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キックボード九州一周〜中編〜    【3日目】
● 2014年5月1日(木) はれときどきくもり 鹿児島県鹿児島市〜鹿児島県指宿市



埋没鳥居。火山噴火の威力を、これほどまでに
わかりやすく具現化したものはない。


野菜がたっぷり、おダシが黒っぽい「鹿児島ラーメン」。
みそ味よりも、具材全体が1つの味を作り出している。


豊富な具材で構成された「湯たまらん丼」。ひと口ごとに
違った味が楽しめ、値段が張ってでも食べる価値あり。


暗闇を迷い、ようやく宿にたどり着いた後の
温泉は格別。貸切で入れるのもうれしい。
昨夜は、とても寝苦しかった。
他の人が動いたり、外で大きな車がとおるたびにベッドがゆれ、何度も目を覚ます。
疲れをともなう旅では、ゲストハウスという選択肢は使わないほうがいいみたいだ。


朝一番に出発し、午前6時半のフェリーで、再び桜島へ。
桜島を一周することが、旅の目標の1つであるからだ。

島の北側は、山だらけの南側とは違い、町が続いている。
学校のグラウンドや家の庭先など、土という土がまっ黒というのが、印象深い。

北側にある名所、「埋没鳥居」へ到着。
かつて桜島噴火があったときに、鳥居が火山灰をかぶって、全体の8割が埋没されたそうな。
埋没されっぱなしの姿は想像以上にインパクトがあり、自然の驚異というものを、まざまざと感じさせられる。


鳥居のすぐそばで休憩していると、急激な悪寒に襲われる。
気温が下がったのではなく、これは明らかに、体調不良。
昨夜の夜遊びが、たたったのか?

じっとしていると、体がガクガクと震える。
これはもう、旅を中断するしかない。

とりあえず体を動かして、少しでも体を温めよう。
で、行けるところまで行って、明日の朝の容態で継続するかを決めよう。


何とか桜島を一周し、再びフェリーで鹿児島市街へ。
まずは一目散に薬局へ行き、風邪薬を購入。
すぐに飲みたいところだが、空腹で飲むものではない。

ちょうど昼食どきだったので、商店街にある「鹿児島ラーメン」のお店へ。
お店は小さくこぢんまりとして、ごくごく庶民的な店構え。
おばちゃんが、ひとりで切り盛りしている様子である。

すすめられるままに注文したみそラーメンは、スープがまっ黒。
そして、野菜がこれでもかというくらい、入っている。

みそラーメンという割には、みその味が強いわけではない。
今まで食べたラーメンとはまったく異なる味わいで、どう表現したらいいのか。
ただ、決してまずいわけではなく、「ラーメンの具材を使った新しい料理」として、おいしくいただける。


食後に薬を飲み、再出発。
すると、少しずつではあるが確実に、しんどさが消えてくる。
薬って、ここまで即効性のあるものなのか。

とはいっても、体調が悪いことは確か。
1時間おきに休憩をとらないと、体がもたない。


国道を回避して、産業道路なる道を南下する。
名前からして、大型トラックがガンガンとおる殺風景なものかと思いきや、そうではない。
左手は大型店舗が続き、右手はえんえんと緑地が続く。
特に緑地の遊歩道は、自然を存分に感じられるので、かなり快適である。

ただ、休憩回数が多いせいもあり、時間がどんどん押してくる。
観光するヒマも、昼寝するヒマもなく、ただただ走って休憩をくり返すだけで、あまり楽しさを感じられない。


日が暮れかけてきたころ、空腹感に襲われる。
だいぶ宿には近づいているとはいえ、宿までガマンできそうにないので、おそば屋さんへ立ち寄る。

指宿名物だという「湯たまらん丼」を注文。
赤鶏の照り焼き・そぼろ・おくら・温泉卵がのった丼は、見た目からして豪華。
口の中に入れると、いろんな味が交互に広がり、うまい!
セットのそばもおいしく、いい値段はしたものの、じゅうぶんそれに見合う味である。


あとは、お宿に向かうのみ。
ではあるが、あたりは真っ暗で、お宿の案内標識がない。
さらには、手元の地図では縮尺が読み取りづらく、道があっているのかもわからない。
チェックイン時間はとっくに過ぎており、ますますあせる。

お宿に何度か電話し、案内を受けて、ようやく到着したのは午後8時。
遅い時間にもかかわらず、愛想のよいおかみさんに出迎えられる。


お風呂は、宿に2箇所ある家族風呂のうち1つを、貸切状態で使える。
かっ色がかったお湯に浸かると、1日の苦労・心配ごとが、本当にとれてゆく。
最高に気持ちがいい。

ただ、体調不良という心配に関してのみ、まだ拭い取れない。
旅を続行するかは、明日の朝の体調次第だ。


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