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隠岐島/島前歩き旅    【3日目】
● 2006年8月15日(火) はれ 島根県知夫村〜大阪府交野市 測定不能




キャンプ場の朝は、非常に静か。1人だったら寂しすぎたかも。
写真でわかるだろうか、タープとテント以外の箇所は坂です。


自分らの荷物をまとめた子ども達は、完全に渡し舟待ち。
「泳ぎたい」との声も。そら、じっとはしていられんわな。


「まだ眠てぇヤツおらんか?あっお前眠そうや。ほれ運転してみ」
巧みに子ども達を楽しませるオッチャン。サービス精神満点だ。


境港「水木しげるロード」を徘徊。この日は、今までの旅程で
もっとも暑い日。道端の妖怪銅像も、かなり高音になってた。
テントで寝ると、日が昇るころの時間に目が覚める。
これは僕ひとりのことではないらしく、午前6時前には、お隣のタープで大人組がすでに起きていた。


昨日の夕方の段階で、今日中(15日中)に大阪へ帰ろうと思っていた。
暑さとしんどさと孤独と、いろんなマイナス要素が強かったためだ。
帰りの飛行機やフェリーの予約を一切とっておらず、最終日の16日には帰れる保障がなかったせいでもある。

その旨を昨夜みんなに話すと、「僕らも明日帰るので、一緒に帰ろう」という話になった。
どこまで謙虚になるべきか判断できず、お言葉に甘えることにした。


午前7時ごろには子どもらも目覚めだした。
昨日この無人島まで橋を渡ってきたが、どうやら渡し舟があるとのこと。
渡し舟を午前9時にお願いしているそうで、それまでに昨夜の晩餐跡やテントなど、片付けることとなった。

仕事の分担は基本的に、最年長のHummerさんが取り仕切っていた。
しかし、まわりは各自が自分なりの仕事を見つけて自主的に動く。
子どもらも、自分の寝袋をたたんだり、自分の荷物の片付けをこなす。
何て見事な連携なんだろう。

ゲスト扱いの僕は、基本的に仕事を言い渡されない。
が、もちろんただ見ているわけにはいかないし、そういう性格ではないので、仕事を見つけて動いた。
知らないうちに、団体の一員として完全に溶け込んでいた。


やがて渡し舟が到着。
小さなモーターボートで、おそらく漁船だろう。
海面までの距離が近いため、ものすごいスピード感だ。

途中、運転手さんが子どもらに舵をとらすなど、サービスも万全。
なるほど、歩いてばかりじゃなくて、こういう旅もいいもんだな。

渡し舟から降りると、フェリー乗り場までは白タク。
さっきの渡し舟のおっちゃんが、軽トラで再登場。
荷台に乗っての移動は、この歳になっても楽しいものだ。


フェリーは1時間半待ち。
狭いフェリーターミナルで、ダラダラと過ごす。
ここでは、僕は比較的協調性なく、ひとりになっていた。
子どもらが集まってきて、ママチャリ旅のこととか聞いてくる。
しかし一問一答の返事ばかりで、こちらから話しかけることはなかった。

純粋に、疲れているのだ。
「今から帰る」ということで、精神的にも肉体的にも、今までの疲労がどっと押し寄せたのだろう。
子どもらには、申し訳ないけど。


フェリーに乗船。
フェリー内はものすごく人が多く、自由席すら座れない人がいると思えるほど。

ここで、Hummerさんが見せた。
船員さんと交渉して、乗船口の踊り場を借り切ったのだ。
踊り場は客席とドアで仕切られており、完全なプライベートルームとなる。
おかげで約2時間、まわりの騒音に邪魔されることなく、ゆっくり眠れた。


鳥取の境港に到着。
ここで、車で来ている2人が少し離れた七類港というところまで車を取りに行った。
その間、腹ごしらえできそうな場所を探しに、みんなであたりを散策。

ここは、「水木しげるロード」といわれる観光スポット。
「ゲゲゲの鬼太郎」の原作者、水木しげるさんの出身地であるため、それにちなんだネーミングだ。
歩道の各所に妖怪の銅像があり、通り沿いには店がいっぱいある。

にもかかわらず、食べ物屋がない!
普通こういうところって、何かしらあるだろうに。


やがて車がやって来て、みんなで乗り込む。
途中、蒜山(ひるぜん)というサービスエリアに寄る。
ここのチーズケーキがとにかくおいしく、何度も試食した。
とうとう我慢できずに、1個買ってしまった。


岡山に到着し、ほとんどの人とさよならした。
その後、神戸方面に行くT君の車で、神戸まで乗せてもらった。
神戸までは思った以上に距離が長く、また途中で道が混んだため、終電ギリギリだった。
僕に気を遣って急いでくれたT君には、本当に感謝したい。
運転してもらってるのに、最後の最後で寝てごめん。


このような形で、旅は終わった。
標識なき林道、えんえん上り坂の続く草原は地獄で、何一つ面白くない旅になりそうだった。
そういう意味で、昨夜のHummerさん達との出会いだけが、唯一の華だった気がする。


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