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本州〜佐渡島を結ぶ、高速船「あいびす」。台風の
影響でゆれが激しく、お世辞にもよい船旅とはいえない。
赤泊の古い町並み。町並みをわざと残しているというより
は、変化する必要性がないので今に至る感じがする。
夜はオレンジ色の街灯が灯る小木の町。しかし宿にあり
つけていない状態で、情緒を楽しんでいる場合ではない。
ようやくたどり着いた、小木佐久間荘YH。
隠れ家といえるほど、小さな民宿である。
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心配していた雨は降っておらず、くもり空。
午前6時前に起き、高速船乗り場のある寺泊駅まで、電車で移動。
今回の旅で、1つの楽しみがある。
キックボードのタイヤを、新調したのだ。
なんでも純正ではなく特別作られたもので、滑りが全然違うらしい。
寺泊駅から港まで、40分をキックボードで走る。
なるほど、よく滑る!
タイヤの違いで、こうも違うものか。
ただブレーキがやや甘い気がするので、スピードには注意しなければならない。
遅れることなく、高速船へ乗船。
風景を楽しもうと思っていたが、甲板は立ち入り禁止である。
仕方なく地図でも読もう、と思っていたが、それどころではない。
ゆれが激しい!
台風が近づいているせいか、大きく波がたっている。
こうなれば当然、酔ってしまう。
経験上、こういうときは眠ってやり過ごすしかない。
途中何度か目覚めるが、眠っている間に酔いがまわっていて、常に気持ちが悪い。
地獄の1時間を過ごし、佐渡島へ上陸。
無残にも、思いっきり本降り。
仕方がないので、フェリー乗り場でひたすら雨宿りをする。
一箇所にずっといては退屈なので、フェリー乗り場近くのバス停・民俗資料館を転々として、風景を変えながら時間をつぶす。
午前10時半から雨宿りし、午後3時にようやく小雨に。
4時間半も雨宿りすると、小雨なんて何とも感じなくなる。
思い切って出発し、はじめにフェリー乗り場近くの「赤泊の町並み」を通る。
昔ながらの古い家屋が並び、ところどころで廃村独特のにおいがする。
ようやく出発できたと思いきや、30分ほどして再び本降り。
あわてて近くの東屋に逃げ込む。
まわりに民家はなく、道路越しに広がる海も、悪天候でほとんど見えない。
あまり整備されていない東屋は、ほうぼうにクモの巣が張り巡らされ、ちょっと移動するとたちまちクモの巣が体にへばりつく。
こんな最悪なコンディションにもかかわらず、なぜかこの時間が、楽しく感じられる。
長年旅を通じて備わった独特の感性である。
雨はまた30分ほどでやみ、再出発。
走っていると、ある女性に声をかけられる。
一見してお寺の方だとわかるのは、その女性らしからぬヘアスタイルによるもの。
旅の話をいろいろ聞いていただいたうえ、買い物袋からひと房のバナナをいただいた。
体力を使う旅なので、バナナは非常にありがたい。
スーパーで夕食を買い、雨宿り中に予約したユースホステルへ向かう。
手持ちの地図で場所を確認するが、場所がわからない。
携帯電話でユースホステルに問い合わせてみたら、電波が悪くて会話にならない。
あたりが暗くなることにあせりながら、目についたガソリンスタンドへかけこむ。
すると、周辺地図を手渡していただき、ていねいに場所を教えてもらう。
なるほど、手元の地図が思いっきり間違っているようだ。
そこからユースホステルまでの道は、ひたすら上り坂。
あたりは真っ暗。
急ぎたいが、上り坂なのでスピードの出しようがない。
ユースホステルまでの距離は意外に長く、疲れがピークに達したころ、ようやく到着。
寝室は家屋の2階の大広間で、客は僕1人。
残念なのが、寝室以外のトイレ・風呂・冷蔵庫などが、完全にその家の家族と共用であること。
ゆっくり休んで疲れをとりたいのに、なぜか気遣いしてしまう。
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