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早朝の絶景、「千枚田」。生産性や効率などより、
伝統を重んじてる精神が、なお美しく映える。
通りがかりに差しかかった、珠洲市の塩田。奥能登の
青い海に、点在する塩田の景色は、思わす息をのむ。
軍艦島とも称される、無人島の「見附島」。この界隈の海岸を
「えんむすビーチ」と呼ぶ。その他カップルにちなむ名前が点在。
屋根完備・窓完備の、野宿場所としては快適な小屋。
中にテントを張るところに、旅人らしからぬ潔癖症が見える。
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昨日と同じく、朝からテンションがあがらない。
どうやら、毎晩熱燗にして飲んでいる地酒ワンカップが、朝まで尾を引いているようだ。
出発して間もなく、千枚田のビュースポットに。
いくつもの小さな田んぼが、びっしりと並ぶ。
社会の教科書以来に見る風景は、美しさと同時に、収穫しにくそうだという現実を考えてしまう。
しばらく風景を楽しんでいると、そこで手作り人形を販売しているおばあちゃんに、声をかけられる。
かつて人力車などで能登半島一周している人物など見てきたが、キックボードははじめてだと言う。
けっこう長めに話をしてくれ、まる2日誰とも会話していない心に、しみわたる。
海沿いを走りしばらくすると、閑静な道がとたんににぎやかになる。
昨日同様、「ツールドのと」ご一行様との合流。
昨日は「がんばれよ!」という声が多かったが、今日は「昨日も会いましたよね?」という声が多い。
有名人にでもなったようで、妙に照れくさい。
海沿いをずっと走れば、能登半島の先端に行ける。
が、2日間の進捗具合を逆算すると、それでは時間が足りなくなる可能性がある。
仕方なく、先端を回避してショートカットする道へ。
しかしこの道が、とんでもなく急な坂道!
自転車であっても、足をつかずに登ることは困難だろう。
汗ダクになりながら、ひたすらキックボードを押し進む。
峠を上りきったところで、体力が尽きる。
トンネルの日陰を利用し、30分ほど休憩。
いつも休憩は10分くらいであるが、30分間休んだ。
体が動かないのである。
峠を下り、しばらく走ると、再び「ツールドのと」と合流。
昨日もちょいちょい話しかけてくれたお兄さんが、僕に併走して、しばらく話をしてくれる。
こんなゆっくりなペースにあわせてもらい、申し訳ない。
お兄さんと別れてしばらく行くと、今度は若い女性が併走。
何でも、10日間くらい走り続けているらしい。
ホンマに自転車が好きなんだなぁ。
なかなか食べ物を売ってるお店が見つからず、ようやく見つけたスーパーで昼食をとったのが、午後1時過ぎ。
食べている途中に、ツールドのと終了を知らせる車が、目の前を通る。
案の定、それ以降自転車の群れがパッタリと消える。
またしても、孤独な旅が続くのか・・・
再出発して、港町を走る。
意外にも、多くの住民から声援をいただく。
まだまだ孤独を恐れなくていいみたいだ。
夕方、山手にある温泉へ立ち寄る。
景色もさながら、3日ぶりの入浴は、実に気持ちがいい!
休息とは、食事と睡眠だけでは不十分であることを、実感する。
このまま長時間入っていたい。
が、もうすぐ夕暮れ。
休憩もそこそこに、出発。
昨夜のように、危険な場所での野宿はもうイヤだ。
はやめにスーパーで買い出しをし、はやめの宿探し。
2日間とも、あたりが暗くなってから宿探しだったので、これではイカン。
と思ってはいたが、けっきょく今日も夕暮れギリギリ。
海辺の道にある、バス停小屋。
けっこう新しく、引き戸と窓があり、ものすごく快適である。
腰を下ろすと、とたんに人恋しさに襲われる。
野宿では、こんな気持ちにならない。
安心できる空間を手に入れると、こんな気持ちになるのだろうか。
そのまま寝袋でザコ寝しても大丈夫なのだろうが、いかんせん潔癖症。
小屋にいる虫が気になるため、小屋の中にテントを張った。
この光景、外から見てみると、何と奇妙なものだろうか。
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