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新品のタイヤが、ものの数時間で砕ける。やはり大人が
旅のツールとして使うには、物理的に問題なのか。
急勾配で、狭くうねった通路の先にある、掛川城。
攻めるのも大変だが、ここに住むのも大変だったろう。
ひたすら上り坂を押し歩く。トンネルはたいがい、
坂の終着点をあらわすので、見るとほっとする。
遠方から聞こえる汽笛。見るとそこは、大井川鉄道。
遠くからでも、蒸気機関車の存在は圧巻である。
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午前5時半に、スマートフォンのアラームを聞き起床。
ようやく、目覚まし機能が使えるようになった!
まだ人の少ない市街地を、ひたすら進む。
昼間はただ暑いばかりであるが、朝はどこかすがすがしく、気持ちがいい。
この気分を味わうために、旅をしているのではないか、と思えるほど。
浜松市で、少し近道を選んで進む。
しばらく走っていると、何だか違和感を覚える。
どうやらそいつの正体は、進行方向に延びた、自分の影。
確か、太陽は東から昇るはずだから・・・
今、思いっきり西に向かっているではないか!
軌道修正を試みるも、標識には地元の地名しか書いておらず、八方塞がりである。
よほど動揺していたのだろう、スマートフォンのナビを使えばいいということに、しばらく気がつかなかった。
スマートフォンのナビで道が確認できたところで、ひと休憩。
再度ナビで地図を確認し、完全に方向を把握。
・・・したはずが、出発後すぐ逆走していた。
何だか、狐にばかされでもしたかのような、不思議な気分に包まれる。
国道を走っていると、三輪バイクのお兄さんに声をかけられた。
いろんな旅人を見ているが、キックボードははじめてだ、とのこと。
その話の中に、「リアカー引いてる旅人は見たことある」という言葉があった。
旅中に話しかけられる人から、たま〜に聞く話である。
旅業界で、ひそかな有名人といったところか。
僕も同じように、どこか知らないところで「キックボードで走っている旅人」と語り継がれたいものだ。
昼食はコンビニで買い、袋井市という町の市役所の一角にある公園でとる。
入ってよいかわからぬほどの、目立たない場所である。
こんなところでしか、足を伸ばして座れる日陰がないのだ。
緑が生い茂り、風が涼しい。
ゆっくり休んで、再出発。
するとすぐ、タイヤが砕ける。
今朝、新しいのを付け替えたばかりなのに・・・
またしても、初日の不安が頭をよぎる。
休憩と観光を兼ね、掛川城へと足を運ぶ。
立体的というのだろうか、敷地はそう広くないのに、とにかく高い場所にあるお城である。
天守閣のほとりにあるベンチで、長らく休憩。
風が強くて、めちゃくちゃ涼しい!
上半身ハダカで横になっていたら、お城の警備の人に注意された。
そりゃまぁ、注意されて当然である。
が、注意がめちゃくちゃくどくて、ちょっとイラッとした。
休憩後、天守閣のすぐそばまで登る。
めちゃくちゃ展望がよい!
これならわざわざお金を払って天守閣に登らなくても、じゅうぶん風景を楽しめる。
夕方は、ひらすら山道。
とてもキックボードで進める勾配ではなく、歩いて進む。
あさっては、箱根の脇にある峠を越えなければならないため、予行練習としてはちょうどよい。
上り坂が長時間続くが、なぜかピクニックをしているような気分になり、妙に楽しい。
ようやく峠を越え、下りに差しかかった矢先、妙に味のある汽笛が聞こえた。
ふと視線を移すと、そこには機関車が!
そう、視線の先は鉄道マニアの聖地、大井川鉄道である。
遠くからしか眺められなかったが、ひどく感動した。
そこから先は、けっこう栄えた街。
ついさっきまで、峠だったことがウソのようだ。
宿は、島田市の駅前すぐにある、ビジネスホテル。
チェックイン後、夕食を探しに軽く街を散策。
思った以上に栄えていて、オシャレな居酒屋がたくさんある。
たまには、こういう知らない街で飲み歩く旅もしてみたいものだ。
と、弁当屋ののり弁当を食べながら妄想を膨らましていた・・・
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