|
朝市のまち、陸奥湊駅前。当然ではあるが、
夕方前ではすべてのお店が閉まっている。
陸奥湊駅前の店舗を覗くと、ずらっと朝市の面影が
残る。施錠せず入り放題というゆるさがたまらない。
館鼻漁港も朝は市場が並ぶらしい。
市場こそないが、漁船の数々は見ごたえあり。
木造とレンガ造りの家屋が印象的な「八戸酒造」。
開いていても試飲はできないので結果オーライ。
「八戸三社大祭」のミニ山車の展示。
細部まで作り込まれていて見入ってしまう。
ビルの隙間に小さな店舗がひしめく「みろく横丁」。
ここを素通りできる酒飲みなんて、いるはずがない。
店舗で意気投合した人たちと談笑。グイグイと
日本酒が進み、当然ながら翌日は大変なことに。
|
今回の旅は、行くべきかさんざん悩んだ。
もちろん原因は、コロナである。
GWは緊急事態宣言の真っ只中だったので、当然行くことはできなかった。
2か月前からさんざんルートを調べて、宿も押さえていたのに。
で、今回は緊急事態宣言は解除されたものの、世間は自粛モードだ。
しかも今回、主に走る予定としている岩手県は、出発1週前の段階でコロナの感染者がゼロ。
果たして、感染者の多い大阪府民が受け入れられるのだろうか。
出発を決意したのは、キックボード旅そのものを見返してのことだ。
そもそも日中はずっと1人で走っているわけなので、人との接触による感染はしようがない。
1週間誰とも話さず旅が終わるなんてことも、ざらである。
また、日本政府も「GoToキャンペーン」を実施して、ガンガン旅行することを大金はたいて推奨している。
ここは政府の方針に従うのが、国民として正しい判断である。
そんなこんなで、キックボード旅を決行することにした。
行き先は東北で、青森から南下して宮城まで。
ちなみに昨年も青森から南下するルートをとったが、昨年は海ルートで、今年は内陸部ルートだ。
そもそも今までのキックボード旅では極力海沿いのルートを走ってきたので、ある意味新たな試みでもある。
前置きはこのへんで。
青森までは、電車を乗り継ぎ7時間の移動となった。
新幹線は客がまばら。
去年はなかなか座席がとれず苦労したので、強くギャップを感じる。
陸奥湊駅に着いたのは午後3時半。
思っていたよりも暑い。
駅前は朝市が有名らしいのだが、時間が時間だけに閑散としている。
港方面にも市場があるそうなので、遠回りだが寄ってみるも、大きな船があるだけで市場の雰囲気もない。
また、近くにある八戸酒造にも寄ってみたが、残念ながら閉館しており見学ができない。
ただ、昔ながらの建物と看板が圧倒的な存在感があり、ついつい見とれてしまう。
そこから宿のある本八幡へは、ひたすら一本道。
平坦な道にもかかわらず、やたらと疲れる。
体力が落ちてしまった証拠だろうか?
宿までは実質1時間ほどだったが、2時間は走った感覚である。
風呂に入って外出したのが午後6時。
周辺はたくさんの商業ビルや店舗があり、栄えていてテンションが上がる。
人通りも多く、東北にコロナ患者が少ないということに大きな疑念すら抱く。
あるビルに入ると、ミニ山車の展示がされている。
これはこの近辺のお祭り「八戸三社大祭」にならったイベントで、山車のミニチュアを一般募集して展示しているものだ。
いずれもミニチュアながらも迫力がすごく、地元民のお祭りへの愛を強く感じる。
さらに歩くと、「みろく横丁」がある。
ビルの隙間の空間に、小さな飲食店がたくさん並んでいる。
今夜の夕食は、ここしかない。
そう思ってお店を探すが、お店の数が多くて悩む。
ようやく寄ったのは、魚の種類が揃ったお店。
おばちゃん2人がまわしており、魚は新鮮で絶品なのだが、注文してから提供までが遅い。
店員さんとの話もあまりはずまず、他のお客さんも家族連れがちらほら来るぐらいで話しかけることができない。
せっかく酒場に来たのに、ただならぬ孤独感を覚えたので、1時間もしないうちにお店を出る。
2軒目も悩みながら選んだ末に、先ほどお店のすぐ向かいにあったお野菜中心のお店に入る。
カウンターいっぱいに野菜が並べられており、いずれも地場産とのこと。
「野菜ソムリエ」の資格も持っているとのことで、かなりのこだわりを感じる。
好きな野菜を指定すれば、それを天ぷらにしていただけるのだが、これがいずれもうまい!
しばらく飲んでいると、後から来た3人組のおじさん衆に話しかけられる。
東北のそれぞれ他県から青森に来て飲み歩いているとのことで、入店時にはすでにできあがっている。
みなさん社交的で、話がはずむ。
おじさん達がお店を出るのと同じくらいのタイミングで、若い男の子が1人入ってくる。
こちらもできあがっているので、遠慮なく話しかけて意気投合。
どうやら新卒で八戸に来て、この横丁にはじめて訪れたとのこと。
さらに後から来たカップルとも仲良くなり、日本酒が進む進む。
だめだ、楽しすぎる。
さんざん飲んで話して、お店を出たのが午後11時半。
しかもその後、店員さんのオススメだということでバーを紹介され、男の子と2人で行くことに。
しっぽりした時間を楽しみ、宿の帰ったのは午前0時30分。
旅の途中に、こんな時間まで飲んだのははじめてだ。
しかも初日で。
明日はちゃんと起きられるのだろうか、はたまた以降の旅に影響はないだろうか?
宿に戻ったとたん、ただならぬ不安に襲われてしまう。
|
|
|