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ママチャリ琵琶湖1周(鯖街道経由)    【1日目】
● 2004年4月17日(土) はれ 大阪府交野市〜滋賀県近江町 144,4Km





緑が多く、お寺や古い建物があり、縦横にきっちりと整備
された、情緒あふれる京都の道路。写真は京都御所前。


鴨川の上流側。舗装が少なく、自然が残り気持ちがよい。
自然の音を感じながら、お昼寝やデートをしてみたいものだ。。


ゆるやかに長く続く坂道、ここは鯖街道を上ってすぐのところ。
まわりに民家が少なく、道が狭い割には、交通量がやや多い。


鯖街道の峠越え。写真ではわかりづらいが、ものすごい斜面。
手押しでないと進めないほど。体力的にも精神的にもキツイ。


キツイ峠を越えると、安曇川沿いにゆるやかな下り坂が続く。
大自然を満喫できる河原は、絶好のBBQポイントだ。

下り坂の姿勢

最近、自転車で下り坂を走るときに、体全体を低くする。
子供のころ、競輪選手なんかをまねしてとったポーズだ。
このポーズはどうしても子供のころの記憶があるため、恥ずかしい。
しかしえらいもので、このポーズをするのとしないのとでは、速度が全然違う。

その反面、この体勢はちょっとしんどい。
特に腰に負担がかかるため、あまり長いことしてられない。
また前方の、特に路面の状況がつかみにくいため、やや危険でもある。

若干のリスクがあっても、やはり峠を上りきった代償としてフルスピードで疾走できるのは、自転車旅の醍醐味だ。
だからこんなポーズしているからって、笑わんといてね。




桜の木がことごとく緑色に変化している中、唯一満開に
咲いていた1本。琵琶湖の風景とも絶妙にマッチする。

行きたくない。
やっぱりやめようか。
せっかくの休日、わざわざしんどい思いする必要ないしな・・・

というのは、旅に出る前日の心境だった。
最近はこういうことがよくあり、久しぶりの旅となると、どうも消極的になってしまう。
それでも前日に「明日からまた出かける」と両親に公言したものだから、出ずにはいられなくなってしまった。


そのようないきさつのある、2004年度の旅初め。
いつもはGWがその年の旅初めとなるのだが、桜の開花などが早まったことに影響されてか、旅する気分も早めに芽生えてしまったようだ。

行き先は、もはや自分の中で「恒例行事」となってしまった、琵琶湖だ。
さすがに、毎年走って飽きてきたため、旅というより散歩という気分になってしまう。
ということで、今回はなるべく今まで通ったことのない道、特に琵琶湖に面さない道を走ることにした。


午前8時、予定通りの時間に出発。
目をつぶってでも行けそうな、京都までの道のりを難なく走り抜けた。
相変わらず「古都」と呼ばれるにふさわしい、独特の情緒があちこちに見られる京都の街を、足も止めずにひたすら走った。
ここまでは、いつもどおり。

京都の中心部へ到着。
琵琶湖へ行くときは、いつもここから東へと向かう。
しかし今回は北へと抜けた。
車や原チャでしか走ったことのない北側の道を、自転車で走るというのは、なかなか気分が良いものだ。

京都の中心を走る「鴨川」沿いをひたすら走ったが、いくら進めど、なかなか川の幅が狭くならない。
よっぽど大きな川なんだな、と改めて実感した。
川に気を奪われながら進んでいると、いつの間にか、車道が狭くなっていた。


さて、いよいよここからが本番だ。
国道367号線、通称「鯖街道」。
かつて、日本海でとれた鯖を京都へ運ぶために使われたという道だ。
今回の旅は、この道を走ることがほとんど目標と言っても過言ではない。
何せ、地図を見ると途中にものすっごくうねうねした道があるからだ。
うねうねしているということは、それだけ坂が激しいということ。
本格的な峠越えは、久しぶりだ。

そんな生つばゴックンものの道だが、実際にはメインのうねうね道へ行くまでに上り坂が続いて、もう十分にしんどい。
「わぁ、やっぱり家でゆっくり2連休を過ごせば良かった〜」と、ここにきて後悔をしてしまう。
しかし、「どうせ家おっても2日間寝るだけやし、それよりましか」と自分に言い聞かせ、黙々と自転車を走らせた。


ここで、思わぬトラブル発生!
といっても、けがや事故などではない。

虫だ。
虫が2匹、まわりをたかり出したのだ。
ハエくらいの大きさの黒い虫が、ぶんぶんと飛び回って、うっとうしくて仕方がない。
昨日はちゃんとお風呂に入ったし、汗もまだそうひどくかいたわけではないのに、くさくないはずだぞ。
なかなか理不尽さを覚えつつ、ひたすら走った。


さあて、お待ちかねのメイン、峠さまだ!
なんて流暢(りゅうちょう)なことは言ってられないほど、想像以上の急な坂だ。
さっきまで風が涼しかったためほとんどかかなかった汗が、どっとふき出して来る。
しんどい、とにかく体力をガンガン奪われる。

恐ろしいことに、この道はあまりガードレールで整備されていない。
つまり、手元が狂って左側に自転車が行こうものなら、林の中へと転げ落ちてしまう。
かといって右側へ寄ると、車がガンガン走って来るので危ない。
しかもなぜか車の通りが多く、狭い道なのに大型車がガンガン通る。

さらに!
そんなさまざまなことに神経を使いながら必死にこいでいるまわりを、先ほどの2匹の虫たちが飛んでいる。
執拗に目の前を横切ったり、一旦距離を離れてから顔めがけて飛んで来たり、顔にピタリと止まったりと、意思を持っているかのように嫌がらせをしてくるのだ。
片手で払いたくても、片手を離すとたちまちバランスが崩れて、崖か車の餌食となってしまう。
かといって無視しておけば、息があがっているので鼻や口に虫が入って来る危険性もあるし、目になんか入られると危険極まりない。

実質、この虫達の嫌がらせは1時間ちょっと続いたのだろうか。
しかし、体感的には3時間くらい奮戦した気分だ。

そういうことがあったため、峠の終わりを知らせるトンネルに着いたときは、もう人生におけるすべての嫌なことから開放された気分だった。
ごめん、ちょっと言い過ぎた。


峠を越えて待っていたのは、なだらかな下り坂と、左手になだらかに流れる「安曇川」。
そして、日本の田舎を絵に描いたような、田園風景。
向かい風が強く吹いていて自転車のスピードが上がらなかったが、そのぶんこの風景をじっくりと堪能できた。

今日はここに泊まりたい。
そんな気分になったのは、まだ午後1時を過ぎたころ。
2日という限られた時間の旅だし、今からテント張っても全くやることがないことを考え、もちろん泊まることはやめた。
しかし、そんな冷静な判断を遮断できる魅力が十分にある場所だ。


昼飯をとったのは、風景をひととおり堪能したあとの午後2時過ぎ。
コンビニで、カップラーメンとおにぎりを食べた。
ちなみにこの鯖街道、名前のとおり、名物「鯖寿司」を売っている店が点在している。
たまには名物を食べてみようかな、と思って店をのぞいたが、どれも1,000円ほどの値段がする。
いくら名物を堪能するにしても、1,000円はさすがに出せない。
それこそ、「グルメ紀行」になってしまう。

どうも、旅の最中は極度な貧乏癖がついてしまっている。


昼食後は鯖街道をもう少し北上してから、今度は琵琶湖のある東へ進路を変更した。
この時すでに、体感的には1日という時間をとっくに過ごした気分だった。
現に、鯖街道以降の記憶はうっすらとしか残っていない。

今日はじめて琵琶湖を見たのは、午後4時半。
太陽がもう色を変えているころだ。
琵琶湖一周しているというのに、こんな時間になってはじめて琵琶湖を見たとは、皮肉なものだ。


さてさて、ここからがもうひと苦労。
泊まる予定をしていたキャンプ場は、琵琶湖の東側にある。
しかし、時間が予定より1時間以上遅れていて、計算上、キャンプ場に着くのが午後7時、つまり日が落ちた後ということになる。
日が落ちてから自転車に走ると、気分が落ちてしまう。
しかも、暗くなってからテントを張る行為は、なかなか困難なもの。

それだけは避けてやる、と意気込んだ矢先、気がついたらラーメン屋へ入っていた。
昼食からまだ4時間しか経ってないというのに、やたらおなかが空いていたのだ。
いや、単に現実逃避したかっただけなのかも知れない。
どちらとも言えないが、この時はっきり言えることが、ラーメンを食べ終わった頃には日がほとんど沈みかけているということだ。

再出発してからは分単位で日が沈み、いよいよあたりを暗闇が包んだ。
こうなると、さっきまでの「楽しい」というテンションが、全くなくなる。
時間がただ長く感じ、走っても走っても目的地へはたどり着かないのでは、という錯覚に陥ってしまう。
暗くなるまでに宿探し、というのはずいぶん前から心がけていたのに、何たる不覚。


午後8時前、ようやく目的地であるキャンプ場へ着いた。
琵琶湖に来るとたいがい寄るキャンプ場、いつもは必ず誰かいるのだが、今日に限っては誰もいない。
誰もいないだけでなく、草がボーボーに生い茂っていて、全く手入れされていない。
どうやら6月くらいまでは、使用禁止だそうだ。
さすがにここまで来てそんなこと気にしてられないので、暗闇の中テントを立てた。
もちろん、全てが手探りの作業なので、やたら時間がかかった。

さあて、午後9時だが、もう眠い。
最近、野宿すると外野がうるさくて眠りにくいのだが、今夜に限っては全くその心配はなさそうだ。
逆にキャンプサイトでただ1人という環境は、さびしくもある。
ちょっとくらいのにぎやかさが、やはり必要だな。


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