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宇治茶の産地として有名な、宇治田原。左右に広がる
茶畑もさながら、町中にただよう茶のにおいが旅心そそる。
信楽では、「これでもか」と言わんばかりに、信楽焼のたぬきが
置かれている。これだけ在庫があって、売れているのか?
国道沿いに、ひときわ派手な外装をまとった建物。
サウナというより、どう見ても昔のラブホみたいである。
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年に1度くらい、襲われる感情がある。
特に、ブランクの長い春先には、よくあることだ。
旅に出るのが怖い。
あらかじめ日程を空け、まわりに「旅に出る」と宣言しているというのに、足がすくんでしまう。
特に今年は恐怖心が強く、2日前から夜の寝つきが悪くなっていた。
こんなに恐怖感が強いというのは、何か不吉な予兆・・・?
と考えては、ますます怖気ついてしまう。
けっきょく不安は晴れぬまま、旅は決行。
例年、ゴールデンウィークがその年の旅初めとするのであるが、今年は1ヶ月以上も早い。
今年の冬は暖かい日が多かったせいか、2月から旅をしたい欲求がふくらんでいたのだ。
寒いだろう、と思って出発は遅めでよいと考えていた。
しかし、朝から暖かかったため、目覚めてすぐに出発。
今回、出発前にいろいろと思い悩むことがあった。
旅でもしたら気分は晴れる、という期待も抱いていた。
しかし、出発してからそのことばかり考えてしまい、余計に気分が落ち込む。
せっかく天気がよく、せっかく楽しみにしていた旅だ、というのに。
少し気分が晴れてきたのは、2時間ほど経過してから。
はじめの2時間は、普段バイクなどでよく通る道だったので、旅気分にはなれなかった。
どうやら旅というものは、風景が日常と異なってからが、スタートのようだ。
宇治茶で有名な京都・宇治の町は、ところどころに茶畑が並ぶ。
お茶の工場が点在し、ほうぼうからお茶のにおいがただよう。
国道を走りながら、においを感じられるあたり、旅っぽい。
途中から道は狭くなり、上り坂が続く。
気温はグングンと上昇し、次第に体力が奪われてゆく。
道路案内の気温が、午前中だというのに「19」を示していることから、季節外れの夏日であることがわかる。
たんまり持参した防寒着が、邪魔に感じる。
暑さに負け、上り坂の途中にある木陰で、ひとやすみ。
すると、大荷物を載せた自転車旅人が、ゆっくりと坂を上ってくる。
つい声をかけてしまうのは、自分もかつて自転車旅人だった仲間意識と、純粋に孤独を紛らすためである。
何でも彼は、名古屋から関西圏をぐるっとまわっているらしい。
なかなか無口なコだったので、こちらからあれこれ話をふった。
旅人に会話のニガテな人間が多いことは、悲しい現実である。
彼からは、現在地や時間をしきりに聞かれた。
現在地や時間を気にせず走ったほうが、もっと純粋に旅を楽しめるのに・・・
というノウハウを持っていながら、あえてそれは口にしなかった。
旅の楽しみやスタイルは人それぞれやし、彼は彼なりに何らかの楽しみを持っているかも知れないから。
峠を越え、昼食をとってからは、信楽の町を走る。
信楽焼という、たぬきの陶芸で有名な町である。
国道沿いの至るところに、たぬきの陶芸が置かれていたり、陶芸屋があったりする。
陶芸屋には、無数のたぬきが整然と並べられているので、見ごたえがある。
旅やなく、ぶらっとドライブで寄ったのであれば、ついつい1個買っていただろう。
午後4時半ごろ、目的地周辺へ到着。
まだ太陽は出ているし、気温も暖かいため、走り足りなさを感じる。
ただ、ここより先に進むためには、大きな峠を通らないといけない。
峠の途中で暗くなる可能性があるし、峠の向こうに宿がある保障がないため、今日はここで終了にしよう。
かねてチェックしていた、24時間サウナへと向かう。
チェックしていたとはいえ、ホームページが見つからず、営業しているかわからない。
実際に建物はあったが、何か古くさい。
派手なオブジェが昭和のラブホテルっぽく、どうも廃墟くさい。
国道沿いの入り口は、思いっきり閉鎖されている。
これはマズイな、と思いきや、よく見ると建物の裏側に入り口を発見。
チェックインしてからは風呂に直行し、施設内の居酒屋で夕食をとり、あとは休憩室でひたすらテレビを見る。
いちどチェックインすると外出できないのが、サウナの悲しいところ。
施設自体は、思っていたよりかなり狭い。
広くてまわりがうるさいよりは、はるかにこのほうがよい。
午後9時ごろ、テレビにも飽きたので、仮眠室へ。
仮眠室は、真っ暗な部屋に簡易ベッドが10個ほど並べられている。
各ベッドはカーテンで仕切られており、最低限のプライベートは保たれている。
ただ昔っから、男性専用サウナは“そういう人”のサカリ場、と知られている。
夜中に何もないことを、ただ祈るのみである・・・
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