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もはや牛丼ではない、というより丼料理ではない、
このボリューム!食材の味を、純粋に楽しめる逸品。
やれ温泉だスーパー銭湯だのがはやっているが、
やはり原点は小さな銭湯。斬新な気分になれる。
松原の広がるビーチで野宿。繁華街のすぐ近くだと
いうのに、本当に静か。写真は次の日の朝撮影。
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キックボード旅をはじめて、5年。
さまざまな場所へ行き、ときにはかなり長距離を走った。
ほとんどの場合、当初の目的どおり走ってゴールを迎えている。
ただ、なぜか淡路島だけは、やたらリタイアをしてしまう。
今まで3回行ったうち、実に2回がリタイア、である。
別に誰と競っているわけではないが、完全に「負け越し」の状態である。
せめて、勝率は五分でありたい。
という思いを心に込め、淡路島へと足を運んだ。
ここのところ、やれ紀伊半島一周だの大阪→東京間だの、長距離の旅が続いている。
そういう意味では、2日でまわった実績のある淡路島など、おそれるに足らず。
まして、今回は3日もかけるわけである。
という油断もあり、朝からダラダラ準備をはじめ、キックボードをけり始めたのは、正午。
たいがい午前中には動いているので、こんなに遅い出発は、はじめてである。
ちなみに、今回淡路島へ渡るための手段は、「淡路ジェノバライン」という高速船。
いつもなら「たこフェリー」というフェリーを使っていたのだが、航路が休止となったため、はじめて乗る便である。
乗船場の場所も航路も、たこフェリーとほぼ同じなのに、全然雰囲気が違う。
なんか、はじめて行く島へ向かうような、新鮮な錯覚におそわれる。
出発して30分後に、「淡路夢舞台」という場所にある、「グリル淡路夢工房」というレストランで昼食。
注文したのは、淡路島名物である、淡路島牛丼。
肉のしっかりとした味と、タマネギのシャキシャキした歯ごたえは、まさしく「淡路島の味」といったところ。
昼から1,550円なんて贅沢も、たまにはいいものだ。
昼食後、いよいよ本格的に出発。
景色の見飽きた国道ではなく、あえて1本外れた道を進む。
きれいに整備された国道とはうらはらに、生活臭のただよう住宅地を突き進む。
いつも思うが、やはり住宅地というのは、走っていて心地がよい。
どんな観光地を行くよりも、知らない土地の住宅地ほど、輝いているものはない、と思う。
空は快晴で、太陽が照りつける。
しかし風は冷たい。
真夏の「ただ暑くてしんどいだけ」というネガティブな気分にはならず、絶えず爽快感を覚える。
やはり、真夏に旅などするものではない。
今回は、なるべく観光を交えた旅をしたい。
と思っていたが、なかなか観光する場所がない。
結局、足を止める場所がないまま、ハイペースに突き進む。
夕方は、洲本市街にある銭湯へ。
いつも野宿をするときはお風呂に入らないので、珍しいことである。
時間に余裕があるからこそ、できることである。
銭湯は、昭和を凝縮したような、古いたたずまい。
番台あり、富士山の絵あり、常連さんの置きっぱなしのシャンプーあり。
常連さんが雑談している光景が、なんとも味がある。
意外にも、このご時世にお客さんがいっぱいである。
夕食も淡路牛丼・・・と思ったが、あまりおなかが減っていない。
野宿しながらの晩酌のしやすさも考え、スーパーで食料を調達することに。
そして寝床は、大浜海岸という、松原の広がるビーチ。
すぐ近くが市街地であり、さらに温泉街のホテルに囲まれた場所なので、野宿して問題ないのか?
という警戒心もすぐに吹き飛ぶほど、人がほとんど通らない。
とはいえ、さすがに街が近いこともあり、たき火ができない。
たき火をすれば、火を見ているだけで時間を忘れられるのだが。
ただただ何もすることのない時間を、焼酎のお湯割りを飲みながら過ごした。
「何もしない」という時間が日常ではなかなかないこと、またそういった時間も貴重であるということを、実感しながら。
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