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歩道なし、路肩狭しの尾道大橋。海上の橋でなくても、
こんな道は自転車では危険すぎ。しかも通行料10円て!
因島の、本島から真逆の道は、めちゃくちゃ静か。それにしても、
因島の方は通り過ぎる度に必ずあいさつしてくださる。
小さな離島、「岩子島」。密集した民家と田園風景
から、ただならぬ生活感が漂う。一度ここで生活したい。
ほんのすぐ向こう側に見える、尾道へ行けるフェリー。こんな
小規模なフェリー、見たことない。運賃は自転車込110円也。
千光寺から眺める瀬戸内海と因島。僕の肖像よりもヒロリンの
ほうが写真が映えるのだが、許可を得てないから許して。
尾道商店街に残る、レトロな「Qちゃん」。これでも現役で
稼動し、料金は据え置き10円。このテのものは大好き。
甘茶のお接待。子ども会なんかがよくお接待を受けに来るそうだ。
正直者だった子どものころなら、飲んで「まずい」と言ってたかも。
しまなみ海道の橋でも唯一“屋根”のある「因島大橋」。写真撮影
するにはもってこいだが、自転車停めると歩行者の邪魔になる。
夕焼けに映える小船たち。離島の海岸には、小船と釣り人が
絶えない。が、しまなみ海道は漁港より農家のほうが多い気が。
海あり、ビーチあり、写真の後ろには芝生広場あり。トイレも
キレイで、これ以上いい野宿場所はない。と思いきや・・・
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カプセルは前日よりもやや広く、換気が十分なされていて、快適だった。
途中マナーの悪い客がわめいていたこともあったが、まぁゆっくり眠れた。
朝の5時にロビーへ行くと、すでに多くの客が起きていた。
あんたら、カプセルホテルのこんな早朝に、何を求めてるの?
1時間後に出発し、国道を走った。
いろんな店の並ぶ街路が少し続いたが、やっぱり途中からはバイパスになっていた。
まだ脳も体も完全に起ききっていないのに、朝っぱらからムリヤリ神経を集中させて走った。
ちなみに、バイパスと並行して、一般道があった。
昨夜地図を見て「一般道を走るべし!」と何度もシミュレーションしたのに、気がついたらバイパスを走っていた。
頼むから、外からの人間でもわかりやすく標識を作ってくれ。
1時間ほど走り、バイパスを降りたころ、目の前に大きな橋が見える。
いよいよ来たか、しまなみ海道!
2日もかけて来ただけに、その橋が想像以上に魅力的に見えた。
この橋は、向島という島へかかる「尾道大橋」。
さっきからしきりに、「向島へはフェリーをご利用ください」という看板が目立つ。
が、バイパスさえ走りきるこの足が、フェリーなんぞにうつつを抜かすわけがない。
尾道大橋は、標高の高い場所にある。
そのためループ状になっている道を、えんえん上らないといけない。
ヒーヒー言いながら着いた橋を見て、びっくりした。
路肩が狭い。
歩道がない。
片道1車線で、車の通行が絶えない。
なるほど、こりゃあフェリーで行ったほうが賢いや。
などと思いながらも、ここまで来たなら渡るしかない。
後続の車に申し訳なさを感じつつ、ひたすら橋の上を走った。
ちなみに、渡りきったところで「10円」の通行料を支払わなければならない。
金額の中途半端さと、有料道路としての完成度の低さに大きな疑問を抱きつつ、料金箱にお金を投げ入れた。
しまなみ海道に来てはじめての離島「因島」。
目の前に広がるのは、整備されきった道路と、家が立ち並ぶ住宅地と、コンビニ。
・・・あれ?
どこでも見られるような、住宅街じゃないか。
離島といえばもっと、閑静で漁港があって素朴な家々があって釣り人ばっかり、というイメージがあるのに。
肩すかしを喰らいつつも、とりあえず島を一周することにした。
するとどうだ、本島の反対側にさしかかったあたりでは、まさにイメージどおりの離島の風景があった。
そう、これこれ!
海も、つい数十分前見ていたものより、比べ物にならないほど青く澄んでいる。
島を4分の3走ったところで、頭上に赤い橋を発見。
しまなみ海道のコースとは違うが、離島「岩子島」へかかる橋だ。
時間はあるので、行ってみることにした。
手元の地図では道路情報すらない小さな島であるが、民家がぎゅっと集まっていて、しっかりした集落を作っていた。
しかし集落から離れると、急坂の多い道に出る。
また地図では島を一周する道が載っていないが、小さな波止場沿いの道(アスファルトではなく、白いコンクリートの道)を強引に走ると、一周できた。
住民から不審げな目で見られたのは、言うまでもない。
再度向島へ戻り、島一周を終えたところで、再度尾道へ戻った。
尾道へは、フェリーを使った。
フェリー乗り場界隈が、やけに混んでいる。
聞くところによると、ここに「男達の大和」のロケセットがあるとのこと。
わざわざGWにこんな混んだところへ来ることを見ると、よっぽど面白い映画なんだろうな。
映画に興味なくてよかった。
フェリーは、ものの3分ほどで尾道へ着いた。
なるほど、あんな危険な尾道大橋をしんどい思いして渡るよりは、こちらのほうがはるかにいい。
なぜ次の島へ渡らず、尾道へ戻ったか。
それはこのサイトでもお馴染み「ヒロリン」が、尾道を案内してくれるからだ。
ヒロリンとは去年のGWに、愛媛は松山で一度会っている。
去年松山にいたヒロリンが、なぜ尾道にいるかというと・・・
「NOBさん、お待たせです〜」
待ち合わせの千光寺行きロープウェイ乗り場に、大きなお腹をかかえてヒロリンがやって来た。
そう、彼女は出産のため、実家のある尾道へ戻って来ているのだ。
早速ロープウェーへ登り、千光寺公園へ。
ここは街中にぽっこりと丘ができていて、尾道の街を見下ろせる。
お寺の多い街並と、視野の縦横に広がる瀬戸内海と、向島へ架かる橋。
思わず息をのむほど、豪快な景色である。
すぐ近くに、小さな観覧車があったので行ってみた。
ここは、小さな小さな遊園地となっており、やたらきしみ音がするジェットコースターや、ほとんど猿が顔を出さない猿山などがある。
こういう児童公園を少し拡大したようにしか見えない場所も、子どもからすればそれは楽しい遊園地に見えるんだろうな。
続いて、千光寺へ。
さすがに尾道観光のメインだけあり、人が多い。
多くの岩に囲まれながら、どかっとお寺が居座っている。
これだけ人が集まるのに、岩場はガードレールなどを敷かず、時折危険と思われるスペースもある。
今や児童公園の砂場にすら柵が敷かれる世の中で、やっぱ「危険は自分で回避する」という常識のもと、風情を最優先することは正しいと思う。
それにしても、高いところが苦手だと言ってるのに、押さないでくれヒロリン。
千光寺からロープウェイを下り、次は尾道駅前まで続く商店街へ。
極端にさびれているわけでもなく、派手なわけでもない、実に情緒のある商店街である。
通常、商店街といえばパチンコやらゲームセンターがあり、若者向けの服屋だの携帯屋だのが目に付くが、そのようなものがない。
無理やり客寄せするというよりは、地元の人が快適に過ごせる空間を守り続けている、といった雰囲気が漂う。
この感じ、決してキライではない。
途中、一角で「お接待」として、お茶を無料配布しているところがあった。
「甘茶」というお茶らしい。
飲むと、はじめはお茶のにおいがするが、その後何ともいえない甘さが、口の中をブワッと支配する。
甘味料を加えているのではなく、葉そのものがこんな味をするらしい。
ちなみにこれは、5月5日に甘茶をお接待するという、尾道の恒例行事らしい。
「なつかしい!」とひと口ごとに、ヒロリンがつぶやいていた。
子どものころは、よくお接待を受けていたそうだ。
商店街を歩いた理由の1つとして、「食べ物屋」を探すことがあった。
が、この商店街には食べ物屋が少ない。
ファーストフードやチェーン店がないのはわかるが、観光客寄せの「尾道ラーメン」屋がもっとあっていいと思うのだが。
時折見かけるラーメン屋は、昼の1時を過ぎているにもかかわらず、大行列となっている。
結局、立ち寄ったのは商店街から外れたお好み焼き屋。
当然、大阪では「広島焼き」と呼ばれる、お野菜が盛りだくさんのお好み焼きを食べた。
さらにその後は、老舗というレトロな喫茶店でひと休憩。
ここで、満腹感を感じたからだろう、とんでもない眠気に襲われた。
眠気もさながら、「なんかこのまま、走らずボーっと過ごしたい」とボケ始めた。
もちろんそんなことするつもりはないのだが、あまりに幸せすぎる現状に、いつまでも甘んじたくなった。
間もなくして、ヒロリンとお別れする時間となった。
お腹も大きく、体力的に歩きまわることが負担だったろうに、一生懸命案内してくれて、申し訳ないという感情であふれていた。
今度大阪来たら、大阪城をプレゼントすることを約束し、お別れした。
さて、旅再会。
フェリーで向島へ戻り、今度は向島から「因島」へ渡るべく、橋を目指した。
橋へは長い上り坂を登らないといけない。
が、坂が急にならないよう、十分な長さに蛇行しているため、大きな負担とはならない。
橋に近づくに連れ、何だか胸が高鳴る。
はじめの尾崎大橋は、しまなみ海道としておススメされていなかったので、実質のところこれがしまなみ海道はじめての橋となるからだ。
橋の前にさしかかり、記念撮影をするべく足を止めていると、後ろから自転車を押し歩いて来た女性に声をかけられた。
どうやら、チェーンが外れて走れないとのこと。
実はチェーンの外れなど治したことない僕だが、「任せたまえ」と得意げになり、何とか治した。
慣れていないのでやや手こずり、手が真っ黒だ。
女性は、そんな僕よりも、先に待たせていた彼氏に気を遣って、自転車が治るなりそそくさと去った。
普段なら露骨に機嫌を損ねるところだが、今は橋を目の前にしているテンションと、尾道での楽しさを引きずっているので、とても広い心でその光景を見流した。
日常でも、これだけ心が広かったらなぁ。
橋は二階建てになっており、上が自動車道、下が原チャリと自転車・歩行者道となっている。
下の道はさらに、「原チャリ」と「自転車・歩行者」とで道がわかれており、縁石で区切られている。
後者の道は狭く、これだと逆に自転車同士、または自転車と歩行者の追突の危険が考えられる。
それはさておき、海上に掛けられた橋は、期待通りに景色がきれいである。
言葉どおり「海を見下ろす」豪快な景色は、そこいらの展望台ではお目にかかることはできない。
因島に到着。
人気の少ない南東部をまわり、やがて栄えている北西部へ。
ここで日が徐々に落ちてきて、急激に寒くなってきた。
こうなると、いくらテンションが高ぶっていたとしても、必然的に下がってしまう。
特に今日は宿の目星をつけていないので、何とか気力だけは持続しなくては。
ちょうど因島を一周するちょっと手前、先ほどまわった橋のふもとあたりに、大きな公園を見つけた。
管理棟やトイレが完備されていて、キャンプ場ともとれる。
念のため管理棟へ行ったが、閉まっていた。
公園内の注意書きを確認すると、キャンプは禁止されていなかった。
よし、ここだ。
管理棟のあたりは何だか人が多かったので、比較的声が届かないであろう、トイレ側を陣取った。
とりあえず寒いながらも、今回の旅は毎回体を洗っていたので、水道水で髪を洗った。
わざわざシャンプーを使って水道水で髪洗うのは、はじめて。
あらためて、今の自分は「旅人」とかカッコいいものではなく、ただの「ホームレス」である、と確信した。
日も完全に落ちて、持って来たヘッドライトを照らしながら、何とかこれを書いている。
さっき管理棟でたむろっていた人々は帰ったが、入れ替わりのようにして、さっきから若者の団体がさわいでいる。
頼むから、夜中に騒がないでくれよ。
と心で祈っても、こんな時間からこんな場所に来た若者が、騒がないわけがないだろう。
完全に「黙れ」とはいわないが、少なくともこちらに被害のかかるような騒音だけは、くれぐれも出さないでいただきたい。
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