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自転車で田舎や県境を通るとき、たまにあるバイパス道。
特にこのような合流箇所は怖い!生命の危機を感じる。
琵琶湖南東部に広がる公園。公園といっても、芝生があり
湖が見えるだけ。平和な気分を味わうには、これで十分。
近江商人の街並みで一番アツイのが、この屋根つき商店街。
昭和初期を思わせる看板も残り、レトロファンにはたまらんだろう。
写真左が片雲の風さん、写真右が水路君。ここが居酒屋
なら、朝まで話続ける自信アリ!2人ともいい旅ネタあるもん。
バイカー夫婦の息子さん。なかなかなつかないが、常にこちらの
機嫌をうかがっている。子どもを手なずけるのは、難しい。
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冬に旅に出る。
寒さにめっぽう弱い僕には、とても信じられる行為ではない。
特に自転車旅だと、平地、峠の上り、下りのつど、服装を変えるのが大変そうである。
しかし今年は、暖冬である。
その新しい試みにいどむには、絶好の機会。
かくして、生涯はじめての「冬旅」にいどむこととなった。
朝の冷え込みを回避し、いつもより1時間も遅い午前9時過ぎにスタート。
陽射しはめっきり春でありながら、風は冬の冷たさである。
長シャツとパーカーの2枚着でもうっすら汗ばむほどだから、トータルで考えるとやはり冬とは言いがたい気候である。
琵琶湖一周なんて、毎年やっていること。
一応地図を持っていったが、地図はまったく見ずに進んだ。
はいいが、琵琶湖へ行く直前の道で、道を1本間違えてしまった!
山沿いのバイパスの道は、坂が続くうえに大型トラックがバンバン通り、軽く生命の危機を感じる。
引き返そうにも車の通りが多く、反対車線に渡れない。
まさか右側通行で走るわけにもいかないので、とにかく直進することにした。
坂が落ち着き、トンネルが見えたところで、地図を確認。
トンネルを抜けた道をそれると、なんとか琵琶湖へ行ける。
それほど遠回りにもなっていないようだ。
トンネルを抜けたところで、ようやく今日はじめて「楽しい!」と思えるようになった。
大津市の都心からすぐ近くに、琵琶湖沿いの公園がある。
ちょうど昼食どきだったので、ここで昼食をとることにした。
わざわざ市街地へ行き、コンビニで食糧を調達してから、公園へ戻った。
昼食後は、お湯をわかしてコーヒーブレイク。
いつもなら、ご飯を食べたらすぐに出発しているところだ。
こうゆったりするのも、いいものだな。
今までの「とにかく先を急ぐ」という旅スタイルを、もっと見直したいな。
昼食後は、えんえん公園を走る。
琵琶湖に面して東へ進路をとり、やがて北上。
大津から20kmくらいまでの道は、とぎれとぎれながら、公園が続く。
公園はゆっくりとした時間が流れ、「平和です!」といわんばかりに、のどかである。
琵琶湖沿線の道はうねっているため、距離をかせぐにはその隣の県道を通ったほうが早い。
例年は県道を走るが、急ぐ必要もないので、あえて琵琶湖沿いの道を進んだ。
今まで走ったことのない道が続くので、ひどく新鮮である。
琵琶湖のシンボルの1つである「琵琶湖大橋」を過ぎたころ、急にくもってきた。
陽射しがないだけで、ひどく寒さを感じる。
自転車をこいでいる間は大丈夫なのだが、止まったとたんに体が冷えることが予測されるため、休むことができない。
ここにきて、気分が一気に下がる。
休憩がなかったためか、目的のユースホステルそばへ、予定より2時間も早い午後4時に到着。
さすがに明るいうちから宿に入るのは、気がひける。
地図をたよりに、近くの観光地を探した。
そういえば琵琶湖で観光ってのも、はじめてである。
「近江商人の街並み」。
なんだか面白そうなフレーズが目に飛び込んだので、寄ってみることに。
ここ近江八幡市は、かつて商業が盛んな街だったらしい。
昔は琵琶湖で運輸してたらしいし、近所に城跡がクサるほどあるし、栄えていたことは想像できる。
その江戸時代からの街並みが残っているとのことだ。
街並みに到着。
ん〜、やや微妙。
確かに、お代官屋敷やレンガ造りの建物が並んでいる一角はある。
しかしすぐ離れると、思いっきりヘーベルハウスの家が立ち並んでいる。
なんなら、僕の住んでいる家の近所のほうが、代官屋敷の数が多い。
とはいえ、このあたりは一部の方には人気らしい。
めがねをかけてカメラを持った、日本人丸出しの男性客がウロウロしている。
なんだかんだで1時間居座り、夕食をとることにした。
少し離れたラーメン屋に入ってゆっくりしていると、どうもいやな予感。
店を出ると、なんと雨!
ラーメン屋に雨宿りできる屋根がないので、あわてて近所の酒屋へ。
幸い雨は30分ほどでやんだが、明日が少し心配である。
午後6時、ユースホステルへチェックイン。
「近江八幡ユースホステル」という、明治時代から建っている貴重な地方財産を宿舎にしたところ。
親切なペアレントさんと雑談を交えつつ、手続きを済ませて部屋へ。
この時期に客はいないだろうと踏んでいたが、部屋にいくとすでに1人、こたつでゆっくりしている人がいた。
東京から電車でやって来たそうで、明日岐阜へ行くことが目的らしい。
どこぞのCMで、住宅地にめちゃくちゃきれいな水が流れている光景を見て、「ここ行く!」と直感的に思ったらしい。
こういう直感的な旅は、非常に共感が持てる。
(以下、彼のことを「水路君」と呼称します。)
夕食の時間となり、水路君は食堂へ向かい、その間僕はお風呂へ。
お風呂をあがると、水路君が食堂で女性とお話をしているので、すぐさま会話に入る。
彼女は、長野から電車でやって来たらしい。
ただ目的が「ただ何となく遠出したくて」とのことだ。
琵琶湖に来ることにしたのも、今朝電車に乗り、昼間名古屋についたころ思いついたらしい。
ここまで行き当たりばったりな旅は、理想の境地である。
(以下、彼女のことを「片雲の風さん」と呼称します。)
以降、ずっとロビーで雑談。
水路君の屋久島や小笠原諸島、小豆島などの離島を旅したときの話、片雲の風さんが北海道の礼文島という離島で働いていたときの話など、基本的に旅にまつわる話で盛り上がった。
当然僕も、旅の話題については引き出しが多いので、おおいに話した。
1ヶ月ぶんくらいは話したんではないだろうか?
途中、ロビーに1人の子どもを連れた夫婦が交じった。
夫婦は2人ともバイク好きらしく、北海道でツーリングをしていたときに知り合ったらしい。
旅で知り合い結婚するなんて、旅人として一種夢のような話である。
こうやって、結婚してもユースホステルに泊まれるなんて、うらやましい限りである。
結局、午後11時の消灯時刻ギリギリまで、話をしていた。
最近野宿ばかりでユースホステルに泊まらなかったが、ユースホステルの醍醐味を久しぶりに再確認できた。
特にこうして、宿泊客全員が1つとなるのは、ごくめずらしい。
貴重な時間をいただいたみなさんには、心から感謝したい。
そして今は、眠気を押し殺しながら日記を書きつづっている。
自転車疲れと話し疲れで、なかなかペンが進まないぞ。
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