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「たこフェリー」の乗り場前にある、神社の神様。おみくじを口の
中に詰めたり、はちまきにくくりつけたり。誰か掃除しろよ!
御井の清水の、水汲み場。名水が汲めるので神聖な山奥かと
思いきや、国道から近く、ど派手な看板で案内されている。
瀬戸内海を旅すると、よく祭りに出くわす。どうやら次の日に祭り
があるそうで、みこしの手入れをしていた。祭り、見たかったな。
海と民家が、道路でスパッと分けられた風景が特徴の、由良町。
この素朴な風景も、アクシデントのおかげで一生忘れられない。
唯一強風が防げる場所は、皮肉にもこんな場所。寝返り
でもうってテントが倒れようもんなら、普通に大事故だぞ。
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最近心配なのは、旅に対するモチベーションの変化である。
旅に目覚めたころは、前々日から持ち物を仕込み、足りないものは前日買い出しに行ったものだ。
そして当日は、普段よりも早めに目覚め、可能な限り早い時間に旅立ったものだ。
が、今は前日にダラダラ準備し、当日の朝まで準備を持ち越す。
そのせいか、必ず1つや2つ、忘れ物をしてしまう。
目覚めも普段と同じか、少し遅めの時間になる。
明らかに、旅に対する緊張感が薄れてしまっている。
そんなことを感じながら、明石行きの電車に揺られている。
起きているのか寝ているのか、明らかに低いテンションのまま、やはり直前に準備した大荷物を抱えている。
こんな気分で、今回の旅は大丈夫なのか?
午前9時半、フェリー乗り場へ到着。
客はGWにしては、そう多くはない。
相変わらず、家族連れと旅人がたむろしている。
フェリーを見た瞬間、一気にテンションがあがった。
よかった、まだまだ旅への好奇心は失っていないようだ。
フェリーで20分、淡路島へ到着。
1年ぶりであり、2回目であるキックボードを組み立て、早速走ってみる。
久しぶりながらも、乗る感覚は体が覚えてくれている。
段差につまづくこともなく、まずは順調な滑り出しとなった。
はじめに目標としたのは、「御井の清水」という湧き水が汲める場所。
にわか“湧き水マニア”であるために、淡路島へ来るときはいつも訪れる場所である。
1時間もあれば到着できると思い、地図で場所を確認せず、給水もせずに直進。
しかし、いっこうにたどり着けない。
のどがかわいてきても、「もう少しで湧き水」と思い、ガマンを続ける。
そのせいで、脱水症状がどんどんひどくなる。
それにともない、テンションも徐々に低くなる。
やはり、具体的な目標を決めて旅するのは、よくない。
ようやく、湧き水の給水所に到着。
1リットル分を汲み、小休止。
時計を見ずに走っていたが、確認するとなんと3時間もノンストップで進んでいた!
休憩中、1組の老夫婦が水を汲みに来た。
「兄ちゃん、さっき岩屋(フェリー乗り場)から走ってたやろ、すごいなぁ〜」
目撃されるのは当たり前であるが、あらためてこう言われるとうれしい。
しばらく老夫婦とお話を交わした。
こういう何気ない出会いも、旅の醍醐味である。
再出発の矢先、また別の人にも、さっき目撃したということで声をかけられた。
ひとり素朴に旅しているつもりであるが、けっこう見られているものだな。
午後2時前、少し遅めの昼食をコンビニで済ます。
すると急に、眠気が襲ってきた。
最近は平日であっても、昼食後に眠たくなるクセがある。
歳だろうか?
さっきまでほぼノンストップだったが、ここからはこまめに休憩をとることとなる。
そういえば、琵琶湖をキックボードまわったときも、こんなペースだったような。
今度から、昼食後は温泉行くなりで長めの休憩をとろう。
島を南下するにしたがい、道がどんどん狭くなる。
路肩がせまいと、スピードの出ないキックボードは致命的である。
また、交通量も多くなり、緊張感が高まる。
わずかな段差でもつまづくキックボードにとって、このシチュエーションは恐怖以外何ものでもない。
野宿の候補地であった、大浜海岸へ到着。
松林と砂浜が広がる海岸である。
ここは「キャンプ禁止!」と明示されているうえ、人の通りが多い。
時間はまだ午後5時前だし、もう少し先へ進もう。
とりあえず水道で、髪と体を洗う。
日焼け止めを塗っているうえ、つばの長い麦わら帽をかぶっているにもかかわらず、顔がヒリヒリする。
この時期の紫外線は、本当に恐ろしい!
午後6時ごろ、由良町へさしかかる。
これ以上進むと山道になるし、そろそろ野宿場所を探さねばならない。
海沿いにテント張れる場所あるかな〜と見回していると、足元から妙な異音がする。
そういえば、さっきからキックボードの車輪の音が、おかしい。
一旦降りて見てみると、あからさまに変形している!
これは明日あたり、ひょっとしてひょっとするなぁ。
などと思って再出発すると、5分もしないうちに車輪が動かなくなった。
車輪、完全に崩壊。
この時点で、「キックボード淡路島一周」の計画は、台無し。
だが、気持ちは意外と冷静である。
「明日は沼島(琵琶湖南部の離島)でも行くか」と、すぐさま明日の計画を思いつきながら、キックボードをかかえて歩く。
昔ならば、うろたえていたろうし、バス使って帰宅していただろう。
むしろ、すがすがしさえ感じる。
広い漁港を見つけ、野宿地に決定。
とりあえず腰を降ろし、休憩する。
しかし、風が強いし寒い!
休憩もそこそこに、風を防げる場所を探す。
そして発見。
堤防のすぐ脇。
テントを張ると、大人1人分が通り過ぎれる程度の、狭い場所である。
やや怖い立地条件ではあるが、風で夜中にテントが飛ばされるよりは、マシである。
外は相変わらず寒いので、夕食を済ますとすぐさまテントに入った。
さっきから何度か、テント横を人が通り過ぎている。
何も言われないので、撤去を要求されることはないだろうが、やはり怖い。
寝袋にくるまれ、体が完全に落ち着いたころ、ようやくキックボードが壊れたことへのくやしさがこみあげてきた。
昼間声をかけてくれた人々の顔を思い出すと、何とも心苦しい気持ちになる。
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