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キックボード淡路島一周    【1日目】
● 2008年5月4日(日) はれのちくもり 兵庫県淡路市〜兵庫県南あわじ市
旅の目的

1泊2日で、キックボードで淡路島一周。
1年前失敗した旅の、リベンジ。
「一周」というからには、海沿いに走るのがセオリーであるが、島南部はきつい峠があるのでパス。

もちろん、宿は何も決めず、寝袋・テント持参。
今さら、一泊二日の旅に、宿なんて心配する必要ないもんね。
と、思ってた矢先にね・・・
詳細は、本文参照。



つばの広い麦わら帽子に、スポーツグラスではなくオシャレ
サングラス。歩きとキックボードの旅での、正装です。



淡路島から見る瀬戸内海は、南へ行くほど青くきれい。
かつてのリゾート地としての貫禄は、まだまだ健在です。


策の向こうにある茶色い塊は、淡路牛。牛はおとなしいけど、
角があるせいか、間近で見るとこわい。めっちゃ目ぇあわしてくるし。
一度やったことのある旅は、基本的にもうやらない。
これは、僕の旅における、ささやかなこだわりである。
アイデア勝負というか、チャレンジ精神というか、そういうもので旅を成立させている。

にもかかわらず、今回の旅は、去年と同じもの。
というのは、去年立てた目標が達成できなかったことへの、リベンジである。

キックボードで、淡路島一周。
断念したままで放っておくには、あまりにもったいないアイデアである。


そんな思いを胸に、1年またいでの再チャレンジ。
GWまっただなかでにぎわう、明石(本州)→岩屋(淡路島)を結ぶ「たこフェリー」に揺られ、午前10時に淡路島へ到着。
去年と同じ風景を見るのはイヤなので、逆まわりに進路をとった。

ちなみに、キックボードを買い換えた。
去年は子供用であったが、今回使用するのは、大人用。
定価でいえば3倍ほど違うが、走りにどれほど違いがあるのだろうか。
早速、海沿いの国道を滑走してみた。

軽快!
車輪が子供用より大きいせいか、けってからの“伸び”が、非常によい。


天気は快晴!
スタートからずっと、ハイテンションで進む。

こぎはじめて30分くらいしてから、30歳後半くらいの男の人に、呼び止められる。
僕に声をかけたかったらしく、車で一度僕を追い抜いたあと、待ち伏せしていたらしい。
どうやら、キックボードで走っている姿に、ひどく心打たれたそうだ。

「発想がすごいわ」という言葉を、何度も聞いた。
当然ほめられて、うれしくないわけがない。

今回の旅の数日前まで、会社の都合で長期的に東京にいた。
仕事やプライベートで、けっこう心にもやもやがあった。
そういう意味では、「自分を取り戻す旅」にしたい、という願望があった。
まさか30分で、取り戻せるとは!
やっぱり旅は楽しいし、旅をしている姿こそ自分らしさなのだ。


以降、やたらいろんな人から「がんばれ」と声をかけられる。
今まであちこち旅をしているけれど、1日にここまで声をかけられるのは、はじめてである。

特に印象的だったのは、昼過ぎにとある商店の前で、休憩していたとき。
商店のおばあちゃんが声をかけてくれたのだが、「これでまわってんの?」とおもむろにキックボードを手にする。
と同時に、何のためらいもなくこぎはじめた。

いやいや、大丈夫か?
70〜80歳くらいであろうおばあちゃんの、突然の行動には度肝を抜かれた。
が、意外にスムーズに操作するさまは、もっと驚いた。
「けっこう楽しいもんやねぇ」というおばあちゃんの笑顔は、純粋にかわいいと感じた。


午後3時を過ぎたあたりから、太陽の色が変わりゆく。
この時間から夕暮れまでは、たいがい気分が落ちてしまう。
あらかじめそれを知っていたため、ここからはあえて、感情をオフにした。

その甲斐あってか、ひどく落ち込んだり、不安を感じることはない。
逆に、淡路島南西部の美しい海岸を見ても、あまりきれいとも思えない。

昼間の平地続きとは違って、道はアップダウンが多くなる。
また風が強くなり、下り坂なのにけらないと進めないことも、しばしば。


午後6時ごろ、南西部を走破し、福良という街へ到着。
1時間後には日没なんで、そろそろ宿を探さなければならない。
GWで民宿などはいっぱいだろうから、当然野宿を覚悟。
だが、道はまんべんなく住宅が続き、なかなかいい場所が見つからない。

先ほどからの風が、とにかく強い。
テントを張ることすら、ままならないかも。
いっそ、電話ボックスの中で寝てやろうかと、本気で考えた。

こんな状況にもかかわらず、心は意外なまでに冷静。
「なんとかなる」と信じ、何も考えずに先へと進んだ。


なんとなかった。
本格的に日が暮れかけたころ、ある男性に声をかけられた。
「もし良かったら、うち泊まらへん?」

今まで旅をしていたなかでも、こうして相手から泊まるようすすめられたのは、はじめて。
もちろん、二つ返事で泊めさせてもらうよう、言葉に甘えた。

どうやら彼は数時間前に、別の旅人から「キックボードでまわっている奴を見た」というウワサを聞いていたらしい。
そこで興味を持ってくれたらしく、道で僕を見かけて、先回りしていたとのこと。

彼の友達が車に乗っていたので、3人で焼肉へ行き、温泉へ行き、そして彼の家へ。
本当に、泊めてもらうことに関しては、感謝の気持ちでいっぱいである。


10分に一度発せられる恩着せがましい発言や、絶えず一方的な挙動や、疲れているのに12時過ぎまで連れ回されることは、感謝の気持ちで押し殺すことにしよう。


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