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えんえん上り坂が続く、国道161号線。路肩が狭いうえに、
トラックが多く、店や自販機がない、非常に走りにくい道。
雪がなければただの空き地?敦賀国際スキー場。
リフトと丘を見ると、ついつい足がうずく。スキーしたいな。
急勾配の坂を汗だくで上り、たどりついた温泉「てんくう」。
風景を楽しむよりも、風呂でゆっくりする時間を最優先した。
「告 少々のお金でお困りの方はご自由にお持ち帰りください
地蔵菩薩」鯖街道にあるお地蔵さん。思わずお金を置いた。
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釣竿のしなる音で、目が覚めた。
午前6時。
昨夜は午後9時ごろに寝たので、だいぶよく眠れた。
テントから顔を出し、外の様子を見る。
と、ご年配の男性がすぐ近くで、こちらをじ〜っと見ている。
何も言わずにすぐさま立ち去ったが、何が言いたかったのだろう?
午前7時過ぎに出発。
まだ寝静まった敦賀市街を走る。
ふと、ある場所に立ち寄りたくなった。
かつてママチャリで日本一周したときに、一泊お世話になったお寺だ。
当時は気まぐれに住宅地へ入り、たまたまお寺を見つけたので、詳細な場所は覚えていない。
とはいえ、何となく「ここ曲がったところでは?」と予想できるものがあった。
勘を頼りに、国道から住宅地へ入り、間もなくお寺を発見。
何となくここだったような、でも違うような・・・
どちらにしてもまだ早朝、とても訪れてよい時間ではない。
軽く一礼だけして、お寺をあとにした。
道は、敦賀から琵琶湖の北側へ抜ける国道161号線を、南下。
琵琶湖まわりの道はたいがい何度も走っているが、この道は走った覚えがない。
山に囲まれた上り坂が続く。
朝から上りが続き、ひどくバテてしまう。
峠付近に、「敦賀国際スキー場」なるスキー場を発見。
リフトはかかっておらず、スキー場の受付であろう建造物は、かなり古い。
ひょっとして、廃スキー場ではないだろうか?
現役だとしたら、冬場は雪に隠れて古さが目立たないのだろうか?
どちらにしても、“国際”とうたっていることに、ひどい違和感を感じる。
峠から一気に坂を下り、琵琶湖の北側へ。
ここはすっかり、見慣れた道だ。
だいたいではあるが、どのあたりに交差点があるとか、どんな形状のペンションがあるとか、風景そのものを覚えている。
このまま南下したほうが、帰宅するには近道である。
今までは間違いなく南下するルートをとっていただろう。
「最終日=帰路」という固定概念があったからだ。
しかし今回は、最後の最後まで“旅”を楽しむという志がある。
そのため、一旦西へ進路を変え、遠回りを覚悟で鯖街道経由で帰ることにした。
鯖街道までの県道は、安曇川の下流沿いにあり、ゆるやかな上り坂である。
道沿いにはお店などがちらほらとあり、思った以上に栄えている。
鯖街道に合流してすぐ、温泉へと向かう。
「てんくう」という温泉は、鯖街道から少し外れて5キロの地点にある、と標識が立っている。
標識どおりに向かうと、信じられないくらい勾配のきつい上り坂!
なるほど、温泉名に偽りなし、ということか。
何度もうねる上り坂を、自転車を押してひたすら歩いた。
歩いているにもかかわらず、汗がにじみ出ることから、坂のきつさがわかるだろう。
しかもこれを、えんえん20分!
ようやく到着し、一目散に温泉へ。
客がめちゃくちゃ多いのは、よほどこの温泉が人気なのだろうか?
残念なことに、露天風呂は柵が高く設置されていて、あまり風景を楽しめない。
とはいえ、3日ぶりの風呂は最高に気持ちがいい。
あまりの心地よさに、予定より1時間も長く居座った。
鯖街道へ戻ったのは、午後3時半。
太陽の色は、ほんのり夕焼けに近づいている。
昨日はこのくらいの陽射しになると、気分が落ち込んだものだ。
しかし今日は、妙にテンションが高い。
ひとえに、鯖街道の風景のおかげだろう。
往路とは風景が違って見え、とても2日前に来たばかりだとは思えない。
次第にあたりは暗くなるが、純粋にその時々の景色を楽しめた。
京都市街に着いたころには、あたりは真っ暗。
「早く帰りたい!」とスピードをあげて大阪へ向かったのは、昔の話。
なんだか妙に、心が落ち着いている。
これが旅人としての心というなれば、すっかり成熟したものだ。
結局帰宅したのは、午後8時過ぎ。
この時間ですでに眠たいのは、早寝早起きを強いられる、野宿旅の後遺症である。
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