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ただの小路と思いきや、両隣に民家があり生活感も
味わえる、フクギ並木。地味ながらも、楽しめる。
どう見てもただの沖縄の民家。これが沖縄そば屋で
あることは、看板がなければ気がつくまい。
両側に青い海と空がいっぱいに広がる長い橋の
向こうに、古宇利島。到着までに心踊りっぱなし。
ひたすら畑が続き、要所要所に民家が点在。
日本の田舎とは、また違った雰囲気がよい。
荒野とも呼べる地に、突然の石垣。
この空間をひとり占めできる贅沢。
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当然ながら、朝食も抜き。
おかげで支度が早く済んだ、という苦しい言い訳を自分に言い聞かせ、午前6時半に出発。
昨夜、暗闇の中で再び後輪が壊れかけていたのだが、案の定すぐつぶれる。
前輪からも異音がしていたので、交換。
タイヤの在庫が、ただただ不安になる。
いつもなら、朝は比較的涼しいし、快適に走れる。
が、やたらとバテる。
昨夜からごはんを食べていないせいか?
そう思うと、さほど感じていなかった空腹感を、急に覚えるようになる。
よりによって、出発後なかなかコンビニが見つからない。
ようやく1軒見つけたのは、1時間以上過ぎてから。
久しぶりにありつけた食事をいただきながら、今日1日の計画を立てる。
本島一周をあきらめた以上、距離をかせぐ必要はないので、寄り道をする候補を探す。
海沿いを走る道中にある、「美ら海水族館」が有名だし、ここで半日過ごそうかな。
再出発し、次の休憩では、宿の確保をする。
「古宇利島」という橋渡しの離島が、素朴でロケーションがよいそうなので、迷わずそこの宿を予約。
早めにつきそうな距離だが、時間が余れば島を徘徊すればいいだろう。
やがて、「美ら海水族館」にさしかかる。
が、そもそも1人で水族館というのもさびしいだろうし、結局素通りする。
その代わり、その先の半島にある「フクギ並木」という場所へ寄る。
名前のとおり、フクギという植物に囲まれた、細い道である。
道脇には普通に民家があったり、横道からは海が臨めたりと、それなりに楽しい。
ただ、下がダートなのでキックボードでは走れず、疲れているのにひたすら歩き続けないといけないのが、唯一の欠点だ。
昼食は、またしても沖縄そば。
小高い丘の民家の並びに、沖縄民家をそのまま改築したようなお店。
場所がわかりにくく、大きな道路に面しているわけでもないにもかかわらず、大サイズが600円は安すぎる。
午後1時を過ぎていたためか、お店も空いていたため、何度も水をお代わりしながら、ゆっくり休憩する。
そこから屋我地島を経由し、古宇利島へ。
このあたりは、海がきれいなのはもちろん、建物も少なくて、とにかく景色がすばらしい。
橋を渡り、古宇利島へ到着したのは、午後4時。
もっと田舎くさい場所かと思いきや、橋のすぐそばは、人が多い。
小さいながらもビーチがあり、海の家があり、ちょっとしたリゾート地としてにぎわっている。
時間が早いため、島をぐるっと一周することに。
しかしこれがまた、坂がきつい!
えんえん長く急な上り坂を進んでも、海は見えないし、まわりはほとんど建造物ないし、せいぜい畑が並んでいる程度。
のんびり散策、どころか、ただただ体力を消費してしまう。
島を一周してからは、お宿へ。
ビーチのあった場所から、島の内側へと入っていくのだが、これまたひたすら上り坂が続く。
道といっても、途中から畑のあぜ道になっていたりする。
本当に道あってるのか?と疑いたくなるほど、家もまばら。
少しずつ家が増えてきたかな、というところで、ようやく発見。
ゲストハウスなのだが、昨日おとといとは違い、沖縄民家そのもの。
ペアレントも、若い兄ちゃんではなく、老夫婦がやっている。
まずは到着してすぐ、お風呂へ。
風呂上りはお庭にあるテーブルで、おばあちゃんと夕涼み。
この前上陸した台風のこととか、飼い犬がハブに襲われたこととか、いろんな話をしてくれる。
旅が始まってから、人との会話をしていなかったこともあり、とてもありがたい。
しばらくすると、親戚だかヘルパーだか、男性がやって来て、さらに後から女性と子どもも加わる。
サーターアンダギーをいただきながら、がっつり話すというほどではないながら、ゆっくりとした時間を共有する。
夕日がきれいに見える場所がある、とのことで、行ってみることに。
さとうきび畑を抜け、歩いて5分、「遠見番所跡」という場所に到着。
異国船を観察するための、琉球王国時代の遺跡らしく、石垣でできた高台が残る。
そこからは海が一望でき、またふり返ると、建物のほとんどない畑と空き地が広がる。
ちょうど沈みはじめた夕日を眺めつつ、夕日に照らされる荒野の美しさにも感動する。
宿泊場所は、お庭の一角にある、離れ。
ロビーと、ベッドルームが2室あるのだが、今晩は僕1人のみ。
買ってきた夕食をとっていると、シチューをおすそわけしてくださった。
いろいろと気を使っていただき、本当にうれしい。
食後は再び庭に戻り、夜空を観察。
星が多くきれいで、時おり流れ星も見える。
お宿の方々も庭に集まり、そのうち子どもになつかれてたりしながら、ゆっくりとした時間を過ごす。
こうして、静かな場所で、静かに流れる時間を感じることも、悪くはない。
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