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歩道が砂に覆われ、キックボードで走れない。
海沿いの道にはよくあることだが、ここは極端にひどい。
風の強さをはかるこいのぼり(ふき流し)からも、暴風の
ひどさがうかがえる。とにかく外にいること自体が恐怖!
写真ではわかりづらいが、道路標識のすぐ向こうで
砂が横から吹いて、壁のようになっている。通りたくない!
鳥取駅前で、暴風にもかかわらず行列をなす「すなば
珈琲」。スタバのバッタもんで一躍有名になったらしい。
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走る距離は、昨日より20キロも短い。
にもかかわらず、昨日と同じく午前5時半に起床し、早々に出発した。
というのは、1日を通して天候が悪いらしいからだ。
天気予報によると、かなりの暴風が吹くという。
昼からひどくなるらしく、なるべく午前中に距離をかせいでおきたいのである。
しかしながら、玄関を出るや、すでに暴風が吹き荒れている。
まるで台風である。
畑やグランドからは、砂や小石が真横から飛んでくる。
半ソデ・短パンという格好をしているので、全身にこれでもかというほどぶち当たる。
なにぶん、風の勢いが強烈なので、エアガンで連射されているかのようで、本当に痛い!
また、目に砂が入ってしまうので、雲が厚く薄暗いというのに、サングラスをかける必要がある。
また、昨日に引き続き風車がすぐそばに並んでいるのだが、巨大なプロペラが轟音をたてて勢いよくまわっている。
見ているだけで、鳥肌が立つほど怖い。
もっと身近なのは、道路標識。
今にも折れそうなほどの勢いで、グラグラとゆれ続けているのだ。
道路標識に限らず、ちょっとでも大きなモノが強風で飛んで来たら、それこそ命の危険すらある。
怖い!
今までの旅で怖い経験はしてきたが、最大級の恐ろしさではないだろうか。
もう今回の旅は中止にしよう、と何度も考えてしまう。
朝から2時間ぶっとおしで走り、休憩をしていると、風が少しマシになる。
これはチャンスと再出発するも、しばらくすると、また暴風が襲う。
さらに2回目の休憩の後は、さらに風が勢いを増す。
さっきまで右側から吹いていた風が、前後左右あらゆる方向から吹いてくるのだ。
しかも、突風である。
午前中は、ひたすら恐怖におののいていた。
が、えらいもので、次第に楽しく感じてくる。
こんな荒天に、自分はなぜ走っているのだろうか、とか。
後ろから突風が来たときは、キックせず前へ進めるのでラクだ、とか。
そんなこんなで、当然どこかに立ち寄ることもなく、あまり風景も楽しめないまま、ひたすら走り続ける。
結果、午後3時というとんでもなく早い時間に、宿へ到着。
とりあえず風呂に入り、部屋でゆっくりしていると、外から祭りばやしが聞こえてくる。
こんな荒天なのに、お祭り?
さぞかし由緒あるものに違いない。
体のほてりが冷め始めたころを見計らい、外出する。
が、お祭りらしい雰囲気もなければ、人が集中して流れているような場所もない。
そんなはずはない、と30分以上歩きまわり、愕然とする。
あるビルの大きなオブジェが強風にあおられ、見事に太鼓や笛に似た音をたてているのだ。
こんな偶然、ある?
午後6時過ぎ、夕食は居酒屋でとることに。
スーパーへ行こうとしていたときに、「90分飲み放題」という張り紙が目にとまったのである。
料理4品付いて合計2,000円は、安すぎる。
料理といっても、枝豆・ポテトフライ・からあげ・コーンバターと、ジャンキーなもの。
これでも、じゅうぶんおなかがふくれる。
さらに、サービスで「いかの白子」なんかを出してくれるあたり、粋である。
味はまぁ、特別にめちゃくちゃうまい!というほどでもなく、他の魚の白子より弾力があるな、といったところ。
途中、店員さんがちょろっと話しかけてくれる。
さらにお店を出るときに、店員さん3人が玄関先まで見送ってくれた。
旅の話をすると、みんな話に食いついてくれ、短いながら楽しい時間を過ごす。
旅の最中はあまり人と話す機会がないので、本当にうれしい。
結局、ビールは7杯も飲んだ。
内臓の丈夫さに感謝する反面、明日の影響が怖いところである。
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