度の団体で来たいところ。

田烏(たがらす)

旅のひそかな目的地ともなった、田烏。
少しだけ詳しく、解説。

田烏は、厳密には「田烏」「釣姫(つるべ)」「谷及(たんぎょ)」「須の浦」という、4つの地区にわけられる。

「田烏」は比較的大きな集落と、大きなビーチがある。
残り3地区については、20件ほどの集落と、1つのこぢんまりとしたビーチがある。
残り3地区のビーチはとにかく小さく、プライベートビーチという趣(おもむき)がある。

このあたりの地区は、民宿業と漁業が盛んである。
また、ふぐが名物である。
民宿を訪れる際は、貸し船があるか、ふぐ料理が食べられるか、の2点が重要なカテゴリとなる。



世久見海岸の夕べ。右にあるレンガの壁を越えると、
釣り人がにぎわう波止場。壁の有無で、静かさが違う。
“偶然は重なるもの”とは、よくいったものだ。

昨日、会社の昼休みに昼食をとっていると、中高生時代の友人にバッタリ鉢合わせた。
かれこれ10年ぶりである。
ともに仕事があるため長くは話せなかったが、近況を報告するには十分すぎる20分間だった。

ママチャリ旅を出発して10分後、そのことを思い出していた矢先のことである。
道の横手にある駐車場を見ると、大学時代に仲良かった女の子がいた。
かれこれ10年ぶりである。

向こうはこっちに気が付いていない。
声をかけよう、と思ったが、結局素通りしてしまった。
そもそも、午前9時前の今ですら肌寒い季節に、半そで短パンという格好である。
大荷物をママチャリの自転車に載せた状態で、「久しぶり!」なんて声をかける勇気は、残念ながら僕にはない。


旅の服装もちょっとは考えんとイカンなと感じながらも、半年ぶりのママチャリ旅がはじまった。
向かうは、福井県。
福井県まで行くルートとしては、かつて福井から京都まで鯖の運搬ルートだったとして知られる、「鯖街道」を選んだ。
今まで2度ほど走ったことがあるが、やたら雰囲気のよい場所だと記憶している。

京都の市街地をやや迷いながら抜け、いざ鯖街道へ。
市街地から離れると同時に、上り坂が続く。
ここのところ運動不足であったこともあり、すぐにバテる。


上り坂が一旦落ち着いたころに、有料トンネルがある。
一度通ると名前を忘れない、「途中トンネル」だ。
いちおう「軽車両20円」を表記されているので、料金を払おうとした。
しかし料金所のおっちゃんは、そのまま素通りを指示する。
料金所が軽車両用に設けられていないため、自転車で料金所へ寄ると危ないとの判断だろう。

途中トンネルは、下り坂だ。
一気にかけ降りる心地よさを堪能するのもつかの間、トンネルを抜けると、またも上り坂。
しかも、坂は徐々に勾配がきつくなる。


若いころはムキになって、足をつけずに限界まで上り坂をこいだものだ。
が、もうそんなに若くない。
汗がダラダラ流れ、あまりにしんどいので、歩こうとした。

その矢先、前方にものすごく大きなリュックを背負った人を発見。
年齢は40前後だろうか、1人で歩いていた。
僕と同じ方向を歩いていたが、向こうもこちらに気がついたので、自転車を走らせながら会話をした。
どうやら、今から京都最高峰の山を登るとのこと。
鯖街道のこの道を歩いて登るだけでもビックリなのに、さらに登山とは!

互いの検討を祈り、お別れをした。
人と話すと、力が出る。
歩きたいほど疲れていたが、その後5分くらい自転車をこぎ続けた。


こいだり歩いたりを繰り返し、いくつかのトンネルを抜けたところで、ようやく峠越え。
左手に安曇川が流れる閑静な道を、10分以上も下り坂が続く。
これこれ!
こここそ以前走って感動した風景であり、その感動は今回も同じように感じることができる。

仮に「“自転車で走る道ベスト100”という本を書け!」と言われた場合、この鯖街道は冊子のトップに、見開き6ページくらい使いたい。
とにかく、走っているだけでしあわせな気分になれる道である。


途中、本道が通行禁止となっており、迂回路が設けられている。
川を越えて迂回路から見ると、本道がものすごい土砂に飲み込まれているではないか!
そういえば、昨年あたり鯖街道が通行禁止になった旨のニュースを見たが、きっとこれのことだ。
あまりに崩れっぷりがすごいため、なかなか普及できないのだろう。

それにしても、迂回路は非常によく整備されていて、「鯖街道の本道」といわれても気がつかないだろう。
一時的に作った道にしては、アスファルトの状態も、農道の風景もよい。
いっそこの道を、本道として使えばいいのに。


長く続いた川沿いの道を抜け、進路は北から西へ。

道を1本外れたところに、「熊川宿」と呼ばれる集落がある。
先を急ぐ必要もないので、少し寄ってみた。

江戸?
思わず映画村に迷い込んだような、古風な街並みが続いている。
どうやら昔からの街並みを保存している地区らしく、見るからに観光客とわかる人々が、カメラ片手に行き来している。

商店をのぞくと、昭和の初期から中期に作られたであろう、古い看板やポスターが、くたびれながらも家屋にへばりついている。
最近このテの小道具を使い、昔風の雰囲気を出している飲食店をよく見かける。
しかし間に合わせの小道具を使っても、しょせんは間に合わせ。
この街全体のように、本当に時代を逆行した雰囲気は、到底作れない。


国道に戻り、道が市街地へと入ったところで、今度は県道を走る。
線路と並行した道で、人通りが少ない。
時折通る1両編成の列車と、そのすぐ向こうに広がる田園風景が、まさに「日本の風景」を演出している。
今日は、いい風景ばかり見ているな。

なぜ国道ではなく、こんな人通りの少ない県道を選んだか。
この道の先にある、「田烏(たがらす)海岸」へ行くためだ。
その海岸は、父が若いころしょっちゅう遊びに行った場所だということを聞いた。
当時いつも行っていた民宿があり、若狭へ行くならついでに寄ってみては、と本人に提言されたのだ。

民宿へ行くと、若かりし頃の父の話を聞けるかも知れない。
それが、この旅のひそかな楽しみでもある。


やがて、田烏海岸へ到着。
思っていたより町は栄えていて、家屋が多い。
このあたりは民宿業がさかんで、大きな民宿案内看板が、町の中心地に立っている。
目的地である民宿の名を見つけ、海岸沿いの細い道を走る。

民宿があるべき場所へ来たが、目的の民宿名は見当たらない。
もう閉めてしまったか?
ちょうど近くにおばあちゃんがいたので、聞いてみた。

案の定、民宿はとっくの昔に閉めたらしい。
しかし家屋はそのまま残っていること、ご家族は健康で過ごしていることなど、いろいろな話が聞けた。
父への土産としては、十分だろう。
ついでにあたりの写真を何枚か撮り、田烏海岸を後にした。


時間は午後5時。
すっかり夕暮れである。
気温も徐々に下がり、走る気分がそがれる。

さっきからいくつか海岸があったので、野宿しようと偵察している。
しかし、近所に犬がいたり、地元民が海岸からすぐ近くにいたり、「私有地のためキャンプ禁止」と書かれていたりする。
特に「キャンプ禁止」と書かれた場所は、敷地こそ広いが、厳密に監視されている気がしてならない。
野宿における“悪い予感”は、たいがい当たってしまう。
海辺ならどこでも野宿できると思っていたのに、大きな誤算だ。


午後6時、たどり着いたのが「世久見海岸」。
民宿と土産屋が立ち並び、広めの波止場には釣り人がわんさかいる。
これだけ釣り人が多ければ、テントの1つくらいあっても注意されないだろう。

近くの自販機でビールを2本(500ml×2)買い、夕食。
波止場は人が多すぎるため、あえて波止場のすぐ隣にある、小さな砂浜に腰を下ろした。
砂浜には散歩の人がたまに来るだけで、人の姿はない。
寝ていても、騒音には悩まされないだろう。


夕食を終えてからは、持参した小さな焚き火台を使い、焚き火に没頭。
火を見ていると、不思議と心が落ち着く。
とはいえ、さすがに2時間もしていると、飽きがくる。

現在、午後8時半。
時間はかなり早いが、テントをたてて寝るとしよう。


それにしても、さっきから1匹の犬がうっとうしい。
飼い犬らしく、何度もビーチへ来ては、こちらに向かって思いっきり吠える。
それも、飼い主から離れ、野放しにされた状態でだ。

こちらは無防備な姿なのに、牙をむいている犬に吠えられるのだから、怖くて仕方ない。
今来ているので、3度目だ。
何で飼い主は、放ったらかしなん?
こういう「自分さえよければいい」という、自分すら管理できない人間にペットを飼う資格ないと思うんだけどなぁ。


野宿における“悪い予感”は、たいがい当たってしまう。
今夜は眠れるだろうか?


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