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ママチャリ紀伊半島ほぼ一周    【3日目】
● 2007年5月5日(土) くもり 和歌山県大塔村〜奈良県大和高田市 175.6km




もはや空き地化されている、紀州鉄道の廃線跡。それでも
レールと枕木が残されているあたりに、地元民の愛を感じる。


紀州鉄道の終点と思われる場所では、鉄橋がそのまま残って
いる。「危ない」とフェンスを設けないあたりは、すばらしい。


海南市から東へ延びる、野上電気鉄道の廃線跡。
遊歩道の看板が、廃線らしさを演出している。


野上電気鉄道の、さらに奥。もはや路地裏の通路としか
思えないこの道が、廃線と気がつく人はただのマニアだ。
心配していた雨は降らず、無事一夜を過ごせた。
はいいが、あまり眠れなった。
さして騒音もなく、寒くもなかったのに、なぜだろう。

湿度が高いせいか、午前5時の段階ですでに外はあたたかい。
今日は雨が降らないうちに、動けるだけ動かなくては。
準備を済ませ、午前6時に出発。


予定では道の駅沿いの国道を上り、おととい来た山道へ戻るはずだった。
が、山道で雨が降っては、危険極まりない。
また、山道の近くに電車は走ってなく、バスは1日何回走るかわからない。
リタイアしたくても、できなくなってしまう。

ここは思い切って、海側ルートへ変更することに。
遠回りにはなるが、雨が降ったときのことを考えると、これが最良である。


出発後しばらく、太陽が顔を出す。
天気予報のうそつき!
これなら、予定どおりの山道ルートでもよかったかな?

昨日・おとといとは違い、市街地が続く。
信号も交通量も多いため、市街地を走るほど、うとましいものはない。
が、2日間も山の中にいたためか、逆に快適に感じる。


御坊の市街地に差しかかったころ、国道を1本はずれ、住宅地へ。
というのは、ここに廃線があるためだ。
前々から来たいと思っていたので、ついでなので寄ってみることに。

こいつはすごい!
在来線の終点から延びた線路が、そのまま残っている。
残された線路は進入禁止となっているが、線路のすぐ脇にある民家の物置となっている。
線路が、そのまま住宅地の風景として一体化しているのだ。
ホンモノの鉄道マニアが見たら、興奮して鼻血出すのではないだろうか?


お昼前から、空は一面雲で覆われる。
時折しめった風が吹き、いつ雨が降ってもおかしくない状況である。
が、廃線でテンションあがったせいか、夕方までなら雨でも走ってやる、という気持ちである。


海南市へ着いてからは、海とは反対側へのびる道へ方向転換。
ここから奈良方向へと走る。

ちなみにこの道の側道には、遊歩道がある。
この遊歩道は、実は廃線跡である。
さっきから、旅の趣旨が変わりつつあるぞ。

遊歩道を少し走ってみたが、アスファルトがやや荒く、自転車では少し走りにくい。
結局、一般道を走ることに。


空腹感が強かったのだが、昼食はなるべく雨が降るまで待つようにした。
が、午後1時半についに限界、コンビニへ立ち寄る。
やはり雨を警戒し、ゆっくり食べることができない。
食べ終わるや否や、すぐさま再出発。

道を進むにつれ、未舗装の廃線跡が民家のすき間からちらほら見える。
ここは一度訪れたことのある廃線だが、何度見ても趣がある。

ふと道しるべを見て、首をかしげた。
あれ、この道あってる?
地図で見てみると、途中曲がるべき道を、思いっきり通り過ぎているではないか。
ついつい廃線に見とれてしまった。


あわてて軌道修正し、紀ノ川・吉野川沿いの国道24号線へ。
ここまで来ると、もう迷うことはない。

このあたりは、民家と果樹園が多い。
今日一日だけでも、なかなかバラエティに富んだ風景を見ているな。


「ゆとりの旅」と最近心がけているが、今日は昼前から、かなりハイピッチで走っている。
国道24号線に差しかかってからは、まともに風景を見ていない。

ただ、こうして先へ急ぐ走り方は、決して苦ではない。
むしろ、このほうが僕の旅スタイルとしてあっているのではないだろうか。
ムリして「ゆとり」など持たず、自分が快適と思える旅ができたらそれでいいだろう。


あたりが暗くなり、午後7時。
すぐ近くにある大和高田駅という駅で、旅は終了。
駅近くの有料自転車置き場に、自転車を停めた。

あと3時間も走れば、家にたどりつくことはできる。
しかし、夜に走る3時間は、あまりに長く、不安すぎる。
かといって、ここらで一泊して、明日どしゃ降りのなか3時間走るのも、バカバカしい。

自転車で家まで帰れないことは、正直悔しい。
でも、紀伊半島をわずか3日でほぼ一周したんだし、今回はよしとしなくては。


当面は、旅の余韻と、毎日150円ずつ加算される駐輪代のことが、頭をめぐるだろう。


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