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フェリーターミナルの玄関先には、フェリーをまだかまだかと待つ
人が並ぶ。そんなにも楽しい場所なのか?期待感が高まる。
想像以上に小さいフェリー。釣り人は荷物が多いからか、決まって
甲板に出ていた。10分の航路、やはり甲板で風にあたるに限る!
沼島の中心街。すぐに船を出せるためにか、陸と海との境目は
坂になっている。台風来たとき、大洪水にならないのだろうか?
沼島八幡神社からの眺め。手前に町を見下ろせ、視線のすぐ先に
海が広がる。さらに向こうは島の対岸もあり、眺めていて飽きない。
ぎっしり民家が詰まった、住宅街。写真右手のバイクは、今では手に
入らないと思われるほどレトロ。町の要所に、こんな宝物がある。
フェリーターミナル前にある、案内地図。航空写真を拡大して、
一見したところわかりやすそう。でも町を歩くと、まず迷ってしまう。
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頭が、痛い。
悩んでいるわけではない。
物理的に、痛いのだ。
昨夜は会社の同僚と飲んでいて、えらく盛り上がってしまった。
「今日は飲むまい!」と思っていたのに、気がつけばものすごいペースで飲んでいた。
しまいにはオールナイトのお誘いに、心がゆれるほど。
まぁそれだけ、楽しかったということだ。
何とか理性を留められただけでも、まだマシだ。
二日酔いの頭をおさえつつ、今朝は7時に起床し、まず荷物の準備。
飲みに行ってたので、当然準備はまだできていない。
さらに母を車で、奈良まで送りに行かなければならなかった。
旅の当日だというのに、何て忙しい朝なんだ。
午前10時前に家を出発し、1時間後に兵庫県の三ノ宮駅に到着。
ここから高速バスに乗り換えなければならないのだが、高速バス乗り場がどこにあるか、わからない!
交通経路やら時刻表はあらかじめインターネットで調べていたのに、肝心な乗り場を調べていなかった。
結局かけ足で交番で道を聞き、バスターミナルで乗り場を聞き、乗り場ではどのバスに乗ればいいかを聞いて、時間ギリギリ乗り込めた。
しょっぱなからいろんな人に迷惑をかけて、旅人失格である。
高速バスから終点「福良」へ到着し、ローカルバスに乗り換え。
そして前回ギブアップした「東町」へと向かった。
さっきから交通機関に乗りっぱなしだが、見慣れぬ風景がえんえんと流れて行くさまも、悪くはない。
いつか、こういう旅にハマる時が来るのかな?
「東町」へ着いたのが、午後2時。
ようやく旅の始まりだ。
相変わらず何もない道を、えんえんと歩く。
空がくもっているため、たいした疲労はない。
それより、雲がけっこう厚いので、雨が少し心配だ。
2時間後たどり着いたのが、淡路島から南にある離島「沼島」への、フェリーターミナル。
旅の目的が「淡路島一周」とうたっているので、離島に寄る必要はない。
でも、ホームページを見ているうちに、何だか行きたくなった。
今回行かなかったら、なかなか行く機会がなさそうだし。
というわけで、今回は沼島へ行くことにしたのだ。
フェリーターミナルは駐車場が広くとられているが、意外なことに、車がほぼ満車。
また、フェリー待ちしている人々が、けっこういらっしゃる。
けっこう人気の観光スポットなのか?
やがてフェリーがやって来た。
ちっちゃ!
フェリーというよりは、クルーザーである。
船室は100席近くあり、当然甲板に出られる。
荷物を船室に置き、甲板でクルージングを楽しむことにした。
航海時間は、わずか10分。
小型船ならではの速いスピードが、たまらなく気持ちよかった。
強風にあおられながら、自分の中で沼島への期待感が非常に強いことを感じた。
これはかつて、自転車で日本一周したときに、四国・沖縄・北海道へ行ったときの感覚にあったものだ。
海を挟んだ土地が、まるで異国の地と感じてしまうというか、ものすごく日常から離れるというか、何と表現すればいいかわからない興奮。
こんな興奮をするなんて、よっぽどスバラシイ島なのかな?
そして、沼島に到着。
まず意外だったのが、若者が多いこと。
小さな孤島なので、はげしく過疎化が進んでいるものだと思っていたが、どうやら思い違いらしい。
フェリーターミナルのすぐ近くにある看板を見て、まずは島全体を確認。
沼島でのいちばんの目的である、八十八箇所めぐりの順路が書かれている。
が、もちろん目で見ても覚えられない。
とりあえず、近くに数箇所あるようなので、適当にまわってみることにした。
フェリーターミナルからすぐ行くと、小さな商店が1件と、海に隣接した道がある。
どうやらここが、中心地らしい。
ここから民家へ一歩足を踏み入れると、民家の密度の濃さにまず、ビックリする。
人口が少ないと思っていたが、このへんは人がぎゅっと一箇所に集まっているのだろう。
また、あまり区画整備がされていないらしく、道がどうつながっているのかがわからない。
そのせいか、早速1番目のお地蔵さんの場所がわからなくなった。
とりあえずお遍路は一旦置いといて、道になれるべくウロウロすることにした。
すると、長い石段があった。
「沼島八幡神社」。
どうやらこの島の中心となる神社らしい。
実際に石段に上ると、町が一望できる。
なるほど、これだと神様も、島をくまなく見守れるわけだ。
軽く神聖な気分になりながら、しばし風景を楽しんだ。
再度フェリーターミナルに戻り、地図を再確認。
縮尺が読めないし、町全体がまだ把握できていないため、やっぱりわかりづらい。
とりあえず、1番目は「神宮寺」というところにあるようだ。
ちなみに神宮寺は、先ほどの沼島八幡宮のすぐ隣。
当然、一度歩いた道なので迷わずたどり着けた。
寺の境内をくぐると、あるわあるわ、お地蔵さん。
右に左に、いろんな大きさのものが、た〜くさんある。
で、お遍路さんのお地蔵さんはどれやねん!
とこんな場所で怒り狂うわけはなく、とりあえず1体ずつ合掌した。
ちなみに最後に合掌したものが、そうだったようだ。
そこからは、先ほど記憶した地図と、まだ慣れない地理を頼りに歩いた。
というのも、標識も何もなく、道中に地図すらないのだ。
お遍路を名物にしておきながら、この不親切さはニクイとしか言いようがない。
何とかそれなりに、お地蔵さんは見つけた。
お地蔵さんには、何番であるのか番号が彫られている。
しかし、同じ番号のお地蔵さんが横並びになっていたり、一箇所に3つくらい連続した番号のお地蔵さんがあったりで、果たして本当に順番どおりまわれているのか、わからない。
ある程度まわったところで、次のお地蔵さんの位置がわからなくなった。
わからないなりに住宅街をウロウロしてると、表でお酒を飲んでいるおっちゃんに声かけられた。
「何や兄ちゃん、迷っとんか?」
「えぇ、ちょっと遍路してるんですけど、わからなくなって」
「何番までまわったん?」
「実はそれもわからない状態で・・・」
こんな調子で、会話がうまくかみ合わなかった。
いかつい表情、乱暴な言葉遣い。
でも話をしていると、とても親切であることがわかる。
「もう暗ぁなるし、今日はやめとき」というお言葉を素直に受け、今日の散策はここで終わることにした。
町の中心地にある商店で晩飯と朝食を買い込み、フェリー乗り場へ。
わざわざフェリー乗り場へ戻らなくとも、野宿できそうな場所はいっぱいあった。
が、釣り人が常にいるし、フェリーターミナルはそこそこ明るいので、ここがいちばん安心できるのだ。
そして今は防波堤に上って、釣り人さんらと並んで、日記を書いている。
釣り人さんらは、非常に静かだ。
また、ここは車をフェリーで持って来られないため、バカみたいにこの時間まで走り回る車はない。
ここは民家からやや離れているため、テントを張っても住民の方に心配はかけないだろう。
こんな警戒心を抱かない野宿は、はじめてかも。
今夜はゆっくり眠れそうだ。
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