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親切にしていただいたうえ、ラーメンもごちそうになった
「青龍軒」。楽しく貴重なひとときを過ごせた。
本格、久留米ラーメン。まろやかな甘みと飽きの来ない
上品さは、都会ではなかなか味わえない。
車道の片側車線よりも広く感じる、幅の広い歩道。
都会でも、このくらい歩道があれば事故も減るだろう。
雨でこごえた体にはありがたい、温泉付きの宿。
もっと早くチェックインして、ゆっくりしたいものだ。
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すっかり熟睡でき、予定どおり午前5時に目覚めたものの、外は天気予報どおりの雨。
やんだタイミングでいつでも出発しようと、1時間かけて準備を行い、あとはひたすら待機する。
旅の最中にテレビは極力見ないようにしているが、さすがに退屈すぎるので、天気予報に注意しながら朝の番組を見る。
午前9時、雨がやんだので、すぐさま出発。
朝から続いた雨がウソのように、まったく降ってくる気配がない。
それにしても、出発してすぐに空腹感を覚える。
朝食が早かったせいか。
どうもガマンできず、途中パンを1つ買い食いする。
ふだん、旅の最中に間食なんてしないのに。
空腹感がやや紛れた状態でしばらく走っていると、道の対岸にあるラーメン屋さんが「こっち来い」というアピールをしていることに気がつく。
こうして自分自身に興味を持ってくれることは、うれしい。
迷わず立ち寄ると、ラーメンでもどうだ、とお店へ案内される。
雨のあがっているうちに先に進みたい、という気持ちもあるが、そう時間が押しているわけではないので、ご厚意に甘えて席に座る。
まだお店の開店前らしく、開店準備をしながら、話しかけてくださる。
どうやら、旅人を見るとよくお店へ招き入れるそうな。
キックボードという媒体を使っている人は、やはりはじめてだという。
店のお父さんは、かつて設計のお仕事をしていた、という話をしてくれた。
自分の作ったものを「こんなもんでいいだろう」と満足するのではなく、自ら客観的視点でも評価して、決して妥協してはいけない。
それは、設計の仕事でもラーメン作りでも同じことだ、という。
ライターという自分自身の職業にも当てはまる言葉であり、胸を打たれる。
店のお母さんは、キックボード旅のよさを説いてくれた。
車やバイクでは気がつくことのできない風景も、キックボードの速度なら気がつけるのでよいね、と。
これはキックボード旅をしてふと感じることなのだが、それを見事に言い当てるなんて、すごい。
やがて、久留米ラーメンが提供される。
とんこつスープはまろやかな甘みがあり、しっかりした豚の香り。
途中で胸焼けすることもなく、途中で味に飽きることもないあたり、おそらく化学調味料等の余計なものが入っていないのだろう。
大阪で、ここまで上品な味のとんこつラーメン屋は、いくつあるだろうか。
最後は、そこそこお客さんが入ってきているにもかかわらず、夫婦揃ってお店の外から見送ってくださった。
結局、ラーメンはご馳走いただくこととなり、本当にただただありがたい限りである。
今後このあたりに来るときは、絶対に立ち寄りたい。
大分県杵築市「青龍軒」、ラーメン好きという観点においても、絶対にオススメである。
お店を出てからは、ずっと雨。
景色を楽しむ余裕が、まったくない。
山道が少ないということが、唯一の救いである。
温泉地として有名な別府市の、市街地へとさしかかる。
街のいたる場所から湯気がたっている、という印象であったが、ほとんど見受けられない。
途中で休憩をはさむも、10分もしないうちに再出発を余儀なくされる。
じっとしていると、寒いからである。
この時期の雨というのは、寒さという観点においても大敵なのか。
さらに夕方、レインコートの撥水性も限界で、雨がにじんでくる。
こうなると、走って体を動かしていても、寒い。
苦痛を感じながら逃げ場がないのだから、まるで生きた心地がしない。
ようやく宿へ着いたのは、午後7時。
到着するや、何よりも先に風呂へ!
運よく温泉付きの宿で、余計に気持ちよく感じる。
1時間ゆったり入り、ようやく寒さから解放される。
それから部屋で温泉の余韻を、と楽しんでいるヒマはない。
夕食の買い出しをして食べ、荷物の整理をして、とバタバタしているうちに、睡魔が襲ってくる。
時間的にも体力的にも、なかなかハードな1日であった。
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