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JR大津駅に到着!・・・したはいいが、駅前だし通勤時間だし、
人が多い。下り坂なのに、キックボードかついで5分歩いた。
琵琶湖に来るといつも訪れる、琵琶湖南側の公園。
歩きや自転車では気がつかないが、路面がガタガタである。
城下町の面影残る、中山道。昔の名残か、宿屋が多い。
しかし客が殺到する名所はないし、やって行けるのだろうか。
線路沿いの道。右手には田園が広がっている。近くに建造物が
なく、日陰がない。こんな暑い日には、苦痛以外の何物でもない。
鳥人間コンテストのときは、ここ一面に出場者のテントと、
人力飛行機がずらっと並ぶ。写真は、次の日の朝撮影。
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恥ずかしい。
今どきキックボードて!
まわりの視線が、そう言っているかのように感じる。
増して、平日の通勤ラッシュの電車内である。
ええ歳こいた男が、キックボード片手に何しとんねん。
今回は初の試み、キックボードでの旅だ。
どう血迷ってこんな発想が出たのか、自分でも不思議に思う。
しかし、思い立ったらすでに、キックボードを買いにまわっていた。
キックボードとは、スケボーにハンドルをつけたような代物で、片足でこいで進む遊具である。
10年前にブームとなったが、あまりに早くブームは去ってしまった。
今では子ども用のものはあっても、大人が乗れるものはなかなかない。
げんに、20件以上ものお店を探したことから、その需要のなさがわかるだろう。
朝6時半に起床し、30分で支度を済ませ、家を出た。
今日は平日である。
ラッシュアワーを避けるため早めに家を出たが、乗った電車は学生さんとサラリーマンでごった返していた。
あまりに場違いな空気に、ただ押し黙るのみ。
JR大津駅に着いたのが、午前8時半。
ここが、旅のスタート地点となる。
キックボードはほぼ初心者であることと、サラリーマンが多いことがあり、なかなか恥ずかしくて滑ることができない。
結局駅前を5分ほど歩き、人通りが少なくなったところで、ようやくキックボードを乗った。
キックボードは、10分もすれば普通に乗れるようになった。
ただ、路面に対してシビアに反応し、荒いアスファルトだと車輪が滑らない。
さらに、ちょっとした段差でつまづいてしまう。
いわゆる、「つんどめ」といわれる状態で、後輪が浮いてしまう。
後輪が浮くということは、足を乗せている台も浮く。
そいつらが宙で暴れ、両足にガンガンぶつかる。
これが痛い!
こんなじゃじゃ馬を、3日間乗りこなせるか不安である。
道は、琵琶湖南部の公園を東へ過ぎ、琵琶湖北部へと向かう国道へ。
公園の道はきれいに整備されているのだが、路面はアスファルトよりもガタガタで、走りにくい。
国道では、通行の妨げとならないよう、歩道を走った。
はじめは自転車と同じように左側を走っていたのだが、後ろから来る自転車に何度もベルを鳴らされた。
なるほど、キックボードは右側通行すべきなのだな。
と、しばらく右側通行を遵守していたが、結局日陰の多さ・路面のなだらかさによって、通行位置を変えた。
キックボードの操縦自体は疲れないので、「休憩なしで行けるのでは?」と余裕をこいていた。
しかし、午前10時を過ぎると、暑さがはげしくなってきた。
暑さのせいで、みるみる体力が消耗する。
この時間を境に、1時間内に1度は休憩を入れるようになった。
道は、国道から県道2号線へと変更。
僕の経験上、この道が琵琶湖をまわる最短ルートなのだ。
ここは「中山道(なかせんどう)」、五街道として有名な道だ。
残念ながら、なぜ五街道とやらが有名なのか、社会科の苦手だった僕にはわらない。
ただ、古めかしい代官屋敷などが残り、昔の町並みが保護されていることはわかる。
しばらくお店のない道が続き、ようやくコンビニを見つけたのが、午後1時。
コンビニ沿いは日陰がなく、唯一近くにある陰は、隣のマンションの敷地内。
もちろん、そんなところで座って昼食をとるなんて、いけないことだ。
が、そんなこと言ってられないほど疲れている。
怒られるのを覚悟で、マンションの敷地をくぐった。
運良く、怒られることはなかった。
それよりも、帰りたい。
こんな不毛なことを、つらい思いして成し遂げて、何になるんだろうか?
せっかくの3連休、こんなことで潰していいのだろうか?
まだ半日しか経ってないのに、すっかり気分は萎縮している。
しかし、まわりの人に告知してからの旅である。
途中で断念するのは、カッコ悪すぎる。
休憩を長めにとって、何とか自分自身の気をなだめた。
道はさらに、田園→線路沿いの閑静な道→住宅地と変わる。
ちなみに、この道はデメリットは、琵琶湖が一切見えないこと。
「琵琶湖一周」と名をうっておいて、琵琶湖が1日中見えないというのも、いかがなものか。
相変わらず、暑い。
夕方に近づくと暑さはマシになると思っていたが、甘かった。
何度も休憩を繰り返し、ただひたすら走る。
疲れが蓄積されているのか、休憩のスパンも短くなり、しまいには30分ごとに休憩していた。
午後7時になっても、いぜんキックボードをこいでいた。
あたりは、どんどん暗くなる。
野宿スポットを探したいところだが、ここは彦根市の中央部。
人がいっぱいいて、野宿なんてできっこない。
あたりが完全に暗くなったときは、彦根の繁華街にいた。
暗さで気分が落ち込むと思いきや、街灯が明るいため、何てことはない。
なるほど、夜でも光さえあれば、気分を落とさずに進めるわけだ。
当然市街地を抜けると、闇。
キックボードは路面を常に見ておく必要があるので、かなり致命的。
わずかな光を頼りに、必死に路面を見ながら走る。
ようやく足を休めたのが、午後8時過ぎ。
松原海岸という、広いビーチだ。
ここはかの「鳥人間コンテスト」が開催される場所で、以前旅の途中に、偶然通りかかったことがある。
こんなに広いのに、キャンプ禁止である。
すぐ近くに、民家やお店が並んでいるからだろう。
まさか引き返して移動する元気はないため、申し訳ないけどテントを張った。
一応人に見つからないよう、松の木が重なって道路から見えない場所を選んだ。
ビーチをよく見ると、左手のほうに堂々とキャンプをしている団体がいる。
さらに右手には、スクーターでカップルが乗りつけてきた。
当然、左右からは花火という騒音のサラウンド。
ちなみに海岸は、花火も禁止である。
こいつらが原因で、こっちまで追い出されるのはイヤだなぁ。
花火はなかなか鳴り止まなかったが、そこそこ落ち着いたのを確認して、テントに入った。
とりあえず3分の1は走れたかな?
このペースだったら、最終日も終日走ることになりそうだ。
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