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キックボード青森→宮城    【5日目】
● 2020年8月5日(水) くもり 岩手県盛岡市〜岩手県北上市


道を走ってたまたま見つけた「賢治の水」。
夏は水分をよく摂るので、わき水はありがたい。

枝が広範囲に広がる「逆カシワ」。枝を
支えるたくさんの柱も合わせて絵になる。

きれいに整備されつつ自然も残る「イギリス海岸」。
名前に反して日本らしい景色を感じられる。

旧家が残る「同心屋敷」。レプリカのようにきれい
だが、しっかり廃墟のようなにおいを感じる。

「宮沢賢治碑」のある広場。「雨ニモマケズ」の
当人直筆手帳が飾られ、ファンにはたまらない。

「帰帆場公園」のわき水。残念ながら飲用に汲め
ないが、公園全体的に植物が多く居心地がいい。

名前の響きが何となく気になった「こまい」を注文。
旅の最中でなければ、日本酒何杯でもいけそう。
午前7時に出発し、給水のため昨日寄った湧き水を目指す。
しかし、途中で「賢治の水」なる湧き水があったので、そこで済ませる。
どうやらこの界隈は、あちこちで水が湧いているようだ。
ちなみに、「賢治」とは宮沢賢治のことで、かつて当人がこの水を使っていたそうな。

空はくもっていて涼しく、道は平坦。
タイヤも絶好調で、2時間ぶっ通しで走る。


はじめに立ち寄ったのは、「勝源院」というお寺。
境内には「逆カシワ」という、枝が根のように複雑に分かれた木がある。
かつて別の場所にも、同じような木を見たっけ。

最近は大木が好きなので木を見ながら休憩しようとしたが、残念ながら木の近くはやたら蚊が多い。
なので、お寺の門に戻って、門の影で座り込んで休憩をとった。


再出発後は太陽が出て、暑い!
道は軽くアップダウンする程度で、絶えず建物があって安心感がある。
内陸の道はもっと山だらけだとイメージしていたので、意外である。
無理せず、1時間おきに休憩をとりながら進む。


昼食は、キックボード旅では珍しくガストへ。
目的はドリンクバーで、水分と糖分の補給のために飲みまくる。

しかしファミレスの雰囲気というのは俗っぽくて、今自分が旅の最中であることを忘れてしまう。
あと、まわりは主婦の小さな団体さんが多く、マスクもつけずにトークで盛り上がっている。
コロナは恐くないのか?


1時間ほど休んで再出発するも、このままだと宿に早く着きすぎる。
地図で寄り道先を探し、足を運んだのが「イギリス海岸」。
川底がゴツゴツしていて、それがイギリスのドーバー海峡に似ているのが名前の由来だとか。

残念ながら、水位が高くてゴツゴツがほとんど確認できない。
しかし、川岸は自然を残しつつきれいに整備されていて、じゅうぶん見ごたえがある。


次に「同心屋敷」へ。
江戸末期に建てられた家屋が2軒、並んでいる。
見た目が美しく、近づくと昔の家屋の匂いが残る。
中に入るには事前の予約が必要らしく、外観のみをただただ楽しんだ。


さらに5分ほど進んだ先に、「宮沢賢治碑」のある広場へ。
石碑を眺めていると、おじさんに声をかけられ、解説をしてくれる。

ここはかつて宮沢賢治が住んでいた教会の跡地であり、広場から見下ろすと広がる田畑は、かつて宮沢家が保有していた場所らしい。
また石碑の文字は、石川啄木の筆跡だという。

ちなみにこのおじさんは、ここに宮沢賢治の家の跡を再現し残したいという願望があり、とにかく宮沢賢治のことを後世に残そうと活動されているそうだ。
熱い気持ちを、えんえん30分ほど話してくれた。


宿に着く前に、もうひと散歩をしよう。
スマホを確認し、湧き水があるという「帰帆場公園」を見つけ、寄ってみることに。

住宅地にある公園は、こぢんまりとしながらも植物がたくさん植えられている。
公園のまわりを囲むように水路があり、隅に水源がある。
水源では子ども達が行水をして遊んでいる。

子どもが去った後に近づき、よくよく近くで見てみると、落ち葉や虫が浮いている。
とてもではないが、飲用として汲めそうにない。


たくさん寄り道したが、宿に到着したのは午後4時半。
最近では午後6時ぐらいが平均的な時間なので、かなり早めである。
ゆっくり風呂に入って、ゆっくりベッドで休憩。
のんびり過ごすこの感じ、実にいい!

午後6時に外出し、辺りを散策。
駅前は居酒屋とスナックが並び、あまり昔ながらの文化などは感じられない。
夕食のお店を探すが、どこも値段がわからないので入りづらい。


さんざん悩んで入ったお店は、照明が明るくジャズが流れ、あまり居酒屋らしくないところ。
料理は魚も野菜も絶品でうまい!
ただ、お客さんもまばらで誰とも話ができず、照明も明るいのであまり落ち着かず、早めにお店を出る。


向かいに、赤ちょうちんを掲げたいかにも「居酒屋」っぽいお店があったので、そこに入る。
店内は常連さんだらけでにぎわっている。
メニューは鶏が主体で、あまり地産のものが見当たらない。
その中で「こまい」という白身魚の焼きがあったので注文。
白身魚の割に味がしっかりしていて、酒のアテに最高である。

お店の雰囲気もよく、アテにも恵まれているものの、店員さんがずっと常連さんと話しまくっているので、とんでもないアウェイ感に襲われる。
ゆっくり居座ろうと思っていたが、結局ビール1杯だけでお店を出る。


別に旅の最中に出会いを求めているつもりはないけど、やはり旅も5日目となると人との会話が恋しくなる。
昔はそんなことを気にもならず、飲み歩くことなくスーパーのお惣菜を部屋で食べていたものだが。
孤独に耐えられないのは、もしかすると歳のせいなのかもしれない。


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