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日が暮れる間際の南港フェリーターミナル。家族連れや
カップルがにぎわう中、一人で4時間半待ちは、さびしすぎる。
フェリーのロビーは広々としていて、絶え間なく人が行き交う。
こんなとこでザコ寝って!フェリー会社も思い切ったことするなぁ。
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旅をしているときは、日が暮れはじめると宿を探す。
しかし、こうやって、日が暮れると同時に家を出るというのははじめてであり、違和感がある。
四国へ渡るためのフェリーが、午後11時に出向なんだから、仕方がない。
そのため、昼間はものすごく時間を持て余した。
よりによって午前7時という無駄に早い時間に目が覚め、何もすることがなかったので、家でダラダラとテレビを見た。
昼前からようやく旅の準備にとりかかり、買出しのために自転車で外へ出た。
外は快晴、まさに自転車日和。
「なんでこの時間に旅立たれへんねん!」ともどかしかを感じたが、昼過ぎからは急に暑くなり、「旅立ってなくてよかった」と胸をなでおろした。
いくら天気がよくても、暑くてはテンションが持たない。
荷物をまとめ、出発したのが午後4時。
やはり1週間以上もの長旅なので、出発するのがこわかった。
こういう不安は、3日程度の旅となるとよく起こることだ。
いつもならここで「やっぱりやめよう」と引き返したくなるのだが、今回は「こわいけど、行かなきゃ」と義務感のようなものを感じていた。
たぶん、9連休というチャンスは今後なかなかやって来ないことを、無意識のうちに感じていたからだろう。
傾きはじめた太陽の下、ひたすら大阪の市街を走った。
目をつぶっても迷わず走れる国道1号線を2時間ほど走り、後半は国道26号線を1時間。
後者の道は、自転車ではたぶんはじめて走る道だ。
道端で人は寝てるわ、ひとりごとを話しながら歩くおっさんがいっぱいいるわ、マンションからわけのわからない霧状の水滴が飛んでくるわ、明らかにアチラ系とわかる真っ黒な車がガンガン走るわ、とにかくこわかった。
下手したら、自転車にぶつかって来てイチャモンつけてくる“アタリ屋”がいるのでは、と本気で心配した。
日本の道をあちこち走ったが、ここほど気を遣う道はない。
やがて日が完全に暮れ始める午後6時半、フェリー乗り場である大阪南港へと着いた。
ここから出航まで、4時間半も待たなければならない。
1人で、しかもまわりに何もない場所で、長時間待つというのはけっこう大変だ。
旅のときは可能な限り見ないようにしていたテレビを、待合所でボーっと見ていた。
そして乗船。
あらかじめバイクと自転車は、2輪用の待機所で待たされるのだが、まわりはバイクだらけ。
いつもフェリーに乗るときは、たいがい1人や2人は自転車で乗り込む人がいるので、ちょっと恥ずかしかった。
フェリー内は思っていたより広くきれいで、売店・レストラン・ゲームコーナー・大浴場などの設備がそろっていた。
こんな楽しげなところなのに、各施設を楽しめないのが非常に悲しい。
なぜなら今夜は、今目の前で人が右往左往しているロビーで、ザコ寝しないといけないからだ。
荷物をロビーに置きっぱなしにして、うろうろできるわけがない。
フェリーの予約が遅かったため、席がとれなかったのだ。
今までフェリーは予約なしでも乗ってたんで、まさかこんなことになろうとは想像もしていなかった。
現在、午後11時半。
世間様はとっくに寝ているはずの時間にもかかわらず、相変わらず人はウロウロ動きまわっているし、ロビーの電気はこうこうとついている。
いつ寝かしてくれんねん!
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