 |
よくよく見ると、ここはキャンプ場ではなく、キャンプ場の隣にある
芝生公園。こんなに不法侵入者が多くては、取り締まれないか。
そない有名ではないが、松の多さに圧巻する「慶野松原」。
松原のスキ間で、BBQしている人がちらほら。実に楽しそう。
淡路島南西、西淡町の名物は「瓦」らしい。ところどころに
瓦屋や瓦のオブジェが点在。じっくり見てる余裕があればなぁ。
次の日の朝撮影した、キャンプ場の様子。写真ではわからないが、
海のすぐ向こうに橋がく見える。伊毘の集落は、最高の穴場だ!
|
覚悟していたこととはいえ、許せないものは許せない。
昨夜は、夜中遅くまでえんえんと花火の音がしていた。
どでかい音が、10分くらいおきに鳴らされた。
けっこう大人の人いっぱいおったはずやのになぁ。
ひょっとしたら、ものすごい勢いで、日本人の常識レベルは低下してるのか?
寝不足ながら、朝は5時半に起きた。
意外にも、早い時間から多くの人が起きていた。
みんなが寝静まってる中、1人だけ起きてる感じが好きなのに。
1時間後に、出発。
足の調子は、ぜんぜん平気。
相変わらず、可能な限り路地裏を歩いた。
出発してすぐ、近道をしてやろうと、とある港へ進もうとしたところ、女の人に声をかけられた。
「淡路島一周、大変やねぇ。このへん何もないやろ?」と、まるで僕の行動や心境を、ズバリ言われた。
ふつう、「どこから来た?」とか「どこ行くの?」など、声かけられるときは、疑問形から入るのに。
その後、近道を教えてくださったり、「よく休んで、よく水飲んで、ムリしないようにね」と、まるでお母さんのようなアドバイスをいただいた。
こういう何げない出会いは、旅の途中でふと思い出すと勇気になる。
港から進むと、相変わらず何もない道へと出た。
ただ漠然と進むのも何なので、地図をチェック。
すると、先に集落があり、そこからすぐのところに温泉がある。
今からだと、きっと昼ごろ集落につくだろう。
コンビニもあるだろうから、ここで昼食をとり、真昼は暑いだろうから温泉で休憩しよう。
そう目標を作って歩いてみた。
が、休憩をくり返すごとに、予定が少しずつ遅れているのがわかる。
「こらイカン」とあせると同時に、現在自分が全然楽しめていないことに気がついた。
焦っては、楽しめるわけがない。
温泉は入らなくても死ぬわけではないんだし、落ち着こう。
自分に何度もそう言い聞かせ、とりあえず気分を盛り上げることに注意した。
途中、地図にあった「慶野松原」なる地域を歩いた。
松がものすっごく生えている場所が、遊歩道となっている。
こいつは涼しいし、気分がいい。
ここをずっと通り抜けたい・・・気持ちとはうらはらに、急激にノドがかわいてきた。
まさか松林にポンと自販機があるわけないんで、しぶしぶ府道へ戻ることにした。
松林の近くにコンビニがあったので、のどを潤すのと昼食をとるため、立ち寄った。
このときすでに、午後2時。
まだ目的である集落や温泉には、着いていない。
足に負担ないよう、1時間くらいおきにゆっくり休憩しているから、思ってた以上に時間がかかってしまうようだ。
コンビニ横でごはんを食べていると、すぐ目の前に若いお兄ちゃん達の集団がやって来た。
20歳前後だろうか、見るからに悪そうなツラ構えだ。
でも話してることは、「BBQどこでやるか」とか、「タマネギどこで買うか」とか、かわいらしいもの。
別にこちらに何をしかけてくるわけでもなかったが、ただ心の中では「こっち関わるなよ〜」と、ビクビクしていた。
食後は、午前中ほとんど隠れていた太陽がすっかり顔を出した。
おまけに、道は田舎道どころか、ほぼ山道だ。
途中休憩したくても、影となるものがないため、全然休めない。
当然、暑さがこたえる。
もうだめだ。
帰りたい。
歩きながら、ただ弱音ばかり吐いていた。
やっぱり、歩き旅には向いていないのだろうか?
歩き旅のときは、いつも2日でギブアップするもんな。
それと、足の裏に違和感を感じはじめた。
見ると、案の定両足小指にでっかいマメができている。
さらに、杖をついて歩いてるため、杖を持っている手のひらに血マメができている。
極めつけは、またずれ。
太もも同士が擦(す)れ合って、大きなミミズバレができている。
特にまたずれは、シャレんならないくらい、痛い。
しかしながら、先ほどからバスはおろか、タクシーの姿が見えない。
どうやら、今日は引き返しようがないらしい。
とりあえず帰宅はムリなんで、とりあえず前へ進むことに専念した。
午後5時を過ぎたころ、丸山という集落にたどり着いた。
やたら、民宿や旅館が多いところだ。
今日は屋根のあるところへ泊まり、とりあえずゆっくりしよう。
そう考え、片っ端から宿屋をあたることにした。
が、どこも一杯!
さして名物もなさげなこの土地には、何やら家族連れがやたら泊まりに来ている。
今のテンションで、キャンプや野宿はしたくない。
根気よく、さらに宿をあたってみた。
が、結局は一緒だ。
午後6時、いくら探しても見つからない宿をあきらめ、野宿をすることでハラを決めた。
そう思って集落を少し離れると、道路脇に東屋のある小さな休憩所を発見。
よし、ここで野宿しよう!
・・・と思ったはいいが、1つ重大なことに気がついた。
持ち合わせの飲み水が、ほとんどない!
当然、近くに自販機はない。
集落に買いに戻るのもいいが、ゆうに片道10分はかかる。
来た道戻って、また同じ道を歩くほど屈辱的なことはない。
ここは泣く泣く、素通りすることにした。
海岸沿いの道から、山道へと差し掛かったころ、雨がポツリと1滴落ちた。
降るか?
この時間に降られては、テントの張りようがない。
かといって、宿屋はない・・・
一気にあせりだした。
それにしても、野宿とハラ決めたんなら、なぜ飲み水を買っておかなかったのだろう?
さっきの東屋以外にも、海岸には野宿できそうなスポットがいくつかあったのに、飲み水がないせいですべて素通りだ。
自分自身の段取りの悪さに、心底ハラがたった。
歩いてすぐ集落があったので、とりあえず自販機でお茶を買った。
ついでに宿も確保・・・といきたいところだが、ここには宿が見当たらない。
民家もすぐに通り過ぎた。
そこに待っていたのは、すごい山道。
歩道はもちろんなく、路肩は狭い。
どうやらそろそろ日没の限界らしく、歩く度に暗くなっていく。
暗いのにこんな道を歩くのは、めちゃくちゃ危ない。
完全に暗くなくとも、例えば自分が原チャリだったら、こういう道はものすごく飛ばすだろうから、とにかくこわい。
途中で2箇所ほど、草が生い茂りつつも、辛うじてテントが張れそうな空き地があった。
またずれは痛く、疲労はピークなので、いっそここで泊まろうと本気で考えた。
しかしこんな場所では、とても熟睡できないだろう。
特に、野生動物に襲われそうだ。
見えない目的をただひたすら追い続け、ただ自分をムリヤリ元気づけながら歩いた。
久しぶりに、道が分岐している。
まっすぐ行くと、先へ進める。
先には何があるか不透明ではあるが、30分以上歩くと道の駅があることは間違いない。
しかし道の駅で野宿できるかどうかの保証はない。
左へ曲がると、市街地があるらしい。
山道を下るわけなので、海沿いに出られたら、何とか野宿はできそうだ。
しかし砂地がなく、民家の多い市街地だったら、野宿はできない。
いくらか迷ったが、後者の道に賭けてみた。
市街地というよりは、閑静な民宿街。
道沿いには、ずらっと民宿が並んでいた。
いくらか玄関をのぞいてみたが、いずれも玄関に靴がいっぱい。
こりゃ、泊まれそうにない。
諦めて先を進むと、「キャンプ場」の文字が。
テントがいくらかあって、そこそこにぎやかだ。
よかった。
久しぶりに聞く人々の話し声を聞いて、安心感がどっと押し寄せた。
場所を確保して腰を降ろしたころには、あたりは真っ暗になっていた。
まさに、間一髪。
しばらくはテントをたてるでもなく、ただ疲れを癒すべく、ボーっと座りこんだ。
目の前に、淡路島と徳島を結ぶ「大鳴門橋」が、幻想的にライトアップされているのを見ながら。
少し回復したころに、ようやくテントを張り、周囲を散策。
防波堤をはさんで向こう側へ歩くと、どうやら管理塔らしき建物があった。
とりあえずトイレでタオルを濡らし、体中を拭いた。
そう言えば、2日立て続けにお風呂入ってないなぁ。
そう思った矢先、トイレのすぐ近くにシャワー室があることに気がついた。
入りたいところだが、着替えも石鹸も、テントの中だ。
取りに行くには面倒な距離にテントを張っているので、しぶしぶ諦めた。
まったく、何から何まで段取り悪いな!
相変わらず、花火がほうぼうからあがる。
まぁ、今はそれにハラをたてる体力も残っていない。
花火がなりやむのを待ってから、ゆっくり寝るとしよう。
どうせ、明日は帰るつもりだし。
何なら明日は、ゆっくり寝ようかな?
そう思いつつも、携帯の目覚ましはしっかりと午前5時半にセットした。
|
|
 |