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国宝館もある「櫛引八幡宮」。地域では
有名な場所らしく、参拝客が絶えない。
「南部芸能伝承館」は建物の一部が舞台状になって
おり、横になって休めるのでありがたい。
キックボードでは極力歩道を走るが、未整備の
場合はぶつけようのない怒りがわきあがる。
座敷わらしで有名な「緑風荘」。駐車場には
高級車が揃い、一般人は泊まれそうにない雰囲気。
二日酔いにやさしい、しじみラーメン。スナック
みたいな店構えとは裏腹に、めちゃくちゃ美味。
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目が覚めると、頭が痛い。
典型的な二日酔いである。
せめて昼まで寝ていたいところだが、明日の宿はもう予約しているので、そういうわけにはいけない。
午前8時半に出発し、まったく回復しない頭痛と気持ち悪さを覚えながらも走る。
体力的にもダメージがあり、1時間もしないうちにバテる。
とにかく休憩しながら進もうと、まず足を止めたのは「櫛引八幡宮」。
大きく立派で、国宝館なんかもある神社だ。
昨夜の怠惰を神様に詫び、たっぷり水を飲んでたっぷり休憩をする。
そこからはあえて国道を避け、1本違う道を走る。
ワンパターンな景色が続く国道より、素朴な住宅地をすり抜けるほうが楽しさを感じるためだ。
しかし必ずしも道が国道と並行しているわけでなく、たまに大きな道とぶつかったときに方向がわからなくなる。
普通なら迷子になるところだが、スマホのナビを頼りに先へと進む。
次に休憩したのは、「南部芸能伝承館」という施設。
舞台のような形状の建物がそびえている。
舞台には屋根があって日陰ができており、横になれるのがありがたい。
先客として、3歳くらいの女の子とそのお父さんがいた。
たまに女の子が無邪気に近づいてきたりして、それに応じているうちにお父さんも声をかけてくれる。
キックボード旅の話をするとかなり興味を示してくれ、いろいろと話をする。
ちなみにこの方は、もともとこのへんが地元で千葉に働きに出ていたが、子どもを育てるにはこちらの環境のほうがよい、と地元に帰ってきたそう。
再出発して午後12時半、空腹感は全然ないが、手持ちの水分が底をついたのでコンビニに寄って休憩。
依然続く二日酔いと、外の暑さを避けるために、2時間ほど居座る。
東北とはいえ、やはり暑い。
日がかげったタイミングを見計らってコンビニを出たつもりだったが、すぐに太陽が出てまた暑くなる。
二日酔いも手伝って、否応なしに水を飲みまくる。
1時間もしないうちに疲れが出て、「道の駅さんのへ」で休憩。
椅子に腰をかけていると、すぐ隣で盆栽を売っているおじいさんに声をかけられる。
東北の人は、相変わらず社交的だなあ。
と感じるとともに、方言がキツくてあまり内容が聞き取れず、申し訳ないがあいまいなあいづちを繰り返すこととなる。
こんな休憩ばっかりで大丈夫なのだろうか?
そんな心配をしていると、次第に空が厚い雲で覆われる。
これはチャンスと再出発すると、そこからは気持ちよく走れる。
いつの間にか、二日酔いも解消されたようだ。
まっすぐ宿へ向かうのも面白くないので、「金田一温泉」という温泉郷へ寄り道する。
がっつり土産屋などが並んだ温泉街を想像していたが、ぱっと見は普通の住宅地で、ポツポツと温泉宿があるという景色。
その中でも目を引いたのが、「緑風荘」。
直感的にどこかで見た名前だなあと思って調べると、座敷わらしの出る宿として有名なところだった。
建物がきれいなのも、確か数年前に火事で全焼したというニュースを見た記憶がある。
こんなところにあったのか!
宿に着いたのは、午後6時半。
もともと走行距離が短めだったことを考えると、だいぶ遅めである。
当然二日酔いや暑さによる休憩の長さが原因であるが、それにして一度の休憩時間が昔に比べて長くなったことを実感する。
当然お酒を飲む気にはならず、ラーメン屋を見つけて寄る。
中はおばさん1人でまかなっており、カウンターにお酒が並んだりしていて、スナックのような雰囲気である。
お店の名物である「しじみラーメン」はあっさりで、二日酔いの体にじわっとしみる。
他にお客さんもおらず、やたらと話しかけられて孤独感が紛れる。
ラーメンを食べてすぐ宿に戻ったので、時間があり余る。
そういえば最近は、旅中に居酒屋で過ごすことが多いので、こうして部屋でゆっくりするということがない。
こういう時間の過ごし方も、悪くない。
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