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田園の真ん中に、あまりにも自然にある竪穴式住居。
近くで見ると、意外に迫力ある。ここで野宿したいなぁ。
バイパスの本道・側道の分離帯にて。歩道のない道で、
時速100キロ近い車が次々とやって来る恐怖、わかる?
右にお寺の看板、左に保育園の看板を構える、今回
どうしても立ち寄りたかった場所。名前はあえて検閲。
街中にある、鏡張りの看板。このパチンコ屋のような建物が、
今日の寝床。外の騒音が心配だったが、意外に防音は万全。
“広島ご当地モノ”を探し歩き、たどりついたのが赤ちょうちん
「自由軒」。この店構えが妙に落ち着く。ここのおでんは絶品!
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暑い!
昨夜は暑さにのたうちまわった。
成人男性が一人なんとか眠れるカプセルのスペースには、手のひらほどの排気口が1つあるだけ。
空調設備はまったくないため、熱が思いっきりこもるのである。
よりによって昨日は、サウナで1時間以上もゆっくりした。
そのため体のほてりが長時間持続し、カプセル内部の熱が長時間にわたって温存されたのだ。
思わぬ熱帯夜にうなされながらも、予定通り午前5時半に起床した。
持ち込んでいいかわからない朝食を堂々とロビーでたいらげ、1時間後に出発。
案の定、自転車は無事だった。
ただ、明らかに停めた場所より動かされた形跡があったのは、気分悪かった。
昨日に引き続き、今日も国道2号線を終日走る。
しかし昨日と違って、姫路を越えたあたりから街並みが薄れ、時折田園風景などが姿をあらわした。
苦にならない程度だが、坂の上り下りがいくらかあった。
2時間ほどして、田園の一角にわらでできた建物が並んでいることに気がついた。
ちょっと休憩もしたかったし、立ち寄ってみた。
建物は、何と竪穴式住居!
竪穴式住居が数件あり、高床倉庫まである。
まさかこんなところに、数千年もまわりの文化に感化されない場所があるなんて。
もちろん、そんなわけではない。
「沖田遺跡歴史公園」という、遺跡跡を利用して昔の建造物を再現した公園らしい。
広さは児童公園5個分ほどしかなく、国道から案内板などはない。
きっと観光ガイドにも、紹介されていないと思われる規模だ。
こういうマイナーな場所を見ることが、個人的には大好きだ。
さらに1時間ほど進んだところで、急におなかが空いた。
厳密には、空腹感というよりは、「甘いモノ」がめちゃくちゃ欲しくなった。
最近、旅の途中でこの現象が起きる。
体が糖を欲していることが原因と考えられるが、昔はこんな現象起きなかった。
「気力」だけで運動ができるほど、若くない証拠だろうか。
運悪く、こういうときに限って、コンビニはおろか自販機すら見当たらない。
30分以上ガマンを重ね、ようやく見えたコンビニに、一目散に駆け寄った。
とりあえず時間は早いが、少し早めの昼食をとることにした。
うどんを1杯食べた・・・が、食べながら、やっぱり空腹感がないことを実感した。
食後にチョコレートを食べると、体中の細胞が喜ぶ声が聞こえてきた。
いっそ、甘いモノばっかり食べたら良かったかな?
再度走り出すと、道は高速道路のような道に変わった。
道幅は広いが歩道がなく、途中何度も合流点があり、信号がない。
俗に、「バイパス」と呼ばれる道だ。
以降、ずっとバイパスが続いた。
きっと車で走っている人にとっては、重い荷物かかえた自転車は邪魔だっただろう。
でもうらまないでね。
自転車走ってはいけないと思われるこのバイパス、「自動車専用」や「自転車禁止」の道路標識がないから、道路交通法としては自転車の通行が許されてるんですよ。
うらむなら、道路標識を管轄する組織をうらんでね。
バイパスを走ると、車に気を遣ってしまうため、疲れる。
特に合流点などは、自分が走っている本道の車と、側道の車の両方を見ないといけないため、必要以上の神経を使ってしまう。
ちょっと疲れを感じたので、再度コンビニへ寄った。
そろそろ日没がはじまるかな、と思い時計に目をやると、まだ午後1時。
えっ、うそ?
あまりに時間の流れが遅いことに、ビックリした。
予定よりだいぶ早めに動いているため、あえてここではゆっくりと休憩することにした。
ゆっくりといっても、30分ほどであるが。
休憩後は、もちろんまたバイパス。
しかもここからは、路肩が極端に狭いうえ、高架の壁がめちゃくちゃ低い。
少しでも車と接触しようもんなら、即大事故につながる。
対向車にあおられたりしながらも、無我夢中で走った。
だから、自転車禁止の道じゃないんやから、あおるなって!
岡山の笠岡市というところに到着したとき、一旦国道から離れた。
どうしても寄りたいところがあったのだ。
そこは、お寺。
かつて日本一周したときに、宿のお世話になったところだ。
厳密にいえば、お寺の敷地内にある保育園の、教室で眠らせてもらったのだ。
道に迷うかと思ったが、意外に風景を覚えていたため、あっさりとお寺を見つけられた。
いざお寺の前へ立ってみたところで、足がすくんだ。
8年も前のことを覚えてくれているのか、手ブラで来て失礼ではないか、そもそも大型連休の時期は忙しかったりするのではないだろうか・・・
いろんな思考が頭をめぐり、結局お寺の前で軽く会釈するにとどめた。
国道へ戻る途中、なんか気分がモヤモヤした。
せっかくここまで来て、帰っていいのか?
失礼は承知でも、やはり当時のお礼は伝えるべきではないか?
激しい葛藤ののち、気がつけば再度お寺の前に来ていた。
会うしかない。
お寺の門をくぐり、インターホンを押した。
聞くからに、警戒したような声が戻ってくる。
「8年前にお世話になった」という旨を、必死になって説明した。
間もなく、住職さんが姿をあらわした。
年配の方だ。
僕が記憶していた方は、割と若い方だったので、どうやらそのお父さんだろう。
決して嫌がるそぶりもなく、「わざわざどうも」と笑顔で接していただけた。
やっぱり、あいさつしてよかった。
その笑顔を見て、そう思った。
何度も何度も頭を下げ、スッキリした気持ちでお寺をあとにした。
国道に戻って1時間、目的地である広島県・福山市へ到着。
昨日に引き続き、目星をつけていたカプセルホテル「カプセルサウナ日本」へ直行した。
昨日は「小じんまりとした商店街の一角」にあったが、ここはメインロードともいえる大きな通りの一角にある。
チェックインし、ひとっ風呂浴びたところで、時間は午後6時過ぎ。
まだ空は明るいし、腹ごしらえをしないといけないので、ぷらっと外を徘徊することにした。
福山駅前は、デパートあり商店街ありで、なかなかにぎわっている。
せっかく広島に来たのだから、何かご当地モノを食べたい。
僕の頭には「広島風お好み焼き」しか浮かばなかったので、お好み焼き屋を探した。
が、どこにも見当たらない!
大阪だったら、どんな駅おりても、たいがい5分以内には1件見つかるのに。
ようやく駅で、1件見つけた。
しかし店の名前に「大阪」とついている。
これじゃあ意味ないやんけ!
結局「自由軒」という、大衆食堂と一杯飲み屋を混ぜたような店へ入った。
店内はほとんど常連客のようで、実にほがらかでアットホームな雰囲気だ。
しゃれたレストランなんかより、この小汚いながらも温かみを感じられる空間のほうが、はるかに好きである。
で、ご当地モノのメニューは当然なく、諦めてカツ丼とビールをいただいた。
1時間も街を徘徊して、何やってんだか。
そして現在、カプセルホテルのロビーで、これを書いたり地図で明日のプランを考えている。
自分のカプセルへ行かないは、ひとえに昨日の教訓を生かしているのだ。
今日はゆっくり眠りたいなぁ。
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