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公園のすぐ隣の家に住んでいた子供達。声をかけると、家から
とび出てきた。この無邪気さと好奇心の強さには、さすがに負ける。
素朴な建物ながらも、24時間営業をしている食堂「ことぶき」で
腹ごしらえ。おかずが多いのはいいのだが、どれも鮮度がないぞ。
広大かつ絶景の温泉「草原の湯」。ゆったりとくつろぐJJだが、
この後、彼の髪の色に変化が・・・。話題の尽きない奴だ。
山道の一角で寝転がる野良猫とJJ。髪の色が変わった
彼の心をいやしてくれるのは、この小さな動物しかいない。
寝床となったお寺の本堂。不気味さよりも、ムカデやら大グモの
ような小動物が恐い。でも住職さんには、感謝感謝。
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早朝5時、謎の叫びを聞いて思わず飛び起きた。
ガキが騒いでるのだ。
日が出るや出ぇへんかくらいやのに、やったら元気だな、こいつら。
こんな時間、「お子ちゃま」は寝とけよ。
どうやらJJと大介は夜を徹して起きてたらしく、寝ていたのば僕だけだったようだ。
周りがうるさいわけではなく、単に寝れなかっただけだそうだ。
そういえば、いつもファミレスで集合するときも、この2人が朝まで喋っているなか、僕だけいつも半分寝てるしね。
思いがけない早起きに、まだ眠い目をこすりながら、テントをたたんで出発した。
出発して30分くらいして、急に眠気が襲って来た。
ハンドル操作がフラフラで、あやうく道路のみぞに突っ込みそうになることが何度もあった。
これはさすがに危険だと判断し、近くにあった神社で、休憩することにした。
寝てない2人は何ともなかったらしく、しぶしぶ休憩に応じてくれた。
タフやねぇ。
神社敷地内の公園に、マンガに出てきそうな土管が3本、ピラミッド状に置かれていたので、その上で30分ほど寝た。
ふと目が覚めると、敷地のすぐ隣の家から、子供が2人、こちらを興味津々といったまなざしで見ている。
手招きをすると喜んで家から飛び出して来て、しばらく一緒に遊んだ。
思いがけない、「旅の出会い」だ。
眠気も気分もリフレッシュして、再出発!
まず向かったのが、ガソリンスタンド。
民家もまばらなガソリンスタンドが、早朝に開いてないと思いきや、そうでもない。
田舎だからこそ、トラックがしょっちゅう走るためだろうか。
給油しもって、朝食のありかをガソリンスタンドのお兄ちゃんに尋ねた。
すると近くに、トラックの運ちゃんがご用達の、24時間開店の食堂があることを聞いた。
昨夜たらふく食いながらも、すでに空腹である3人は、迷わずその食堂へと向かった。
食堂は、おかずを陳列ケースから選べる、いわゆる「めしや」方式のところでとった。
海辺なので新鮮な魚が・・・と期待して見てみると、想像とはうらはらに、しなびた「かつをのたたき」などしか置いていない。
24時間営業だし、やっぱこんなもんなんだろうか?
そう言いながらも、結局調子こいて1人1000円分食べた。
腹を満たして再出発すると、温泉の看板に目が止まった。
そう言えば昨夜、体を洗っていないや。
万丈一致で、温泉へと向かうことになった。
温泉につくと、まだ開店していないらしい。
が、30分ほど待つと開店だそうなので、おとなしく待ち、ようやくお風呂へ。
料金がお手ごろなのもステキだが、何よりも広い!
岩肌と絶景に囲まれた、100%露天風呂。
こいつは、極楽だ!
「いやぁ、五臓六腑(ごぞうろっぷ)にしみわたるわぁ〜」と間違った比喩表現を使いながら体を洗っていると、足元に、青い液体が流れて来た。
「何じゃこりゃあ〜!」
叫んだのは、JJ。
よく見ると、彼の緑色の髪が、黄色くなっているではないか!
どうやら髪を染めるとうきに、金髪の上に青い塗料を塗っていて、その青が温泉で流れ落ちたようだ。
「・・・でも、これはこれでアリかぁ」
いいネタもでき、思った以上に早く、開き直った。
風呂上りに原チャなんて、湯冷めすんちゃうのん?
という不安もそっちのけで、湯冷めすら許さない灼熱の太陽の下、さらに3人は距離を稼いだ。
午後はほとんど会話もなく、ただ走るのみだ。
途中何度も、僕の失態で道に迷ったが。
とりあえず、「何とか明日には大阪に着ける」というところまで来たところで、日が暮れた。
しかし肝心の、宿を見つけることを忘れていた!
慌てて1件の宿を見つけ、訪ねると、「1人3000円」だそうだ。
旅の初心者である3人は、この相場が高いのや安いのか、わからない。
さらに貧乏学生である性分、寝泊りだけで「3000円」という金額が、どうも高く思えて仕方がない。
その宿はとりあえずパスし、仕切りなおした。
「24時間レストランなんかはどう?」
「どうって・・・ないがな」
「じゃあそこのカラオケボックスでお泊まりってのは?」
「・・・午前0時までのボックスにか?」
「野宿?」
「中途半端に栄えてるからザコ寝出来る所なんかないぞ」
なかなか話はまとまらず、時間だけが流れて行った。
「あ、そうそう・・・」
ふとJJが思い出したように言った。
かつて彼はママチャリでちょっとした旅をしたことがあるらしく、その時に、お寺にお願いして宿泊させてもらったことがあるらしい。
こうなったら、イチかバチか、それに賭けるしかない。
地図を頼りにお寺を1件見つけ、行ってみることにした。
高い石段のある、夜だからか少し不気味に感じるお寺。
「すいません」
最も社交的であるJJが先導を切って、挨拶をした。
初めはきっぱりと断られたものの、再三頼んでみて、何とか了承をいただいた。
早速荷物を置かせてもらい、しばらく住職さんと奥さんが、飼い犬を抱きながら、挨拶に来てくださった。
話によると、かつて琵琶湖方面から自転車で旅をしてる少年が、同じようにお寺に泊めたことがあるという。
また、お寺に犬がいっぱいいて、中でも今連れてる犬がいちばん賢い、など、いろいろな話をしてくださった。
JJがさらに話を拡大し、大介はタイミングの良い相槌を打っているなか、実は僕1人、テンションが低かった。
申し訳ないことだが、とにかく眠かったのだ。
ただでさえ睡魔に弱いうえ、昨日は結局5時間ほどしか寝てないからね。
で、寝る場所は大きな大仏さんのいる本堂。
それだけでコワイんだが、それ以上にコワかったのが、突如現れたクモ。
手の平ほどのサイズをしており、これが寝てる間に顔なんか這ったら・・・などと、ロクでもない妄想をみんなで膨らましていた。
さまざまな恐怖を背負いながら、明日に備えて寝ることにした。
が、蚊がいっぱいいて、なかなか寝つけられない。
蚊取り線香なり虫除けスプレーなり、借りれば良かった・・・と後悔したときにはすでに、母屋の電気が消えていた。
またしても睡眠不足になりそうだ。
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