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肉眼では、端をとらえることができないほど長いベンチ。
実用性よりインパクト重視というところが、観光名所っぽい。
脂のノリがプリップリ！店で買っても、300円はするであろう
「ふくらぎ」の刺身が、なんと無料配布♪めっちゃうまい！
絶えず後ろからやってくる「ツールドのと」の選手たち。
みなさん楽しげで、見ているだけで元気をもらえる。
まわりが暗くなり、体力・気力が尽きたころたどり着いたのは、
路肩。危険とわかりつつも、寝床に選ぶほど疲労していた。
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朝から、サイクリングロードを走る。
あいかわらず、孤独感がぬぐい切れない。
今までさんざんひとり旅してきたが、ここまで孤独感におそわれるのは、はじめてではないだろうか。
ただ、サイクリングロードを抜けて国道を走ると、やけに自転車やバイクの人から、声をかけられる。
声をかけられると言っても、すれ違いざま「がんばれ」と言われたり、声もなく手を振ってくれたりするだけ。
それだけでも、孤独感を払拭するには、じゅうぶんである。
「増穂が浦」という場所に、世界一長いベンチがあるとのこと。
休憩がてら寄ってみると、常設ベンチが想像以上の長さで設置されている！
腰を下ろすつもりだったが、ついついベンチの端まで走ってしまう。
途中、子連れの女性に声をかけられる。
「アイデアがすごい」と、キックボード旅でいちばん言われてうれしい言葉をいただく。
何でも、昨日僕を道で見かけたとのこと。
なるほど、決して孤独を感じる必要はないと、旅を続ける決意が固まる。
ベンチからすぐ近くのスーパーで、何やらイベントをやっているので、足を運ぶ。
メインは小さい女の子のチアパフォーマンス大会のようだが、出店があるので、そのままランチタイム。
「ふくらぎ」という刺身が無料配布されていたので、遠慮なくいただく。
見た目や食感がブリに似ており、脂がしっかりのってて、うまい！
「能登牛丼」は、どこぞのチェーン店とは比べ物にならないほど、肉の味がしっかりしている。
「満州そば」は、しつこくない濃さのスープが、太めの麺とマッチしている。
ひとり旅で、こんなにたくさんの名産品を食べるのは、はじめてである。
食事をコンビニで済ませていた今までの旅が、もったいなく感じる。
昼食後は、ひたすら人気のない田舎道。
満腹感、暑さ、風景の単調さが手伝い、30分ごとに休憩する。
走っても、すぐ疲れてしまうのだ。
ある場所で休憩ポイントを探していると、突如自転車の団体が後ろからやってくる。
団体はひっきりなしにあらわれ、途切れることがない。
というのは、能登半島を一周する自転車レース「ツールドのと2009」が開催されているらしい。
走者にとったら邪魔だろうなぁ〜、と感じる負い目とは裏腹に、
「がんばれよ！」
「すごいやん！」
と、多くの人が激励の声をかけてくださる。
そのうち、まるで自分もレースの参加者になった気分になり、さっきまでの疲れがうそのように引く。
げんに、以降休憩をまったくしなくなった。
連帯感とは、気分だけでなく体力までも奮い立たせてくれるものなのか。
を変えてしまうものなのか。
「ツールドのと2009」との併走は、夕方まで続く。
いっそゴールまで行ってやる、と思っていたが、徐々に日が暮れてきた。
しょせんこっちは旅人、野宿用の食料を確保しないといけない。
コースから離れて、スーパーへ寄る。
買い出し後にゴール地点へ寄ってみたが、もう日が暮れていたため、案の定撤収作業。
レースの参加者“気分”は、しょせん参加者ではないという、きびしい現実を突きつけられる。
そんなことより、宿探し。
意外にも都会なので、まずは人気のない場所までエスケープ。
さらに、海岸のある場所を探す。
が、なかなか海岸が見つからない。
あたりは真っ暗なので、キックボードでの移動は極めて危険。
という現実に気がついたころ、急激な空腹と疲労感に襲われる。
昼間ハッスルしたツケが、ここで一気にまわってきた。
これ以上の走行は危険、と判断したころ目にうつったのは、道の路肩。
ちょうど車がUターンできるよう、広くとられている。
迷うことなく、そこに腰を下ろす。
危険回避のため、路肩の入り口付近にLEDライトを置き、可能な限り道路から離れた場所に、テントを張る。
冷静に考えれば危険極まりない行為であるが、恐怖心をまったく感じないことが、ひとり旅のよい点であり、悪い点である。
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