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写真の色が悪いのは、カメラの具合が悪いわけでも、補正の
せいでもない。朝から町がうす暗くなるほどの、はげしい黄砂!
鈴鹿峠を上る直前に見つけた石碑。このへんは「東海道」と
して栄えたらしく、ところどころに歴史を感じるものが点在する。
時代劇の舞台に迷い込んだかのように、昔ながらの雰囲気が
残る「関宿」。1軒ずつが普通の民家であることが驚きだ。
四日市市駅前にある、アーケード。全体的にきれい
なのはいいが、全体的にチェーン店が多いのが残念。
四日市名物「とんてき」。とにかくボリュームがあって、
1人で食べるとたちまちおなかいっぱいになってしまう。
夕食後にふらっと寄った立ち飲み屋では、旅の話で大盛り上がり!
特に僕の話に食いついてくれたUさんと、お店の前で記念撮影。
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早めに寝たにもかかわらず、目が覚めたのは予定より遅い、午前7時。
天気予報では朝から気温が高いそうで、すぐにでも出発するつもりであった。
が、風が強い!
看板や窓を打つ風の音が館内に聞こえては、さすがに寒そうで、外出する気にならない。
けっきょく出発したのは、午前8時半。
カウンターで精算しながら、お店の人にキックボードを指摘される。
大阪から来たというと、当然ながらたいそう驚かれた。
しかし驚かれたことより、人と話ができたことが、うれしかった。
30歳を超えてからというもの、ひとり旅で感じる孤独感が、めっぽう弱くなった。
外は思ったほど、寒くはない。
風はいぜん強めであったが、運のよいことに向かい風。
あたり一面、風景がかすんで見える。
黄砂である。
濃霧にも似たこんな強い黄砂は、そう見られるものではない。
出発してからは、ゆるやかな上り坂が続く。
ここから先は、今回の旅で唯一の難所、標高350mの鈴鹿峠である。
急勾配で過酷な上り坂があるのかと思っていたので、ずいぶん楽である。
坂の途中から、雨が降り出した。
あわててバス停へと退避すると、まもなくやんだ。
と思って出発すると、またすかさずどしゃぶり・・・
そんなことが3度続き、ぶつけようのない怒りがこみあげた。
なんだかんだで無事峠を越え、下り坂。
下りは勾配が急である。
逆から上っていたなら、相当疲れたことだろう。
歩道は車道と完全に分離され、かつ幅が広いため、けっこうスピードを出して下れた。
下り坂がゆるやかになったころ、コンビニを見つけたので昼食。
食べ終わる寸前のところで、先ほどまでやんでた雨が、再び降りだした。
しかも今度は突発的ではなく、長雨になりそうだ。
あわててコンビニの隣にある食堂廃墟へ移動し、広めの屋根の下で待機。
すると気温がぐっと下がってきて、ようやくこの季節らしい「こごえる」という感情を覚える。
やっと役に立つ防寒着に身を包みながら、この時期の旅の難しさを痛感する。
雨がやんだら、すぐさま出発。
出発してすぐ、「関宿」という大きな看板が目についた。
何でも、国道から1本外れた道が、古風あふれる町並みになっているらしい。
国道の道なんて退屈だし、迷わず行くことに。
なるほど、ここがいわゆる「東海道」だそうな。
江戸時代を思わせる道と建物を、するりと抜けて行く。
建物はオブジェではなく、れっきとした民家である。
そのため、家の前にハイブリッド車などのハイテクがあったりして、妙な違和感を覚えたりする。
関宿を越えると、再び国道に合流。
途中で歩道がなくなったり、まわりの風景がまったくよくなかったりと、まさに車が高速で通り抜けるために作られたような道が続く。
お店どころか、腰をおろす場所すらない。
時間的に余裕があるので休みたいのに、休むことが許されないという、もどかしさを感じながらただ走り続ける。
目的の四日市市に到着したのは、午後5時。
予約していたビジネスホテルが、四日市駅からすぐの場所にある。
うす汚い格好で人ごみを、キックボードで通り過ぎるのはやや気がひける。
チェックインしてひとっ風呂浴びてから、しばらくベッドの上から動けなくなった。
国道で休憩できなかった疲れが、どっと押し寄せたのだろう。
ひとしきり休憩したのち、夕食を求めて繁華街へ。
駅前のアーケードはやけにきれいで、見渡すとチェーン店の居酒屋が多い。
きっと、最近急激に開けたのだろう。
もちろんチェーン店なんて入る気分にはならず、あえて古めかしいお店をチョイスした。
見た目が食堂で、メニューが居酒屋と食堂メニューが混在している、いかにも地方っぽいお店。
四日市名物だという、「とんてき」を注文した。
一品料理で1,100円は高いなぁ、と思ったが、運ばれたものを見て納得。
甘辛いソースで煮込まれた豚肉が、千切りキャベツとともに、大皿いっぱいにどかっと盛られている。
肉の質が正直イマイチだが、ソースが抜群においしい!
テーブルのすぐ隣には、ヤ○ザ屋さんの大家族がいる。
でっかい大阪弁で大阪の話題を話しているので、遠くへ来たという気分にならない。
1人でさびしいので、向かいに座っているおじさんに話しかけると、この人も大阪弁。
四日市って、大阪人がたまりやすい場所なのかな?
けっきょく1時間ほど居座り、午後9時に閉店とのことで、お店を追い出される。
ビール2杯を飲み、ほろよい加減である。
まだ帰る気分にならず、もう1軒寄ることにした。
小さな立ち飲み屋で、1杯だけ飲んで帰ろうと思いきや、店主とアルバイトさんと意気投合。
おなかいっぱいなのに、つまみと酒が進む。
さらに、途中から入ってきた3人組のお客さんとも、仲良くなる。
僕の旅の話にめちゃくちゃ食いついてくれて、すっかりゴキゲンである。
ユースホステルなどで旅人同士と話すのならともかく、こんな居酒屋で見ず知らずの人と盛り上がるなんて、初めてのことである。
けっきょく、ビジネスホテルへ戻ったのは、午前0時を過ぎてから。
ビジネスホテル泊は旅っぽくないので毛嫌いしていたが、こうして夜の街を散策できることを考えると、なかなかいいものだ。
最近、自分の旅のテーマが「孤独との戦い」から「人とのふれあい」に変化している気がする。
こうして、マンネリ化せず年ごとにテーマが変わる“ひとり旅”というものを、趣味として持てたことが、しあわせでならない。
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