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素朴な集落・穴水町に残る廃線と廃駅。ローカル線が
動いていても、味わい深い風景だったろうなぁ。
トイレが設置されているだけのドライブイン。地元民の
待ち合わせ場所であり、駐車場にもなっている。
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深夜2時。
バス停に1台の車が停まったと思えば、ものすごい勢いでバス小屋のドアが開く。
何?
思わず飛び起き、身構える。
と、これまたものすごい勢いでドアが閉まり、車は立ち去る。
いったい何だったんだろう・・・
時間が経過するにしたがい、ジワジワと恐怖心が戻る。
そんなトラブルに見舞われつつ、午前5時半に起床。
いつもより早起きしたのは、バスの始発が午前6時台にあるから。
住民の交通手段としての場所を、侵害してはいけない。
しかし、あいにくの雨。
テントをたたんで朝食をとってから、しばらく待機。
バス小屋の中は寒くないので、特に苦痛ではない。
小雨になったのを見計らい、午前7時に出発。
出発して間もなく差しかかったのは、穴水町という小さな集落。
素朴。
簡易な商店と、簡易な郵便局と、いくつかの民家。
生活するうえで、必要最低限のものだけがある。
こういう小さな集落にこそ、力強い住民の力を感じる。
途中、おばあちゃんが声をかけてくれる。
「ここは名物も名産もない場所だから、山と海だけ見てってね」
そういうあなたも、僕にとっては貴重な風景の1つ。
この“何もない”ということは、大きな名産であり、大きな財産である。
集落を抜けてからは、小雨だった雨が、時おり強くなる。
何日も外にいると不思議なもので、「あっ、これは強く降ってくる」というタイミングがわかる。
とはいえ建物の少ない場所なので、目についた工場を見つけては、屋根で待機。
天気のせいか、昼から元気が出ない。
気分が乗らないときは待機、といつも心には思っているのだが、ついつい走ってしまう。
今回に限っては、距離をかせがないと「能登半島一周」の目標を達成できない、という気持ちが強い。
夕方、七尾市という街に到着。
久しぶりに、開けた街である。
しかしながら、歩道の整備がずさんで狭く、走りにくい。
午後5時半。
ある峠のふもとで立ち止まる。
1時間あれば越えられる峠であるが、1時間後は確実に日没。
急ぎたい気持ちを抑え、安全を最優先して、近くの小さなドライブインで腰を下ろす。
天気予報を見ると、明日は雨模様・・・
まぁ目標達成できなくても、まずは安全第一!
雨なら遠慮なく雨宿りして、ムリと判断したらバス・電車で帰ればよい。
引き返す術があることは、ママチャリ旅とは違う大きなメリットである。
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