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キックボード九州一周〜後編〜     【2日目】
● 2014年8月12日(火) くもりのちはれ 福岡県大川市〜長崎県大村市



川の上にそびえる「筑後川昇開橋」。機会があれば、
橋の昇降や、船舶がくぐる姿を見てみたいものだ。


足湯なのに、ホンモノの泉質を感じられる「嬉野温泉」。
土産屋が並ぶ光景を見ると、旅行者として訪れたくなる。


木造というだけで、なぜかなつかしさを感じる「千綿駅」。
疲れのたまった体には、避暑地として最高の場所である。


赤ちょうちんまでぶら下げたこの建物を見て、果たして宿だと
判別できるだろうか。ここまで脱力感ある宿は、はじめて。
きのうほどではないが、あいかわらず朝からくもっていて、蒸し暑い。
夏でも朝はすがすがしいイメージを持っていたが、こんなもんだったろうか?

出発してすぐのところにある、「筑後川昇開橋」なるところに寄ってみる。
まっ赤な鉄製のボディの中央部分は、船舶が通れるよう、昇降するらしい。
かつては電車も通っていたらしく、橋の手前に踏み切りが設置されている。

何でも、ここは開運スポットだそうな。
この頑丈ないでたちの、どこが開運なんだろうか。
と思いきや、どうやら「海運」とかけたダジャレのようだ。
地方の観光地では、こういう短絡的な言葉遊びを、たまに見かける。

ちなみに、橋を渡れる時間帯は1日に8回と限られており、残念ながら渡ることができなかった。


午前11時ごろには、太陽が顔を出しはじめ、本格的に暑くなってくる。
避暑も兼ねて昼食をとりたいところだが、目につくお店は、どこも開店前。
スーパーやコンビニも、見当たらない。

空腹も感じてきたので、今回たまたま持参したアメとキャラメルでしのぐ。
これがなかなか効果的で、空腹感が見事にまぎれる。
おなかがすいた状態で走ると、心が折れそうになるので、今後は必ず持ち歩くことにしよう。

ようやくコンビニを見つけ、昼食をとるも、コンビニの屋根はせまい。
ひととおりごはんを食べ終えたころには、もう日陰がほとんどない状態。
仕方なく、休憩をあきらめて先に進む。


休憩場所を探しながらたどり着いたのは、「嬉野温泉」。
下品なネオンが点在する、昔ながらの温泉街の風景が広がるも、人が少ない。
さびれているのか?

ちょうど中心地に、無料の足湯がある。
足を酷使する旅をするなかで、これほどありがたいものはない。

ほんのりぬるく、そして驚くほどヌルヌル。
いっそ、近くの日帰り湯に寄ってやろうか、と思うほど。
この近辺は中心地らしく、そこそこ人が多い。
足湯も、常に満席状態である。

さらに、どこからともなく、バルーンアートを手にしたおっちゃんがやって来る。
かつては大道芸人として腕をならした、という自慢話をしながら、次々とバルーンアートを作っては、足湯につかっている女子大生に渡す。
おっちゃんが少し外したときに、「私サークルでバルーンアートやってるし、もっとすごいの作ってるのに・・・」という声は、聞かなかったことにしておこう。


しっかり休憩してからは、山道。
といっても、比較的ゆるやかなアップダウンなので、苦ではない。
むしろ、ゆるやかな下り坂が続いてくれるので、地面をける必要がなく快適である。


午後4時ごろ、急激に疲れを感じる。
2日続けて長距離を走っているせいだろうか。
それとも、体力の限界か。

休憩場所に選んだのは、「千綿(ちわた)駅」という小さな駅。
木造で比較的きれいながら、実にノスタルジックな雰囲気が出ている。
駅からすぐ海がある、というのもいい。
時間が気になるも、軽く仮眠をとる。


残りあと2時間。
時間も時間だし、休まず一気に走り切りたいところである。
が、いぜん疲れはとれず。
たまたま見かけた神社で休憩する。

すると、ひっきりなしに蚊が寄ってくる。
蚊を払うのに気をとられ、あまり休むことができない。
夏の夕方は、これだから困る。


そろそろ宿に着きそう、という場所で、食料と水を買い込む。
が、どうやら地図を見誤ったらしく、まだまだ距離があった。
買い込んだものが重く、思わぬハンデキャップとなる。


日も暮れかかる午後7時前、ようやく宿に到着。
宿といっても、居酒屋さんが主体で、その奥の敷地に泊まれる建物がある、といった感じ。
たまたま居酒屋から顔を出したおばちゃんが、かんたんに部屋を案内してくれ、あとは放置。

宿泊施設として接客する気のなさが、ひとり旅においては意外にイヤではない。
そのぶん宿代が安いし、文句はない。
そして意外に、部屋はきれいなので、むしろ満足である。


きのう飲まなかったビールを、今日はしっかり堪能。
うまい!
がっつり夕食を食べながら、ふと気がついた。

そういえば、このお宿は朝食付きだった。
にもかかわらず、それを忘れてスーパーで朝食ぶんの食料も買い込んでしまった。
捨てるのも申し訳ないので、おなかパンパンになりながらも、すべて食べる。
この過食が、明日に響かなければいいのだが。


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