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キックボード紀伊半島一周    【3日目】
● 2011年5月1日(日) 雨のちくもり 三重県南伊勢町〜三重県紀北町



めちゃくちゃ地味な集落に、まさかの派手なオブジェ!
都会にもこういうノリが欲しい。ちなみに保険屋さん。


こんなんキックボードで走るところやない、と峠を走るとき
いつも思う。路肩が狭いため、風景を楽しむヒマもない。


期待値以上にスケールの大きい、α橋。一気に高台へ
移動できるこの道、できた当初はさぞ町民も喜んだことだろう。


可動式の道路、江ノ浦橋。道がもち上がって船がその
下を通る姿を見たかったが、雨の中さすがに待てない。
意外にも、恐れていた騒音被害はまったくなく、昨夜はゆっくり眠れた。
さすがスポーツマン、マナー教育はしっかりされているようだ。

今日は終日雨、という天気予報は見事に外れ、太陽が顔を出すよい天気。
もしかして、とんでもない晴れ男?
などと自画自賛しながらも、朝から続く上り坂で汗をダラダラと流す。
こんだけ暑いなら、ちょっとくらい天気が悪いほうがマシである。


坂は容赦なく続き、とんでもない高さまで上りつめる。
歩道もなく路肩もせまい場所で、車がバンバン走ってくるのは本当にこわい。

大きなトンネルを越えてすぐのところで、ひと休憩。
雨を想定して今日1日の走行距離は短めに設定をしているが、なかなかいいペースである。
これなら、昼過ぎには宿に到着するのではないか?


休憩後、30分もしないうちに、雨がパラついてきた。
しまった、今日は1日降らないと錯覚していた。

案の定、雨は徐々に強くなる。
どこかで雨宿りをしたいところであるが、山道なので屋根のある場所がない。

唯一、雨をしのげるといえばトンネルである。
さすがに本降りになり、耐え切れずトンネルで待機することに。

待機といっても、歩道のスペースがせまく、腰を下ろすような悠長なことはできない。
それどころか、風が吹き抜けてゆくため、寒い!

どしゃぶりの雨の中、坂道を走るには危険すぎる。
といっても、体温はグングン奪われてゆくため、これはこれで生命の危険を感じる。

こうなっては、もう行くしかない!
意を決し、カバンからレインコートを取り出し、着替え始めた。

皮肉なもので、着替え終わって荷造りが完了したころには、雨はすっかり小雨になっている。
何か、天気にバカにされている気分である。

着替えなおすのも面倒なので、レインコートを着たまま再出発。
通気性のないレインコートのせいで、体がすぐさま熱くなり、いつも以上に汗ダクになる。


久しぶりに、人里へ着いたのは正午過ぎ。
スーパーでごはんを買い、近くの駅の待合所で、雨宿りがてらランチをとる。
内側はぐっしょりなのに、外側がほとんど濡れていないレインコートが、何だか憎たらしく感じる。

昼食の間、雨は小雨ながらも降り続く。
完全にやんでから再出発しよう、としばらく待機をしたが、やむ気配がまったくなかったので、仕方なく再びレインコートを着て出発。
途中で本降りになるが、レインコートのおかげでまったく気にならない。
今さらながら、レインコートの偉大さに気がつく。


依然、時間に余裕があるので、地図で確認できる限りの観光をすることに。
しかし、地理が入り組んでおり、手元の地図の縮尺では確認しにくく、道に迷う。
迷っているうちに、雨が強くなってくる。
いくら時間があるとはいえ、気分が下がってしまう。

ようやくたどり着いた、「α橋」。
橋がループして高台へ行けるというものだが、思ったより高低差があり圧巻。
上ってやろうと思っていたが、あまりに坂の勾配がきつくて、断念。

次に訪れた「江ノ浦橋」は、船がとおるときに橋が持ち上がるという、可動式のもの。
残念ながら、橋が持ち上がるさまを見ることはできなかった。
それでも、踏み切りでもないのに遮断機が設置されている光景は、新鮮さを覚える。


なおも降りしきる雨の中、なおも山道が続く。
しかし夕方になるにつれ、雨が弱くなり、やがて完全にやむ。
やむんだったらもっと、昼間ゆっくり雨宿りしとけばよかった。


宿に着いたのは、夕方4時。
受付のおばちゃんは、方言がきついながらも、非常に愛想がよい人である。
旅の話を、とても興味深く聞いてくれる。
孤独の心には、こういった対応がめちゃくちゃ癒やされる。

ビジネスホテル、というよりは、誰か人んちの一室を借りているようなイメージ。
部屋にしみついたタバコの臭いに、山積みされた雑誌の数々。
極め付きは、壁に貼り付けられた、アイドルの巨大ポスター。

きれいだが無機質な都会のビジネスホテルよりは、不思議とこのほうが落ち着く。


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