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キックボード琵琶湖一周    【1日目】
● 2006年8月25日(金) はれ 滋賀県大津市〜滋賀県彦根市



JR大津駅に到着!・・・したはいいが、駅前だし通勤時間だし、
人が多い。下り坂なのに、キックボードかついで5分歩いた。



琵琶湖に来るといつも訪れる、琵琶湖南側の公園。
歩きや自転車では気がつかないが、路面がガタガタである。
旅の目的

キックボードで、琵琶湖を一周すること。
もちろん家から走るわけではない。
琵琶湖南部にある「JR大津駅」を起点とし、反時計回りに一周。

あと、目的というほどおおげさではないが、なるべく野宿すること。
たった2泊だし、琵琶湖だったら何かと野宿する場所あるし。



城下町の面影残る、中山道。昔の名残か、宿屋が多い。
しかし客が殺到する名所はないし、やって行けるのだろうか。



線路沿いの道。右手には田園が広がっている。近くに建造物が
なく、日陰がない。こんな暑い日には、苦痛以外の何物でもない。



鳥人間コンテストのときは、ここ一面に出場者のテントと、
人力飛行機がずらっと並ぶ。写真は、次の日の朝撮影。
恥ずかしい。
今どきキックボードて!

まわりの視線が、そう言っているかのように感じる。
増して、平日の通勤ラッシュの電車内である。
ええ歳こいた男が、キックボード片手に何しとんねん。


今回は初の試み、キックボードでの旅だ。
どう血迷ってこんな発想が出たのか、自分でも不思議に思う。
しかし、思い立ったらすでに、キックボードを買いにまわっていた。

キックボードとは、スケボーにハンドルをつけたような代物で、片足でこいで進む遊具である。
10年前にブームとなったが、あまりに早くブームは去ってしまった。
今では子ども用のものはあっても、大人が乗れるものはなかなかない。
げんに、20件以上ものお店を探したことから、その需要のなさがわかるだろう。


朝6時半に起床し、30分で支度を済ませ、家を出た。
今日は平日である。
ラッシュアワーを避けるため早めに家を出たが、乗った電車は学生さんとサラリーマンでごった返していた。
あまりに場違いな空気に、ただ押し黙るのみ。

JR大津駅に着いたのが、午前8時半。
ここが、旅のスタート地点となる。
キックボードはほぼ初心者であることと、サラリーマンが多いことがあり、なかなか恥ずかしくて滑ることができない。
結局駅前を5分ほど歩き、人通りが少なくなったところで、ようやくキックボードを乗った。


キックボードは、10分もすれば普通に乗れるようになった。
ただ、路面に対してシビアに反応し、荒いアスファルトだと車輪が滑らない。

さらに、ちょっとした段差でつまづいてしまう。
いわゆる、「つんどめ」といわれる状態で、後輪が浮いてしまう。

後輪が浮くということは、足を乗せている台も浮く。
そいつらが宙で暴れ、両足にガンガンぶつかる。
これが痛い!

こんなじゃじゃ馬を、3日間乗りこなせるか不安である。


道は、琵琶湖南部の公園を東へ過ぎ、琵琶湖北部へと向かう国道へ。
公園の道はきれいに整備されているのだが、路面はアスファルトよりもガタガタで、走りにくい。

国道では、通行の妨げとならないよう、歩道を走った。
はじめは自転車と同じように左側を走っていたのだが、後ろから来る自転車に何度もベルを鳴らされた。
なるほど、キックボードは右側通行すべきなのだな。
と、しばらく右側通行を遵守していたが、結局日陰の多さ・路面のなだらかさによって、通行位置を変えた。


キックボードの操縦自体は疲れないので、「休憩なしで行けるのでは?」と余裕をこいていた。
しかし、午前10時を過ぎると、暑さがはげしくなってきた。
暑さのせいで、みるみる体力が消耗する。
この時間を境に、1時間内に1度は休憩を入れるようになった。


道は、国道から県道2号線へと変更。
僕の経験上、この道が琵琶湖をまわる最短ルートなのだ。
ここは「中山道(なかせんどう)」、五街道として有名な道だ。
残念ながら、なぜ五街道とやらが有名なのか、社会科の苦手だった僕にはわらない。
ただ、古めかしい代官屋敷などが残り、昔の町並みが保護されていることはわかる。


しばらくお店のない道が続き、ようやくコンビニを見つけたのが、午後1時。
コンビニ沿いは日陰がなく、唯一近くにある陰は、隣のマンションの敷地内。
もちろん、そんなところで座って昼食をとるなんて、いけないことだ。
が、そんなこと言ってられないほど疲れている。
怒られるのを覚悟で、マンションの敷地をくぐった。

運良く、怒られることはなかった。
それよりも、帰りたい。
こんな不毛なことを、つらい思いして成し遂げて、何になるんだろうか?
せっかくの3連休、こんなことで潰していいのだろうか?

まだ半日しか経ってないのに、すっかり気分は萎縮している。
しかし、まわりの人に告知してからの旅である。
途中で断念するのは、カッコ悪すぎる。
休憩を長めにとって、何とか自分自身の気をなだめた。


道はさらに、田園→線路沿いの閑静な道→住宅地と変わる。
ちなみに、この道はデメリットは、琵琶湖が一切見えないこと。
「琵琶湖一周」と名をうっておいて、琵琶湖が1日中見えないというのも、いかがなものか。

相変わらず、暑い。
夕方に近づくと暑さはマシになると思っていたが、甘かった。
何度も休憩を繰り返し、ただひたすら走る。
疲れが蓄積されているのか、休憩のスパンも短くなり、しまいには30分ごとに休憩していた。


午後7時になっても、いぜんキックボードをこいでいた。
あたりは、どんどん暗くなる。
野宿スポットを探したいところだが、ここは彦根市の中央部。
人がいっぱいいて、野宿なんてできっこない。

あたりが完全に暗くなったときは、彦根の繁華街にいた。
暗さで気分が落ち込むと思いきや、街灯が明るいため、何てことはない。
なるほど、夜でも光さえあれば、気分を落とさずに進めるわけだ。

当然市街地を抜けると、闇。
キックボードは路面を常に見ておく必要があるので、かなり致命的。
わずかな光を頼りに、必死に路面を見ながら走る。


ようやく足を休めたのが、午後8時過ぎ。
松原海岸という、広いビーチだ。
ここはかの「鳥人間コンテスト」が開催される場所で、以前旅の途中に、偶然通りかかったことがある。

こんなに広いのに、キャンプ禁止である。
すぐ近くに、民家やお店が並んでいるからだろう。
まさか引き返して移動する元気はないため、申し訳ないけどテントを張った。
一応人に見つからないよう、松の木が重なって道路から見えない場所を選んだ。


ビーチをよく見ると、左手のほうに堂々とキャンプをしている団体がいる。
さらに右手には、スクーターでカップルが乗りつけてきた。
当然、左右からは花火という騒音のサラウンド。

ちなみに海岸は、花火も禁止である。
こいつらが原因で、こっちまで追い出されるのはイヤだなぁ。


花火はなかなか鳴り止まなかったが、そこそこ落ち着いたのを確認して、テントに入った。
とりあえず3分の1は走れたかな?
このペースだったら、最終日も終日走ることになりそうだ。


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