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常神半島の途中にある三方湖。湖岸に茅葺屋根を発見。
屋根の下には船が停泊し、湖岸ならではの生活臭が漂う。
一見雑然と見える、常神の集落。かつて「陸の孤島」と
うたわれたそうだが、とても秘境とは思えない賑わいっぷり。
樹齢1000年以上を誇る、常神の大ソテツ。圧倒的な
存在感だが、路地裏のさらに裏に自生。見る価値はアリ。
とにかくもの静かな、三方五湖沿いのサイクルロード。
時折観光船がやって来るのが、唯一残念なところ。
水深20メートルの透明度を持つ、水晶浜。すでにシーズンオフ、
場所も地味なのに、海岸を見に来る人が多い。とにかくきれいだ。
美浜原子力PRセンターの入り口。少年時代なら、もう
これだけで興奮していたはず。入場無料なのは太っ腹。
敦賀半島東側の最北端、立石の集落。民宿すらないのか、
集落へ入る途中で「立入禁止」標識。閉鎖的な雰囲気である。
次の日の朝撮影、気比の松原で野宿。街とは松原で遮断され、
砂浜と海が広がる。火気厳禁のはずが、花火している奴がいた。
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幸いにも予感は外れ、夜中犬はやって来ず、熟睡できた。
犬はテント建てている最中にもう1度来ただけ。
目をそらして鳴いていたところを見ると、ただの臆病な犬のようだ。
午前5時に起床。
外は寒いので、テント内で待機。
朝日を見ようと時折外をうかがうのだが、たまたま散歩している住民と目があった。
いつもならここで、「野宿かぁ〜、楽しそうやのぉ〜」という、ゆる〜い会話が始まる。
しかし予想に反して、「見回りの人来たら怒られるから、早く立ち退きぃよ」と警告された。
やはりこのあたりのビーチは、警戒が強いようだ。
海の向かいに、アノ国のせいか?
午前7時半に出発し、旅の目標の1つである、「常神半島」へ。
地図を見ると、道がうねっている。
海岸沿いの道だけど、坂がはげしいと思われる。
予想は見事的中。
しかも、坂の勾配は予想以上にキツい。
ひと山越えては漁港、の繰り返しである。
途中、野ザルを見た。
1匹や2匹ではない。
たまたま1匹いたので、まわりの木々を見ると、大小さまざまなサルが大群でいた。
「サルはカメラや袋など、色のついたものを見ると襲ってくる」と、昔遠足で聞いた覚えがある。
自転車の前後に、寝袋やらテントやら色とりどりの荷物をくくっている今の状況は、どうすればいいのだ?
上り坂をのぼる速度では、襲われても逃げ切れないではないか!
などと不安を感じていたが、予想に反して野ザルは襲っては来なかった。
かなりバテて、「そろそろ休憩したい!」と思ったころに、半島の先端、常神の集落へ到着。
ここへ来るまでさんざん漁港はあったが、「釣り人以外立ち入り禁止!」といわんばかりに、釣り人が多い。
道の右手は民家が並ぶのだが、洗濯物を干すようないきおいで、タコが干してある。
左手は海で、波止場。
言うまでもなく、釣り人だらけ。
駐車場に停まっている車のナンバープレートを見ると、ワンペア揃えるだけでも大変なほど、いろんな地域から人がやってきていることがわかる。
ひょっとしてここは、釣り人の聖地なのだろうか?
海を眺めながら、長めの休憩をとった。
また、常神の名物らしい「大ソテツ」とやらを見に行った。
路地裏に続く道しるべをたどると、とある民宿の裏庭に出る。
ソテツといえばパイナップルを大きくした形状を思い描く。
しかしここの大ソテツは、8本も枝分かれしている。
パイナップルというより、「ヤマタノオロチ」という単語が頭をよぎる。
民家の天井をもしのぐ高さがあり、見事である。
ただ、名物にもかかわらず、民宿の部屋の後片付けや干した洗濯物が見える路地裏にあるのは、違和感がある。
来た道を戻り、途中で半島を横断する道へ。
半島の付け根付近には、「三方五湖」という5つの湖がある。
海水と淡水が混じっている湖だが、湖によって海水の濃度が違い、それぞれ水の色が異なるとのこと。
それぞれの湖を見るべく、サイクルロードを走る。
サイクルロードといっても、自転車用に特別整備されてはいない。
軽の車が1台やっと通れる、住民が農村を往復するために使うであろう、小さな道だ。
梅林に囲まれたかと思えば、湖面スレスレの道になったり、杉のしげる林道になったりと、風景がコロコロと変わる。
常に湖が風景にあり、人口的な音がいっさい聞こえない。
最高の賛美をあたえたくなるような、いい道だ!
仕事中にこんな道があったら、間違いなく「会社なんてどうでもいいや」と仕事を投げ出すであろう。
国道へ戻り、最後の目的地「敦賀半島」へ。
敦賀半島は、西と東にそれぞれ道があり、また横断道が通っている。
言うなれば、アルファベットの「H」状に道がとおっている。
まずは、西側の道を北上。
常神半島ほどひどくはないが、何度か坂が続く。
特筆すべきは、ビーチの美しさだろうか。
海が青い!
それでいて、白い海岸が長く続いている。
特に横断道近くにある「水晶浜」は、決して名前負けのない美しさである。
シーズンオフながらも、車で寄る人がけっこういる。
半島西側には、原子力発電所が2つある。
「美浜発電所」と、「もんじゅ」である。
水晶浜のすぐ北側にある「美浜発電所」は、海にかかる橋の先にある。
が、橋へは関係者しか通れず、厳重な警備体制がとられている。
その代わりといっては何だが、橋のすぐ手前に無料の博物館がある。
館内はきれいで、原子力発電所のメカニズムが非常にわかりやすく説明されている。
しかしこのテのものは、1人で見ても面白いものではない。
半島の先にある「もんじゅ」は、長いトンネルを越えた先にある。
が、トンネルへは関係者しか通れず、厳重な警備体制がとられている。
入り口付近で写真だけとって、Uターンした。
一旦道を引き返し、半島の横断道を東へ。
高い山はなく、道がはげしくうねっているでもなく、非常に見晴らしのよい道である。
だが、見た目とはうらはらに、ものすごく坂の勾配がきつい。
途中からはこいでいられず、自転車を押し歩いた。
普段から愛想のよい人に、笑顔でぶん殴られている気分である。
半島の東側は、非常に閑静である。
集落をとおっても、人影がほとんど見えない。
とりあえず北上し、半島の先へ。
集落があり釣り人はいるが、もの静かでどことなく閉鎖的な雰囲気がある。
「立入禁止」と、集落の途中に標識が立っているからだろうか?
灯台が歩いて行ける距離にあるようだが、なんとなく行く気が失せ、引き返した。
午後5時、徐々にあたりが暗くなる。
殺風景な景色を南下しつつ、久しぶりに気持ちが落ち込む。
半島を南下しきってしまうと敦賀市街なので、野宿がしにくい。
かといって半島で野宿できるところを探しても、なかなか海岸へ降りる場所がない。
考えているうちに、いつしか市街地へ到着。
しかし、海側に大きな松原がある。
日本の三大松原、「気比の松原」である。
うまいこともぐりこんで、野宿できるかも。
とりあえずあたりが完全に暗くなるまで、コンビニで夕食をとって待機。
気比の松原は、国定公園である。
当然、こんなところで寝泊りすると怒られるであろう。
が、「キャンプ禁止」なんて注意書きが見当たらない。
公園案内を見ても、「火を使ってはいけません」としか書いていない。
なるほど、野宿はOKなんだと勝手に解釈し、自転車を公園内へ入れた。
現在、松原からすぐにある海岸で、アルミシートを敷いて寝転がっている。
ひどく寒いため、寝袋にくるまっている。
満月だろうか、月がきれいだ。
街灯が松原で隠れているため、月の明かりが特によくわかる。
さっきから眠いのだが、今は午後7時。
夕食後に、このあたりを散歩する人たちがいるだろう。
テントを立てているところを目撃され、通報でもされたら、立ち退きを強いられるかも知れない。
夜遅くに立ち退きを命じられても、行く場所ないから困る。
あと2時間くらい、このままでいよう。
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