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いちばん起きては行けない、事故発生！ただスリキズだけで
済んだのは良かった。雨道と峠と車間距離には、気をつけよう。
たばこの火を共有しあう大介とＪＪ。滑走中もたばこをくわえて
いたが、たばこを吸わない僕にはその気持ちがよくわからない。
人一倍目が多きいため、伊達めがねで目をカバーするＮＯＢ。
また背中にリュックを背負って、とにかく1人、荷物が多かった。
普段は100ccバイクを乗っているも、人の原チャを難なく乗り
こなす大介。事故さえなければ、完璧な走りだったのに。
時折さまざまなポーズで原チャに乗り、無言になりがちな
ツーリングを楽しませてくれたＪＪ。やっぱ彼がリーダーだな。
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「あれ、ここどこ・・・？」
目覚めた直後、全く見慣れない風景があったとき、一瞬自分の居場所がどこなのかわからなくなることって、誰しも一度や二度は、経験したことあるだろう。
今朝はまさにそれ。
よっぽど疲れがたまってたのだろうか、自分の場所を把握するのに、しばらく時間がかかった。
体中にある、蚊にさされた後の不快感で、ようやく理解はしたが。
天気はくもり。
ありがたいことに、「雨が降るかもしれない」と、雨具を用意していなかった大介に、お寺の方がレインコートを渡してくださった。
ホント、何と感謝すればいいのやらわからない。
不器用なりにもお寺の方にお礼を言い、お寺をあとにした。
出発いきなり道に迷いながら、とにかく先を急いだ。
「3日で紀伊半島一周！」という、当初の目的をずらしたくない一心でだ。
それでも腹は空いてくるので、こぢんまりとした食堂で、朝食をとることにした。
それぞれバラバラのメニューを注文したが、なぜか僕の分だけやたら遅い。
「カツ丼って、時間かかるからな」と、不機嫌さを押し殺しながら目の前で朝食をがっつく2人に言った。
2人が食べ終わるくらいのタイミングで、ようやく来た・・・が、注文が違うがな！
出て来たのは、ごはんと玉子焼きだ。
それでも食べといたらいいものを、空腹と、さんざん待たされた苛立ちがそうさせず、「作り直してよ！」と、料理を突っ返した。
ここでちょっとその場の空気が悪くなり、見かねた2人は、「ちょっと外散歩してくるわ」と、先に店を出た。
今考えると、急いでるのにこんな意地をはってる場合でもなかったのに・・・仲間にも店の人にも、悪いことをしてしまった。
空腹を満たすと、言葉も少なめに再出発した。
すると、ここからがもう地獄！
やたらトンネルが多く、周りの車の速度が速く、それでいて車線の幅が狭い。
さらには雨が降って来て、ちょっと油断したら、原チャごと車に引かれそうな最悪の状態となった。
もうこうなったら覚悟を決めて、ただ死に物狂いで走るのみだ。
そして、事件が起こった。
国道とは言い難い、車が2台すれ違えない曲がりくねった山道のこと。
先導を走っている僕の目の前に、突如対向車があらわれた。
思わず急ブレーキを踏むと、後ろで鈍い音がした。
車をやり過ごしてから振り返ると、僕の後ろにつけていた大介が、転倒しているではないか。
慌ててかけこむが、すり傷程度でたいしたケガではない。
どうやら急ブレーキに、突っ込んでしまったようだ。
寝不足による僕の不注意も悪いし、大介が車間距離を十分とってなかったことも悪く、さらには3人とも狭い道なのにスピードを出し過ぎていたことが、何より悪い。
互いに示談して、また先へと進んだ。
それにしても大介のすり傷だが、お寺でもらったレインコートがなかったら、もっと大きなすり傷になっていただろう。
これはひとえに、神のご加護だろうか？
走ってばかりで会話がめっきり少なくなっていたところで、ＪＪがある提案をして来た。
旅の記念に、プリクラでも撮ろうか、というのだ。
普段からプリクラみたいなミーハーなものを嫌う3人だが、なぜか万丈一致。
一路、ゲーセンを探しながら走ることとなった。
ゲーセンはいくらかあるが、プリクラの機械がなかなか見当たらない。
その代わりに、なぜかやたらと「エッチビデオ」を景品としているゲームが多い。
田舎の国道はトラックの運ちゃんがよく来るから、だろうか？
「全く、何て低俗なもん置くねん！」との気持ちとはうらはらに、気がついたら手はすでに、エッチビデオを狙うハイエナと化していた。
そらぁ男3人で3日間一緒に過ごしたら、そうなるってば。
恐るべし、風俗産業。
結局エッチビデオもプリクラも取れぬまま、さらに道を進んだ。
ようやく京都の手前まで来て、「もうちょっとでゴールだ」と来たところで、またしてもＪＪが提案。
今度は、「もう1泊して、もっと走りたい」というのだ。
しかし、今度はここで、意見が対立した。
「この旅は3日で成し遂げることに意味がある！」と、飽くまで主張したのは、紛れもなく僕だ。
はじめに立てた計画を、ここで崩すのはいやだ、といつもながら身勝手な頑固さがあったのだ。
また、目標は確実にクリアしたい、と一応リーダーとしてのこだわりもあった。
これに関して大介は、はじめはＪＪと同じ意見で押していた。
が、大介は僕の「一度決めたら絶対譲らない！」というビックリするほど頑固な性格を熟知しているため、途中から僕の意見を肯定するようになった。
結局ＪＪがしぶしぶ折れたことになったが、彼としてはどこか納得いかない表情を浮かべていた。
京都についたころには、すでに日は暮れていて、あたりは真っ暗だった。
都会道ではついつい免許のことが気になってナーバスになる僕を尻目に、ＪＪと大介はどんどん先へと向かって行く。
必死でそれに付いて行ったんだが、どこで道を間違えたか、はぐれてしまった。
急いで彼らを探すも、京都のように縦横に整備された道路で、おいかけっこなんて出来っこない。
携帯電話を持っているのはＪＪだけだが、連絡もうまくとれずに、結局最後の最後、ヘンな形でお開きとなった。
何とも締まりの悪い旅だったが、何とか目標は達成でき、大きいトラブルもなかったので、良しとしましょう。
何はともあれ、楽しかったしね。
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