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峠を越えて、いよいよ折り返し。車が少なく細い川沿いの県道を
歩く。この時すでに、足の裏はマメだらけ。めちゃくちゃ痛い!
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午後5時起床。
かつてママチャリで日本を制覇したとき、キャンプ場で寝泊りしたときはだいたいこの時間に起きることにしていたので、そうした。
が、めちゃくちゃ寒い!
季節がもう秋であることを、すっかり忘れていた。
さすがにこの寒さでは、歩くばかりか、テントをたたむことすら出来ない。
2度寝をするとしんどうだろうから、テントから顔だけ出して、外の風景を眺めていた。
相変わらず、釣り人が朝からいる。
はじめは10人ほどだったが、後からわんさかと出没して、もう数えることすらおっくうになるほどの数となった。
それほどに釣りってのは、人を魅了するものなのだろうか?
30分ほどして外が明るくなって来たので、ようやくテントから這い出て、朝食をとった。
秒単位で明るくなってくるこの湖畔の風景は、いつ見てもスバラシイ。
午前6時、出発。
1時間前よりはだいぶマシながらも、それでも肌寒い。
Tシャツに半パンという、旅用スタイルだから、この時間では寒くて当たり前かも知れない。
パーカーでも羽織るとマシなんだろうが、わざわざカバンを開けて出すというのが手間なので、やめた。
出発してしばらくすると、上り坂となっていた。
この旅で、はじめての上り坂だ。
というか、登坂車線を歩くことがはじめてだ。
坂を上っていると、いきなり睡魔に襲われた。
昨夜はたっぷり8時間も寝たはずなのに。
半分寝ながら、ひたすら坂を上った。
ちなみにこの「半分寝ながら」という表現は、誇張表現でなく、ホントに半分寝ながら、なのだ。
歩道が広いから良かったものの、都会道だったら、間違いなく何かにぶつかっているだろう。
歩くと目も覚めるだろうと考えていたが、いっこうにその気配はない。
耐え切れなくなり、苔むした道で10分ほど、仮眠をとった。
もちろんこんなへんぴな所、人通りがないので、「ヘンな奴」という目で見られることもない。
この仮眠のおかげで、すっかり目が覚めた。
仮眠が終わってすぐ、トンネルがあった。
もちろんトンネルを歩いてくぐるなんて、はじめてのことだ。
こいつがもう、大変。
排気ガスが充満していて空気は悪いわ、車の音は響いてうるさいわ、暗くて薄気味悪いわ、足場はガタガタだわ、いやなことずくめなのだ。
特にトラックなんか通ると、耳をふさいでも低音がうるさく響く。
車が通るとうるさく、通らなかったら静寂が不気味で恐い。
よりによってこういうときに、「トンネルは霊が集まる」などと恐怖番組を思い出してしまうので、ただビクビクとするしかない。
結局、トンネルは合計で4つも通った。
トンネルを抜け、いよいよ山道もなくなったところで、琵琶湖の折り返し地点へと到着した。
ここにある湖の見えるドライブインで、昼食をとることにした。
この近辺にはコンビニや食堂がないので、やたらと人が集まっていた。
家族連れはもちろん、サイクリング、ツーリング、さらにはやたらど派手なバイクを乗ってる老夫婦など、それぞれの人がそれぞれ独自のスタイルを持っていて、見ていて楽しかった。
後半戦は、ひたすら湖に沿う平坦な道だ。
午前中はトンネルなどでわからなかったが、空は1日ずっとくもっている。
こいつのおかげで、あまりテンションが上がらない。
おまけに、足にも疲れがやって来た。
そりゃあ朝の6時から歩いてんだもんね。
途中で足のマメに針をさして水を抜きながら、びっこひいた形で歩いた。
この時点で、休憩の間隔がどんどん縮まって来た。
ヘロヘロになって気がゆるんで来たそのとき、前方から、重そうなカバンとアルミシートをかついだ人が、歩いて来た。
同業者だ!
まさか同じ志の人間がいるとは・・・
もちろんお互い、すれ違いざま立ち止まって、互いの旅についてを話した。
どうやら彦根(琵琶湖南東部)から歩いて来て、ひたすら北を目指すらしい。
会話はわずか3分、あとは互いの無事を祈って、お別れした。
つまり、必要最小限の会話となった。
おそらく話をすると、いくら時間があっても足りないし、もうすぐ宿を探さなければいけない時間であることを、互いにわかっていたために、暗黙の了解でこの短時間の会話になったんだろう。
と僕は思うのだが、向こうはどう思ってたのだろうか?
日が暮れ始めると共に、足が限界に近づいてきた。
休憩がどんどん増えて、歩く気力もなくなってきた。
これでは明日、歩けないだろうと判断し、今日はこのまま帰ることにした。
駅までもう少し、ちょうど今から駅に行けば、琵琶湖に落ちる夕日がきれいに映るだろう・・・というのはわかっていたのだが、疲労と空腹でそんなこと考えることができず、コンビニで夕食をとることにした。
車窓の風景は見れなかったが、片田舎の町に映える夕焼けは、何かなつかしい気分になった。
そんなわけで、旅はまたしても2日で終了。
一周するには、あと急いで2日、余裕をもって3日かかる距離だ。
もちろん、次回で一気にゴールへと向かいたい。
さすがに来年持ち越しとなると、気分的にイヤだからね。
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